(「カオリン食べた事ありますか」からの続き)
翌日、ホテル(中国大酒店)で朝食を取り、ロビーに行くと、香港人の小柄な小汚いオッサンが既に待っています。
約束の時間よりかなり早いのに感心感心(中国人は概ね時間にルーズなのです)。一時間、二時間遅れるのは当たり前。
かなり後になりますが、中国駐在中に取引先の担当者の結婚式に招待されたのですが、開始時間の30分前に到着したものの、誰も来ていませんでした。
結局始まったのは開始予定時間を一時間以上過ぎてからで、2時間近く待たされ、その後も、ぞろぞろと人がやって来ると言うありさまでした。
小柄な小汚いオッサンが用意してくれたマイクロバスに乗り込み出発です。マイクロバスは広くて快適です。前日まではワゴン車だったので、ちょっと窮屈だったのです。
「小柄な小汚いオッサンなかなかやるじゃん、小柄は外してあげましょう」(心の声)。
本日は東莞・番禺周辺の調査です。広州周辺の地図を参考にしてくださいね。
広州周辺は珠江デルタと言われ、東江・北江・西江が合流(珠江)している為に、川が入り組んでいます。しかし、その川自体が日本とは比較にならないくらいに川幅が広いのです。
一度川が氾濫を起こせば甚大な被害が及ぶでしょう。まあ、その御蔭で今回調査する原料が生まれたと思えば、悠久の地球の歴史に思いを馳せる私でした。
過去記事で紹介したカオリンが川に流れて堆積するのですが、長い時間かけてバクテリアが繁殖し、非常に粘りのある粘土となるのです。陶磁器の製造に欠かせません。
これ以降、多少時系列的に前後するかも知れません。デルタ地帯ですので風景も変わり映えしないし、事象は覚えているのですが、時間軸が曖昧になっているのです。
しばらくは退屈な移動ですが、小汚いオッサンが、「喉渇きませんか、コーラ飲みますか」と言うので「コーラあるなら飲みたいな」と言うと、車を止めさせ降りて行きます。
小汚いオッサンはきょろきょろしながら崩れそうな小屋の中に入って行きました。間もなく段ボールケースを持ち、またきょろきょろしながら戻って来ました。如何見ても挙動不審です。
ケースには確か「Star Cola (スターコーラ)」と書かれていたと思います。いわゆるバッタモンてとこでしょうか。しかも、埃だらけで冷えてないと来たもんです。
味は正しくコーラなのですが、やはり何か足らない様な気がします。それより、これって盗んで来たんかいな。その辺を湾曲的に聞いてみると、「没問題(モウ・マン・タイ)」と言うのでした。
没問題とは問題ないと言う意味で、北京語で「メイ・ウェン・ティ」と発音するのですが、香港人は広東語ですので「モウ・マン・タイ」なのです。
「ほんとかなぁ」と思いながら飲み干すと、「まだあるぞ、どんどん飲んで」って、言うのですが、「生ぬるいコーラはそんなに飲めませんからぁ~、残念~」。
舟渡場に着きました。フェリーボートを待つ間、Star Cola 片手に(やっぱり飲むんかい)外でウロウロしていたのですが、小汚いオッサンがコーラの空き缶をポイしました。
すると、地面に腰を下ろして物を売っていたおばさん(多分少数民族でしょう)が嬉しそうにひろって行きます。そして、隣のおばさんと話しながら、私の方を見ています。
その眼差しは、私をロックオンしています。いくら独身と言えどもちょっとですよね(アホか、お前の持っている缶を見てるんだろ)。あ~なるほどね(遅せ~んだよ)。
私が、空になった Star Cola の缶をおばさんに手渡すと、嬉しそうな満面の笑みをたたえた菩薩様の様でした。多分つぶして売るのでしょうね。
私はマイクロバスに戻り、空き缶をレジ袋に入れて、おばさん達に手渡しました。これで、菩薩様の御利益があるでしょう。でも盗品の疑いがあるんだけど・・・。
ところで、小汚いオッサンはコーラが大好きと見えて、何本も飲んでいます。私は2本しか飲んでいませんが、24本ケースの大半(20本程)を一日で飲んだのです。
これ以降、私達は小汚いオッサンを「Mr. Cola (ミ・スターコーラ)」と呼ぶ事にしたのです。呼ぶ時だけですけどね。小汚いオッサン喜んでましたよ。
では、さっさと先を急ぎましょうか・・・、スタコラさっさ・・・。
(つづく)
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