恥辱とカタルシス -20ページ目

恥辱とカタルシス

作家志望、渋谷東子と申します。
よろしくお願いします。

誰ですか10連休とか言い出したの……。

 

こんにちは、渋谷です。

 

 

 

本は読んでません。小説書いてた。ゴールデンウィーク前にひと段落させときたくて。でも全然終わらん!

 

今日は明日からのキャンプの準備で一日終わりそうな気がします。なのでここで書いておくことにした。特に用事はないのですが、思ったことを何となく……。

 

 

 

今書いてる話がそこそこ面白くなりそうだと思っている。でもネタバラシのタイミングと配分が難しいね。ミステリーの短編をしこたま読んでみたが、読むと書くとじゃ大違い。いやいや、そこそこ面白い、じゃいかんのだな。めっちゃ面白くなくちゃ。めっちゃ面白い短編をしこたま読んだので、ちっとでも近づけるよう頑張ります。

 

ツイッターを使った復讐ものを書いてるんだけど、配分を間違えると誰が犯人かすぐわかっちゃうし、逆に隠し過ぎても後出しジャンケンになっちゃいそうなのよね。あと探偵をちらちら見え隠れさせなきゃなんだけど、目立つ女だから出てき過ぎるんだよなあ。ネタバラシ後に読み返してもらえるような配分にしたいなーと模索中。こりゃそう簡単に書き終わるはずないや。まあ焦らずやりましょう。

 

あとエブリスタを久しぶりにちゃんと開いて自作を読み返してみた。もう長らく書いてないんだけど、あれリニューアル後になんか露出の方法が変わったんですかね?過去作が露出が増えたのかスターとか本棚収納とかが増えてたので。でも読み返してビビったわあ。へたくそ。ちょっと前に書いた話なんだけど、びっくりするぐらいへたくそ。

 

去年書いたやつだったんだよね。読書しまくり始める前。あれでちゃんとしたものだと思ってた自分にびっくりするわ。やっぱ文壇で活躍されてる作家さんの本を読まなあきまへんな。読み返してみてアイデアは悪くないと思った。文体や構成を変えて書き直してみたいな。あのへたくそな話を読んでくださり、あまつさえスターまで頂けてしまうのが心苦しくてなりません。

 

ぶっちゃけペンネームも変えちゃおうと思ってるんだよね。こないだすばる文学賞は違うペンネームで出したんですよ。渋谷東子、ではない自分の方が本当のような気がして。と言うか、渋谷東子さんはいっぱい嘘ついてるので(笑。本当は児童文学やラノベが書ける人間ではないのに無理している、という意味で)本当の私に近い状態で小説が書きたいんです。ここでは便宜上渋谷ですが。ここでも変えちゃうか。まあこれはちょっと考えとこう。

 

そんなわけで己のへたくそぶりに驚愕しましたとさ。書き直すとしたらエブリスタは退会しちゃうかもしれないね。黒歴史を放置するほど私の心は広くない。猫の額ぐらいのちっちゃさだ。どうだ参ったか!(なにが)

 

 

 

あと相変わらず音楽を聴いている。今はイエモンフィーバー中ですが、最近小説書いてる間はBUCK-TICKを聴いている。ご存知ですかBUCK-TICK。80年代のヴィジュアル系創世記を牽引した伝説のバンドです。まだやってます。彼らも50代になりました。イエモンも50代。うちの夫も50代。このあたり、私の好きな男は50代ばっかりです。

 

櫻井敦司という絶世の美男子がボーカルなのですが、このおっさんがいまだに絶世のおっさんなんですよ。綺麗。美人。パソコンに向かいながらしょっちゅう画像を開いて眺めていますよ。だっておっさんのくせに確実に私より美人なんだもん。

 

まあそれは冗談ですが、この方たちは音楽性もとてもいいんですねえ。そんじょそこらのちゃらちゃらしたヴィジュアル系とはわけが違います。クラシックの要素がふんだんに盛り込まれたロック、とでも言いましょうか。SF感も満載。ちょっとしたホラー小説のような楽曲もあったり、中には読経みたいな曲もあったりする。多彩、かつ美麗。やっぱ中身があるからこそ30年以上やってられるんでしょうね。

