読書感想文133 川上弘美 蛇を踏む | 恥辱とカタルシス

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作家志望、渋谷東子と申します。
よろしくお願いします。

参院選ですねー。

 

こんにちは、渋谷です。

 

 

 

選挙ですよ選挙。

 

うちは必ず選挙には足を運ぶ家庭なんですね。文句を言うなら、現状を変えたいと思うなら選挙は必須です。選挙に行かない人には世の中に起こる理不尽に文句をつける資格はありません。なので毎回、不在者に行ってでも投票しているんですが。

 

今回は特に用事がないから当日に行ったんでいいやと思っていたんですね。けれど今朝になって、夫がまた片頭痛で倒れてしまっています。

 

まあね、夜までに行けばいいんだから。そう焦ることはないんですが、もし行けなかったら嫌だなあとすごく思ってしまうんですね。毎度の習慣を崩すのがすごく嫌なんです。「選挙には必ず行くのだ」という自分内での取り決めがあるので、それを裏切るのが嫌。だから、一人で行っちゃおうかなあとも思うんですが、それも夫がかわいそうな気がして。

 

早いとこ復活してもらって、一票投じてきたいもんです。その前に読書感想文。川上弘美さんの芥川賞受賞作、「蛇を踏む」です。

 

 

 

川上弘美さんという人は、純文学系の色んな賞の選考委員をされている方なんですね。だから、一回読んでみとかなくちゃと思ってたんです。で、この芥川賞受賞作の「蛇を踏む」。

 

この作品は短編集で、収録作が

 

蛇を踏む

消える

惜夜記

 

となっております。

 

まず表題作の「蛇を踏む」。文字通り、蛇を踏んじゃった女の人が主人公。踏んだ蛇はにょろにょろ消えていきましたが、家に帰ると中年女の姿になって家でご飯作って待っててくれるんです。「あ、こいつあの時の蛇じゃん」と思うんですが、なんとなく蛇女を拒絶することもできずに同居を始めちゃう主人公。蛇女は自らを「あなたのお母さんよ」と言ってはばかりません。

 

彼女の周りには、結構いるんですよ。蛇ふんじゃった人が。みんな蛇の化身が現実に食い込んできちゃって、なんだかうまくやっているんです。でも、誘われるんだって。「蛇の世界に来ない?」「こっちは暖かいわよ」

 

……とんでもねえっす。蛇の世界とか。死んでも行きたくねえっす。もちろん主人公も拒否します。だんだん蛇は本性を露わにしてきて殺し合いになる二人。狂気の世界です。結局締め合いながら蛇と主人公はどこかに流されていっちゃいます。……うん。あれだ。これはきっと「よく分からん」を楽しむ作品だ。はい、次は「消える」ですよ!

 

つぎはもっと訳分からん。「家族は5人であること」を強制される世界。主人公の女の子の家系は、なぜか家族がいつの間にか消えてしまう家系です。だからひとり消えたらひとり補充しなくちゃ。そんなわけで、よそからお嫁さんをもらってくることになるんですが、そのお嫁さんの家系は「縮んじゃう」家系。

 

謎の常識が支配する世界観の中で、兄の嫁として嫁いできた女性を軸に、常識では理解不能な世界が広がっていきます。これもあれです。「世界観を楽しむ」作品です。意味などありません(きっと)。はい次!

 

次の「惜夜記」は夜を惜しむ掌編集。夢の中のような突飛な掌編が多数収められています。言葉のリズムと情景が綺麗。でも、そこには何も意味などないのです(多分)。

 

 

 

これが分かりやすい「純文学」というジャンルのような気がします。「在り方」に芸術性を見出す。起承転結など必要ないのです。そうあるものをそうあるままに書いただけ。しかもその舞台に現代日本の常識など必要ない。純文学は自由。大衆文学は大衆のものですが、純文学って作家のためのものなのかも知れませんね。だって、読む人への気遣いなんかゼロだもん。

 

はっきり言って意味分からん!でも、「これもアリなんだ……」は理解したかな。今回ネットで調べてみて、「センセイの鞄」という作品が面白そうでした。これは読んでみたいと思います。とりあえず、踏んだ蛇が家でご飯作って待ってた話はよー分かりませんでした。まあ、理解して欲しいなどということは、川上さんは全然考えていないんだろうなとは思いますが。

 

さー昼ごはん食べて動かなきゃ。ではでは。

 

選挙に行くぞー!