読書感想文79 ミステリー傑作選 Junction 運命の分岐点 | 恥辱とカタルシス

恥辱とカタルシス

作家志望、渋谷東子と申します。
よろしくお願いします。

また読んだよ。今朝の「ノンストップ!」のイエモン特集の録画見ながらこれ書いてますが。

 

こんばんは、渋谷です。

 

 

 

今日は子供が振り替え休日でね、バラも見に行きましたし公園にも行きましたし。

 

イエモンも見るし夫に足をマッサージさせるし本読むしでいい一日でした。はー、やっぱイエモンかっこいいわ。というわけで読んだ本の話。ミステリー傑作選 「Junction 運命の分岐点」です。

 

収録作家さんが

 

湊かなえ

米澤穂信

両角長彦

杉井光

長岡弘樹

詠坂雄二

 

となっております。

 

 

 

湊かなえさんの「望郷、星の海」が日本推理作家協会賞を受賞した回なんですね。とても素敵な作品でした。人生に横たわる大きな誤解をミステリーとして解明する物語。ミステリーでありつつ人生ドラマ。すごく繊細なお話でした。面白かったよ。でも。でも。

 

両角長彦さんの「この手500万」には敵わんのではないかとおもーう。どうして両角さんが受賞しないのー?私の好きなやつです!バイオレンス!ヤクザ!策略!裏切り!

 

前に読んだ短編集でも両角さんの作品で面白いのあったんだけど。それは子供が主人公だったのでそんなに響かなかったのよ。

 

でも今回の「この手500万」は面白かった!また好きな作家さんが出来ちゃったかも知れないです。

 

 

 

主人公は半崎というギャンブラー。ギャンブラー……まあチンピラでしょうか。政財界にも食い込む切れ者であるようです。この半崎が政界の大物である老人と将棋を打っています。そこにかかってくる電話。相手は超クズのクソチンピラ千野。千野は半崎を裏切り大金をかすめた過去があります。なのに「兄貴い、助けてくれよう、一生のお願いだよう!」

 

無視するに限ります。クズはどこまで行ってもクズです。でも老人からちょっとした頼まれごとをした半崎は、なんの気まぐれか千野のもとに向かいます。千野はアホやからヤクザ相手の賭博で負けが込み、もう売り飛ばされて内蔵抜かれちゃいそうです。ポーカーやってるみたいなんですが、「レイズ」するのにお金がいるのでそれを半崎に出してくれだって。

 

私賭けポーカーしたことないんでわかんないんですが(当然だ)、なんかカードをお披露目する前に掛け金を吊り上げる?みたいなルールがあるみたいなのね。心理的な駆け引きらしいんです。自分の手がとても良いと言い張る千野(いわゆるロイヤルストレートフラッシュとかでしょうか)は半崎に金を出してくれと懇願する。ほんとにいい手なんだったら大儲け、ワンペアとかだったら中国でカズオ・イシグロです。そこで老人に手渡された500万をなぜか突っ込む半崎。千野のカードを知っている半崎の決断に、相手のヤクザは色めき立ちます。途端に世紀の大博打となる賭場。さあ、千野のカードはヤクザを凌駕するのか。半崎はこの博打に勝つことができるのか……!

 

 

 

うふふ、ここからが面白い。最初に言っちゃうと千野のカードはワンペアなんですね。しょっぼい手です。死にたくない千野は半崎すら騙してこの難局を切り抜けようとした。でも半崎はとてもキレる男なのです。千野の演技に乗っかったふりをして、500万をわざとヤクザたちに与えた。千野はクズなので半崎を裏切ってヤクザ側につきます。スタンガンやなんやらでひどい目にあわされる半崎。ぼっこぼこで病院前に捨てられます。でも、これも半崎の計算通り。後日家宅捜査が入るヤクザの事務所。そのニュースを見ながら、半崎の病室に見舞いに来た老人がしたり顔です。この老人もなかなかの食わせ者なのね。

 

半崎がヤクザたちに与えた500万は偽札だったのです。政界スキャンダルに絡んだ偽札の500万円。老人はこの偽札に関して、与党に捜査のメスが入ることのないよう、何らかの手を打つことはできないかと半崎に相談を持ち掛けていた。ヤクザが手にした偽札を使ったことで、警察や世論の目はスキャンダルから遠く離れたのです。賢い半崎!やだもうかっこいい……!

 

 

 

あーもう面白かったです。私やっぱりなんかバイオレンス好きね。北野映画好きやしね。悪くて賢くてかっこいい男とかたまらんね。なんか最近刺青入ってる男が良く見えてやばいわね。ごっつり刺青と言うかタトゥー程度ね。うう、妄想程度に収めておかねば。

 

半崎の出てくる話は、そのまんま「ハンザキ」という短編集にまとめられているようです。読まねば。半崎、カッコいい。

 

そうそう、米澤穂信さんの「死人宿」は以前読んだ「満願」に収録されていた作品でしたので割愛しましたがこれも面白かったよ。再読してもお白かった。でも半崎のカッコよさの前にはかすんだわー。

 

というわけで寝ます。おやすみなさい。

 

ではまたー!