 

でさ、びっくりしたんだけど、今度の新曲は「ゲゲゲの鬼太郎」のエンディング曲だって。まさかのアニメエンディング笑。しかも椎名林檎のニューアルバムに櫻井さんが呼ばれてるらしい。さすが林檎ちゃん!イエモン好きだしBUCK-TICKとコラボするし、林檎ちゃんはいつだって私の期待を裏切りません!ニューアルバム、楽しみだわあ。

 

そのあたりに付随して、今書いてる短編が終わったら恋愛小説を書こうと思っている。あっけらかんとした死にたがりの女の子と、元ヴィジュアル系バンドのヴォーカルで今は落ちぶれたスタジオミュージシャンの年の差恋愛もの。これを平井堅を聴きながら書きたいな。今思ったけどこれって林檎ちゃんと櫻井さんの恋愛ものだわね。キワモノふたりが平井堅の「常識人の切ない恋愛」みたいなフィルターにかかったら面白そうかなって。短編かな。楽しみ楽しみ。

 

私、本からは離れてた時期があるのですが、音楽はずーっと聴いていたんですよね。だからバンドマンやらオペラ歌手やらが出てくる話を書くんですよ。ジャンルは雑多でJポップも聴きますが一番よく聴いたのはボサノヴァかも知れんね。小野リサとか。クラシックもジャズも好き。昔TSUTAYAで働いてたからCDも借り放題でねえ。それで色々聴きだしたんです。今はいい時代でSpotifyがあるから何でも聴けますよね。そう、平井堅も今日から配信になったし!一時期ファンクラブにまで入ってたよ。音楽も……ですが、どっちかっていうと顔が好きで。

 

音楽はいいよね。自分でも演奏する側になりたくて、ギターもアンプも買ったし大人になってからピアノ習いに行った。「愛の賛歌」が弾けるようになりたくて。一曲弾けるようになったら辞めたけど。ギターも中途半端で辞めちゃった。時間とお金があれば今からでもやりたい。まあプロを目指すには遅すぎますから趣味程度で。

 

あー、頭の中になんかあったこと書ききったかな。書いてアウトプットしないともやもやし始めるんだよね。うん、そんな感じです。明日からはしばらく、ろくに更新できそうにないので書いておきました。まったく誰だよ10連休とか言い出したの。

 

では、良い連休を!

 

またねー!

おお、80冊目だ。

 

こんばんは、渋谷です。

 

 

 

はたと気づけば今年に入って80冊目の読書感想文になっておりましたよ。読んだねえ。今までやってたネットサーフィンもケータイゲームも個人売買も全部放り出して本を読んだ4か月間。私、「やりますよ」といったら止まらなくなるタイプなんですね。「飽きたから辞めますよ」とも突然言いますが、読書は辞めませんよ。今年いっぱい、いやいやずっと続けていきたい趣味です。と言うか勉強です。だってすべては作家になるための通過点。

 

単純計算すると、今年中に200冊という目標はクリアできそうです。元は「一年で100冊読む!」とか言ってたんだから倍だわな。なんなら300冊とか読めるのかな?書きながらだから、読んでばっかりというわけにもいかないのですが。

 

桜庭一樹さんはお忙しい今でも年間400冊本読んでるんですって。習う姿勢が素晴らしいですね。見習おう。習うって大事ね。今日の私は知らない世界を彷徨ってきたのよ。まだ抜け出せてない。読んだのは曽根圭介さんの短編集「鼻」。

 

ホラーの世界でした。うえーん、常識が通用しない世界って怖いよう!ルールもなんもないからこっちも心の準備ができないよう!

