酷い話もあったもんですよ。
こんばんは、渋谷です。
こんなお話を聞いたので、生まれて初めてのリブログ。
昔さあ、青竹屋っていたじゃない。「たーけやーあー、さおだけー」っていうアナウンスとともにやって来る軽トラ。青く塗装(ビニールテープを巻いてたのか?)した孟宗竹の物干しざお、もうちょっと後年になったらアルミパイプですかね、あれを売るおっちゃん。「さおだけくださーい」なんて声をかけようものならもう大変。勝手に5本も6本も切って、「奥さん、1本しか買わないの?もう切っちゃったんだけどねえ……」って脅しかけてくるんですよ奴らは。石鹸やスポンジ売る、押し売りって人種もいましたねえ。そういうのが、この令和の世に平然と商売してるんだって。すごいねえ、まったくもってナンセンス。
こういう人たちってうまーく証拠を残さず仕事を終えますので、なかなか尻尾を掴みづらい。でも、今はSNS全盛の消費者が声を上げられる時代ですから。同じ被害に遭う人がこれ以上生まれないためにも、微力ですがリブログさせて頂きました。私、ネット関係とかで電話窓口に出た人の名前は必ず控えるようにしてるんですが、録音しておいた方がいいかも知らんね。もしくは、「後々揉めるの嫌なんで録音しときますよ」って先に言い切るとか。それぐらいしないと自衛はできないのかも知れない。
社会が殺伐としてきて、言葉が正しいのか分かりませんが、日本人が日本人ぽくなくなってるような印象を受けることがよくあるんですよ。大陸的と言うか、半島的と言うか。ちょっとした不適切を社会全体で全力で叩くとかね。日本にかつてあった「なあなあ文化」はどこ行った。そんなに他人を叩けるほどあんたは清廉潔白なのか?人は誰でも間違う。間違った後にどう生きていくのかが大切なんじゃないか?不適切を叩きのめして満足か?じゃあ張り切って一生を「適切」の中で生きて行ってくれたまえ。どんぐりの背比べでお隣よりちょっと見栄えが良い自分を喜ぶがよい。叩き合いを見て笑っている人間がいることを知ってるか?政治家のマリオネットだ。ばーかばーか。
……あ、話それた。とにかく、大手だからと言って、相手の言うことを丸侭鵜呑みにするのは危険ですね。被害に遭われた方が、何十倍もの幸運に恵まれますように。
そんなわけで、今日も読書感想文。大好きな窪美澄さんの、「アニバーサリー」を読ませていただきました。
結論から言って、もうこの作品はチャンピオンです。チャンピオン……なんか懐かしい響きだな。秋田書店の漫画雑誌みたいですが、私にとってはそれぐらい響きました。とにかく、「ふがいない僕は空を見た」で始まった窪さんの不安定な物語が、ここで結実したんじゃないか、と思いました。……エラそうなこと言って、まだ全部著作を読ませて頂いたわけではないんですが。
とにかくまあ、面白かったんですよ。主人公はダブルヒロインで、マタニティスイミングの教師をしている晶子と、カメラマンをしている妊婦の真菜。晶子は戦争を経験している老人で、真菜は20代の若い妊婦です。最初に語られるのは晶子の半生。これがひとりの女の一代記としても引き込まれる、迫力の物語です。
裕福だった晶子の実家、使用人たちの分まで手を抜かずに料理を作る晶子の母親。家族で避暑に訪れた海での光景、疎開した先での友達とのかけがえない思い出。全てがキラキラと輝いています。やがて結婚し、我が子の死を乗り越え、晶子はマタニティスイミングの先駆者に師事し、自分もその道に心血を注ぐことになります。
対して真菜の半生は、闇そのもの。料理研究家の母親に顧みられることなく、切ない子供時代を過ごした末に、真菜は売春に走ります。唯一の憧れだった、カメラを自分の力で手に入れたかったんですね。やがて自分が身体を売ったカメラマン、岸本を師事し、カメラで身を立てていく真菜。けれど遊び人岸本に時間と若さと身体を捧げ、最終的には真菜はポイされてしまいます。そして、別れてから自分のお腹に命が宿っていることに気付いた。
そこで晶子と真菜は出会うんですね。やけっぱち真菜は知り合いに誘われてマタニティスイミングを始めますが、乗り気でない不良妊婦です。……いるよね。妊娠してても酒も煙草も止めない人とか普通にいますからね。社会は縦に出来ているので、下を見れば知らない世界はいくらでも覗けます。真菜はそういうところを歩いてきた女の子ですが、性根は決して腐っていません。そして、そこであの東日本大震災が起こります。
力強い高度経済成長期を生き抜いてきた晶子と、ノストラダムスの予言を本気で信じて薄目を開けて平成を生きてきた真菜。ふたりの間に生まれてくるのは真菜の娘。……ああ、迫力でした。前回、作品の「在り方」とか「なり方」みたいな話をしましたが、これは壮大な「なり方」だな。窪美澄さんは丁寧に主人公の感情を描き出す作家さんですね。どうしてこういう事態が起こったか、そしてここからどうなって最後にはどうなるのか、の「なり方」をとても丁寧に書いて下さる。真菜の「なり方」、この覚悟の決め方はきっと窪さんの持っている覚悟なのでしょう。ほんと、めちゃくちゃカッコいい女の人だなあ……。
と、いうわけで、窪さんが好きです。ツイッターもフォローしてるんですが、自分の本の書評をエゴサして「読んで下さり、ありがとうございます」って返信なさるんですよこの方。……なんて生真面目な……。やはり真面目が行き過ぎてこうなってしまったんでしょうか。好きです。私はこういう女の人が好きです。
いつか、私も老人の半生をこんなに美しく書きたいな。老人がちゃんと出てくる話を書いたことがない。三世代の絵巻物を書きたい。血族の物語、みたいな。「赤朽葉家の伝説」もすごく面白かったし。多分私こういうのが好きなんだよなあ。
そんなわけで、今日は終了。家族が寝たので、今から小説を書きましょう。
では、おやすみなさい!