チップ | 添乗員のひとりごと

添乗員のひとりごと

添乗員として海外・国内の旅行で出会ったあれこれをお話しします。

 チップの習慣というのは、昔はともかく、現代の日本人にとってはなじみがかなり薄いものだと思う。

 

 

 昔の日本人はそうでもなかったみたいで、時代小説などを読んでいると、お使いをとどけた小僧さんに小粒銀を握らせたりする場面などがしばしば描かれたりしている。

 

 

 事実かどうかは見てきたわけじゃないからよくわからないけど、今でもちょっと心得たお客さんは、旅館の仲居さんにそっと心付けを渡したりするし、あながち創作でもないのだろう。

 

 

 日本人が海外のホテルマンに嫌われる大きな理由は『チップをくれない』というのが挙げられると聴いたことがあるのだが、確かにホテルのドアマンにチップを渡すのって、つい忘れがちだ。

 

 

 私も実を言うとチップを渡すのが我ながら嫌になるほど下手で、スマートにチップをさりげなく渡すってのが、いつまで経ってもできなかった。

 

 

 実は添乗員って、結構現地でチップを渡す機会が多いのだ。

 

 

 ヨーロッパなんかだと、バスのドライバー、現地ガイド、アシスタントなどにチップを渡すのはほぼ必須で、実はサービス内容と時間別にチップの相場が記された『チップリスト』なるものもある。

 

 

 国や都市によって相場はまちまちだけど、例えばヨーロッパとかだと、空港からホテルへの送迎が12~15ユーロ、半日観光が25ユーロ、終日観光が35ユーロ程度が大ざっぱな相場だろうか。

 

 

 このチップをいかにさりげなくスマートに渡すかってのが、実は長年の隠れた悩みの種だった。

 

 

 とりあえず、男性のドライバーなどには、手の中に握りこんで握手しながら渡してしまうって方法をとっていたのだけど、これって女性のガイドさんやアシスタントさんなんかにはちょっとやりづらい。

 

 

 それになんだか握手にかこつけてこっそり渡すのって、悪いことしている後ろめたさみたいな違和感を感じないでもない。

 

 

 かといって、現金をむき出しで渡すって、さらに難易度が高くて、ジェームス・ボンドよろしく人差し指と中指に挟んだチップをシュッと差し出すなんて真似、間違ってもようせんわ。

 

 

 アメリカみたいに1ドル札のような少額紙幣があればまだしも、ユーロの場合1~2ユーロはコインなので、そんなの指先に挟んだりしてたら「マジシャンかよ?!」ってツッコまれそうだし。

 

 

 まあ、そんなこんなで、試行錯誤の挙げ句、数年前からポチ袋に入れて渡すことにした。

 

 

 どうせスマートに渡せないのなら、逆に日本人アピールしてしまえと開き直ったわけだ。

 

 

 最近ではちょっと発展して、100均で買った千代紙で作ったポチ袋に入れて渡すようにしている。

 

 

 

 おっさんが千代紙でポチ袋作っている姿は、想像してみるとちょっと気持ち悪いかも知れないが、今のところ評判は悪くないみたい。

 

 

 「WAO!キレイダネー。」なんて反応を示してくれると、かなり嬉しい。

 

 

 実際にこれが正しいやり方なのかどうかはわからないけど、私の長年の悩みは、これでもってとりあえず解消された。

 

 

 だからこれでいーのだ。