 

怖い短編集でしたが、引き込まれてあっという間に読了しちゃいました。収録作が

 

暴落

受難

 

となっております。

 

 

 

どの話も不条理でエグくて怖かったんです。ぐすぐす。なんか借りてきた猫みたいになってますが、ほんまに怖かったのよ。

 

だって「暴落」は18歳以上の成人はみんな個人を評価する「株式」が上場されちゃう世界なんです。「渋谷東子株」が上場されてて、トピックに「本ばかり読んでる専業主婦の渋谷東子氏、本に夢中でギョーザを焦がす!(実話)」とか流れて個人株が下落しちゃう。一定の額を下回ると、人として価値なしと判断され社会的に再起不可能になる。行きつく先でおかしなNPOに囲われ、臓器を抜かれちゃうんです。なんかつい最近も臓器を抜かれる話したよなあ。このいやーな話に因果応報が絡んでくるのが「暴落」。あー、げっそり来た。迫力の世界観。私株、一体現在いくらなのかしら……。想像するだに恐ろしいわ。

 

そして「受難」なんかほんとーに受難でしかないから!

 

仕事を辞めて送別会を開いてもらった主人公、飲み過ぎて記憶をなくし、目が覚めるとビルの谷間でダクトに手錠で繋がれています。街中だから逆に、呼べど叫べど誰も助けに来ない。周りでごんごん工事やってるんですね。

 

発見してくれたのは中学生男子、不思議系OL、自殺願望を持った紳士。みんな狂っちゃってるから、話はできるんだけど誰も助けてくれないのよー。一生懸命宥めてすかすのにみーんな聞く耳を持たない!この恐怖!お腹は空くし環境は劣悪だしくせえしきたねえし!結局主人公死んじゃうよ!うわーん基地外怖いー‼

 

最終的に「鼻」に至って恐怖はピークに。この作品は日本ホラー小説大賞短編部門受賞作なんですが。

 

「テング」という鼻が長い種族と「ブタ」と呼ばれる鼻の短い種族が混在する日本が舞台。ブタが高等民族、テングは下等民族だとされています。まるでナチスの粛清のように迫害されるテングたち。そんななか、テングであった妻を娶ったブタ医師が主人公として描かれています。

 

ブタ医師は、今は亡き妻と娘にそっくりなテングの母娘をかくまいます。母娘に亡き妻と娘の衣類を与え、何かあったら連絡するようにと名刺を渡す。なんと人権派のお医者さんでしょう。恐ろしい世の中ですが、テングの母娘が生き延びることができますように。そんなことを思いながら読み進めていきましたら。

 

別軸で自己臭恐怖症の刑事が出てくるのですね。「俺はくせえんじゃねえか」と常に考えていて、自分の近くでくんくん鼻を動かす者がいたらぶん殴っちゃうこれまた基地外です。ぶん殴るどころか半殺しです。この刑事が追っているのが幼女連続失踪事件。行きつくところにいたのが「自分を医者だと思い込んでいる変質者」。刑事が中学生だったころ、ぶん殴って鼻をナイフで削り落とした少年のなれの果てです。それが「ブタ医者」。

 

ブタ医者は通りすがりの中学生に鼻を削り取られてこれまた基地外になっちゃって、「テング」だの「ブタ」だのが生息する混沌の世界を創作していたんです。自分の鼻がなくなっちゃったもんだから、「鼻の長さで揉めてる世界」の住人になっちゃったのね。そいで失踪した幼女は、ブタ医者がテングからブタに鼻を形成手術するために入院させてると「思い込んでた」女の子達。もう死んでましてね。ついでに刑事の鼻も「ブタにしてあげるね、こうすれば君は生き残れるんだから」つってちょっきーん……!

 

 

 

はあ……参った。ブタ医者、妄想の中で医者なだけなので。現実には普通の人なので。形成手術とかじゃないんだもん。描写が怖すぎる。

 

叙述トリックを仕掛けたミステリーともとれますが、やっぱホラーやね。だって怖い。一般市民としては刑事が善人じゃない時点で怖いんですけど。自分が臭いんじゃないか→他人の鼻とっちゃおうってどういう思考回路やねん。でもこの非日常、奇想天外がすごいよねえ。だってこれは小説、ノンフィクションの世界なんだから。

 

なんでもやりたいようにやればいいんだ。善人のレジスタンスが狂人の妄想だと誰が思いますか。参りました。曽根圭介さん、やっぱり好きな作家さんです。私こういうギョッとするみたいなのがやっぱり好きなんだな。平和な作品もいいけれど、こういうびっくりが好き。自分でも書けるようになりたい。勉強させていただきました。

 

 

 

さあ、この後もミステリー。「ミステリーはあんまりなあ」とか言ってた1か月前の私に教えてやりたいわ。あんた1か月後にはミステリーしか読んでないよって。人生って一瞬先のことは分かんないもんですねえ。予定調和で生きてないから余計やな。

 

次は道尾秀介さん。好き好き。楽しみです。というわけで。

 

おやすみなさいー!

また読んだよ。今朝の「ノンストップ!」のイエモン特集の録画見ながらこれ書いてますが。

 

こんばんは、渋谷です。

 

 

 

今日は子供が振り替え休日でね、バラも見に行きましたし公園にも行きましたし。

 

イエモンも見るし夫に足をマッサージさせるし本読むしでいい一日でした。はー、やっぱイエモンかっこいいわ。というわけで読んだ本の話。ミステリー傑作選 「Junction 運命の分岐点」です。

 

収録作家さんが

 

湊かなえ

米澤穂信

両角長彦

杉井光

長岡弘樹

詠坂雄二

 

となっております。

 

 

 

湊かなえさんの「望郷、星の海」が日本推理作家協会賞を受賞した回なんですね。とても素敵な作品でした。人生に横たわる大きな誤解をミステリーとして解明する物語。ミステリーでありつつ人生ドラマ。すごく繊細なお話でした。面白かったよ。でも。でも。

 

両角長彦さんの「この手500万」には敵わんのではないかとおもーう。どうして両角さんが受賞しないのー?私の好きなやつです!バイオレンス!ヤクザ!策略!裏切り!

 

前に読んだ短編集でも両角さんの作品で面白いのあったんだけど。それは子供が主人公だったのでそんなに響かなかったのよ。

 

でも今回の「この手500万」は面白かった!また好きな作家さんが出来ちゃったかも知れないです。

 

 

 

主人公は半崎というギャンブラー。ギャンブラー……まあチンピラでしょうか。政財界にも食い込む切れ者であるようです。この半崎が政界の大物である老人と将棋を打っています。そこにかかってくる電話。相手は超クズのクソチンピラ千野。千野は半崎を裏切り大金をかすめた過去があります。なのに「兄貴い、助けてくれよう、一生のお願いだよう!」

 

無視するに限ります。クズはどこまで行ってもクズです。でも老人からちょっとした頼まれごとをした半崎は、なんの気まぐれか千野のもとに向かいます。千野はアホやからヤクザ相手の賭博で負けが込み、もう売り飛ばされて内蔵抜かれちゃいそうです。ポーカーやってるみたいなんですが、「レイズ」するのにお金がいるのでそれを半崎に出してくれだって。

 

私賭けポーカーしたことないんでわかんないんですが(当然だ)、なんかカードをお披露目する前に掛け金を吊り上げる?みたいなルールがあるみたいなのね。心理的な駆け引きらしいんです。自分の手がとても良いと言い張る千野(いわゆるロイヤルストレートフラッシュとかでしょうか)は半崎に金を出してくれと懇願する。ほんとにいい手なんだったら大儲け、ワンペアとかだったら中国でカズオ・イシグロです。そこで老人に手渡された500万をなぜか突っ込む半崎。千野のカードを知っている半崎の決断に、相手のヤクザは色めき立ちます。途端に世紀の大博打となる賭場。さあ、千野のカードはヤクザを凌駕するのか。半崎はこの博打に勝つことができるのか……!

 

 

 

うふふ、ここからが面白い。最初に言っちゃうと千野のカードはワンペアなんですね。しょっぼい手です。死にたくない千野は半崎すら騙してこの難局を切り抜けようとした。でも半崎はとてもキレる男なのです。千野の演技に乗っかったふりをして、500万をわざとヤクザたちに与えた。千野はクズなので半崎を裏切ってヤクザ側につきます。スタンガンやなんやらでひどい目にあわされる半崎。ぼっこぼこで病院前に捨てられます。でも、これも半崎の計算通り。後日家宅捜査が入るヤクザの事務所。そのニュースを見ながら、半崎の病室に見舞いに来た老人がしたり顔です。この老人もなかなかの食わせ者なのね。

 

半崎がヤクザたちに与えた500万は偽札だったのです。政界スキャンダルに絡んだ偽札の500万円。老人はこの偽札に関して、与党に捜査のメスが入ることのないよう、何らかの手を打つことはできないかと半崎に相談を持ち掛けていた。ヤクザが手にした偽札を使ったことで、警察や世論の目はスキャンダルから遠く離れたのです。賢い半崎!やだもうかっこいい……!

 

 

 

あーもう面白かったです。私やっぱりなんかバイオレンス好きね。北野映画好きやしね。悪くて賢くてかっこいい男とかたまらんね。なんか最近刺青入ってる男が良く見えてやばいわね。ごっつり刺青と言うかタトゥー程度ね。うう、妄想程度に収めておかねば。

 

半崎の出てくる話は、そのまんま「ハンザキ」という短編集にまとめられているようです。読まねば。半崎、カッコいい。

 

そうそう、米澤穂信さんの「死人宿」は以前読んだ「満願」に収録されていた作品でしたので割愛しましたがこれも面白かったよ。再読してもお白かった。でも半崎のカッコよさの前にはかすんだわー。

 

というわけで寝ます。おやすみなさい。

 

ではまたー!

春のせいでしょうか。

 

こんにちは、渋谷です。

 

 

 

春、というか初夏ですね。すっかりいい気候です。今年は子供が小学生になって生活にも変化がありました。なんかフレッシュさん、みたいな気分です。幼稚園ママは慣れたものでしたが、小学生ママは生まれて初めてですから。なんかちゃんとした格好で常識人みたいに振る舞うことも多い。だからかなんなんだか、やけにイキイキした気分になってるんですよね。

 

どっちかっていうと厭世的な人間なのですが、それが息を潜めなんだか「春、新生活、希望でいっぱい!」みたいな気分。私の人生でなかなかこんな気分になったことはない。筋トレで妙な脳内ホルモンが出てるせいでしょうか。それとも躁鬱の躁が更年期障害で強く出ちゃってるんでしょうか。筋トレってやっぱり人生を変えるのか、それともこの後地獄の鬱がやってくるのか。できればこういうイキイキ人生をこの先も送ってみたいものだなあ。今日もこれからバラ園に行くよ!花に囲まれあははうふふしてくるよ!

 

そういえばイキイキが滲み出てるのか、ツイッターで道尾秀介さんにコメントしたらお返事もらえちゃったよ。すげえ嬉しかった。一生ファンです、と思った。気分がいいと棚ぼたが増えますよね。その一環なのか、今日読んだ本もなんかイキイキした感じでした。類は友を呼ぶ、でいい気分でいるとそれを生むものがまた近寄ってくるのでしょうか。

 

ミステリー傑作選 「Life 人生、すなわち謎」、人が死なない、ほんわか系のお話が多かったです。収録作家さんが

 

伊坂幸太郎

今野敏

翔田寛

本城雅人

水生大海

 

となっております。

 

 

 

最初に期待したのは伊坂幸太郎さんなんですよね。

 

夫が大好きで。「ゴールデンスランバー」「重力ピエロ」「グラスホッパー」とかが本棚の一番目立つとこにある。今回は結構SFっぽい作品でした。「彗星さんたち」です。

 

登場人物は新幹線の清掃員さんたちです。あの、新幹線が到着してお客が全員降りて、折り返しする前にばーっとお掃除をしてしまう清掃員の皆さんですね。ちょっとエンターテイメント性があるとまで言われるぐらい、完璧なお掃除を手早くなさる方たち。その中のリーダーである中年女性、鶴田さんが脳溢血で意識不明になってしまいます。

 

鶴田さん不在の中でも日々清掃業務に励むメンバーですが、それぞれにちょっと不思議なお客さんに出会います。ある車両ではDVをはたらく父親に会いに行く幼い姉妹。別の車両では、妹をDV夫から逃がす姉、また別の車両では自分を大切に気遣ってくれた叔母を東京に迎えるため緊張している青年……。

 

誰かが、「まるで一人の女性の人生を初期から見てるみたいですね」、なんて言います。もちろん冗談です。でも、ちょっとした偶然からその一人の女性がもしかしたら鶴田さんなんじゃない?なんて話になる。DVをはたらく父親から妹を守り、結婚もせずに妹を助け甥を守り、そしていま脳溢血で意識不明の鶴田さん。鶴田さんから「甥が一人いたんだけど、事故で死んじゃったのよね」なんて話を聞いていた同僚がいました。あの青年はその後死んでしまったということでしょうか。一体鶴田さんの人生は何だったのか。少し悲しい、でもラストには鶴田さんは意識を取り戻し、仲間たちは手をたたいて彼女の生還を喜ぶのです。

 

荒唐無稽っちゃあ、荒唐無稽ですが。

 

いい話だね。人のために人生の時間を使ってきた鶴田さんはパウエル元国務長官が大好きです。語録を多用するんですが、中でもいいなあと思ったのが「常にベストを尽くせ。見る人は見ている」

 

いいね。そうだね。私逆に「誰が見ているかわからないからサボるわけにはいかない」って理論で生きてきたんですが。

 

逆に考えればこんなにポジティブになるのね。参考にします。面白かったです。

 

 

 

あと意外なぐらい面白かったのが水生大海さんの「五度目の春のヒヨコ」ですね。社労士の女の子が主人公。新卒で就職に失敗して派遣社員になるのですが、働きながら頑張って勉強して社労士の資格を取ったばかりの新人さんです。名前は雛子ちゃん。この女性がクライアント先の中小企業で起こる問題に立ち向かうお仕事ミステリー。

 

これは……映像化を狙っているのかしらという感じのライトな作品。でも全然薄っぺらくなくて、ミステリーとしてもちゃんと読ませる内容があって、そして雛子ちゃんがあまりにもいい子で健気で空回りしてて、どうやっても応援したくなっちゃういいキャラ!この本の中でももしかしたら一番面白かったかもしれない。今調べたら「ひよっこ社労士のヒナコ」って短編集になってるらしい。これは……読もう。多分ドラマになるぞ。でもドラマになったら見ない可能性が高いな。小説で今のうちに読んどこう。ちょっと探してみたいと思います。

 

 

 

また面白い作家さんを見つけてしまいました。アンソロジーっていいですね。新たな出会いの場だわ。

 

そんなわけであははうふふしてきます!春!日光湿疹の季節!日焼け止めべったり塗って出かけよう!

 

ではまたー!

すごーい面白かった!

こんにちは、渋谷です。




曽根圭介さんの短編集、「熱帯夜」を読みましたよー!面白かった!いやー参った!

今私が面白いと思う要素が全部入ってた!こういうのが書きたいんだと思ってた作品そのままだった!さすが日本推理作家協会賞受賞作ですなー!

「熱帯夜」は短編集です。収録作が「熱帯夜」、「あげくの果て」「最後の言い訳」となっております。「熱帯夜」が日本推理作家協会賞受賞作です。「熱帯夜」がミステリー、「あげくの果て」はSF、「最後の言い訳」はホラーって感じですかね。多彩な方ですねー。全部すごい完成度だった!

中でもやっぱり「熱帯夜」が良かったです。面白い短編ってこういうのを言うのねー。

 

 

 

語り部は「ボク」、40年前のアルファロメオを大事に乗っている青年です。私も昔真面目にアルファロメオ買おうとしたことがあったのよ。ふるーいスパイダー。オープンカーに乗りたくて。故障しやすいって周りに止められて結局マツダのロードスターにした。名車でしたな。もう15年以上昔の話ですが。

 

このアルファロメオが話のキーを握ります。ボクは古い友人、藤堂が借りた貸し別荘をアルファロメオで訪れていました。そこにやって来たのが、借金取りの熊田とその舎弟のプロレスラーみたいな容姿のブッチャーの二人組。1千万の借金の取り立てにあっている藤堂は、ボクに「アルファロメオを貸してくれ。2時間後には戻ってくるから」と頼みます。隣町の藤堂の嫁さんの実家に、頭を下げて金を借りに行こうというわけです。人質はボクと藤堂の嫁さんの美鈴。藤堂が去って、熊田もなんか用事があって帰っちゃいます。ブッチャーに「1分でも藤堂が遅れたら嫁さん好きにしていいよ」と言い残して。

 

あらま大変。「走れメロス」みたいな状況です。しかもボクは以前美鈴と付き合っていたことがあり、未だに思い続けています。美鈴は藤堂に手ごめにされ、無理矢理結婚に持ち込まれたと思い込んでいるんです。


それとは別の軸で語られるのが、とある女性看護師の自動車事故。山道でぶっ飛ばしていると何かを轢いてしまいます。少し離れた場所にはボンネットが空いたアルファロメオが停まっている。よくよく探してみるとふっ飛ばされたちょっと太めの被害男性。ポケットに1千万円。看護師は借金もつれで自暴自棄です。とどめをさして、この1千万円もらっちゃおうかなー。


軸が戻ってみると、藤堂は帰って来なくてタイムリミットが過ぎてしまいます。美鈴ちゃんはどうなってしまうんだ……!と思いきや、ブッチャーが美味しく頂いたのはボクの方でしたとさ。そっちの人だったんですね。良かった……のだろうか?


ボクは美鈴を守れたと若干満足げですが、当の美鈴はボクをいやーな目で見るんですね。「藤堂はどうせ帰って来ないよ」というボクに、「どうしてそんなことが言えるの!夫はまだあなたのことを親友だと思っているのよ!」


……うーん、何かがおかしい。噛み合わない。そして巷を騒がせている殺人鬼の噂。モデル体型の女性ばかりを襲い、レイプして殺してしまう殺人鬼。美鈴は元モデル。殺人鬼の正体は。そして例の看護師が藤堂を殺してアルファロメオに詰め込んじゃったんだから(多分)、美鈴ちゃんはソープ堕ちしちゃうのでしょうか……!




……と思いきや。


なんと看護師が轢き殺したのはブッチャーだったんですよ。アルファロメオの故障のせいで、藤堂は時間に遅れはしましたが帰って来ました。その金を手にしてアルファロメオで山を下るブッチャー。そこでまた壊れるアルファロメオ。40年前のやつだしねえ。どうにか直そうとしてる間に事故にあったブッチャー。


ブッチャーの死体をアルファロメオに積み込み、走るうちにパトカーに止められる看護師。ボクの所有する車だからですが、ついでにこの看護師も捕まっちゃいますね。悪いことはできません。警察はボク、連続殺人犯小平にたどり着いていた。


結局ボクこと小平は美鈴のストーカーで、美鈴に似た女性を狙って強姦殺人してたわけです。殺された女性たちはみんな、ナイフで顔に傷をつけられていました。それは美鈴のえくぼを再現するため。ストーカー小平はストーキングの一環で別荘を訪れていたんですねえ……。




ほんの少し時間軸が前後することで、こうまで読者を翻弄することができるんですね。看護師が事故を起こした描写は、かなり初めの方に方に書かれているんです。ブッチャーが別荘を立ち去るだいぶ前。時系列的には順番がおかしい。最後まで読んでやっと読者はそれに気付く。


叙述トリックと言っていいのかな。ストーカーから美鈴を救おうとしていた小平がストーカー。看護師が轢いたのは藤堂と見せかけておいてブッチャー。綺麗に騙されたよ。こういうのが書きたい。面白いなあ。




というわけでまだまだミステリーを読みます。そろそろ別分野も恋しくなってきてるんだけど、もうちょっと頑張らなきゃ。


今書いてる短編が今週中には目処がつきそうだから、そこまではミステリー。頭の中をミステリーにしておきたい。面白いしね。


ではまたー!