はー、いいお話読んだ。
こんばんは、渋谷です。
オール讀物に出す短編の推敲を始めました。久々に読むと粗が見えるねー!序盤がもう崩壊してる!いそいそと直しましたとさ。
中盤から後半にかけては熱を帯びてきてなかなか面白かった。犯人もうまく隠せてると思う。でもまだまだ人目に触れさせられるものじゃないなあ。明日もちみちみと修正していきたいと思います。
140枚を102枚に削って、それを大雑把に推敲すると103枚になったのよね。まだまだこれからいじらなあきまへんわ。いじりましょう。100枚にできるのかなあ。まあ無理なら140枚バージョンも保管してるので、それをどっかに出してもいいし。
最近、小説書くのにGoogleドキュメント使ってるんです。リアルタイムに保存してくれるので、「ぎゃああ、ここまで書いたやつ全部消えたあ!」がないし、スマホにもアプリ落としたら互換性があるんですね。便利です。ご使用でない方は検索なさってみてはいかがでしょうか。
まあそれはそれとして、今日も小説現代長編新人賞受賞作を読みましたよ。今日の作品は中澤日菜子さんの「お父さんと伊藤さん」。公募受賞作にして、なんと映画原作となった作品なんです。
作者の中澤日菜子さんはこの作品で作家デビューなさる前に劇作家として活躍されていた方です。有名な賞も受賞されていたようです。この「お父さんと伊藤さん」は第8回、2013年の受賞作です。受賞時中澤さんは44歳ということになるかと思います。
もともと劇作家として活躍されていた方だけあって、話し言葉やキャラの個性に光るものがあって、あっという間の読了となりました。何ともハートフルな作品。映画の脚本として書かれていたのではないかと思うぐらい、目の前に映像が浮かび上がってくる作品でした。うん、こりゃ即映画になるわ。
しかもうちの夫が好きなタイプのやつだ。こういうのを見ながらうちの夫はよくこっそり泣いてます。三丁目の夕日とか。東京タワーとか。私はあまり好むタイプのお話ではないんですが、でも面白かったよー!やっぱり実力のある方の作品は、いくら畑が違うといえど輝かざるを得ないものなんですね。
主人公は書店勤務の女の子、彩ちゃん。34歳独身です。映画では上野樹里ちゃんが演じています。
この彩ちゃんが同棲している彼氏がなんと20歳上。伊藤さんといいます。映画ではリリー・フランキー。職業は学校給食のバイトのおじちゃん。のんびりとした、とても人間性のいいおっちゃんです。
この二人はもう1年以上同棲しているのですが、そこにある日突然彩ちゃんのお父さんが転がり込んでくるんですね。映画では藤竜也さん。分かりやすく頑固オヤジなお父さんは、元小学校教員です。妻である彩ちゃんのお母さんが亡くなり、長男の潔さんのところに身を寄せていたのですが、潔さんの奥さんの理々子さんがノイローゼになっちゃって彩ちゃんが押し付けられちゃった形です。おおう……他人事とは思えんぞ。どの家庭にもあり得る、親の押し付け合いですね。しかも彩ちゃんの同棲中の彼氏は特殊キャラの伊藤さんなんだから始末が悪い。
彩ちゃんは当初、お父さんとろくろく口をきくこともできません。厳格だったお父さんの教育を思い出し、委縮しちゃうんですね。でも伊藤さんはどこ吹く風。お父さんに気を遣っているような遣ってないような、微妙な距離感をもってお父さんのハートに少しずつ侵食しちゃう。この伊藤さんという人のキャラがこのお話のすべてといってもいいぐらい、とても魅力的な人物像なんです。そりゃリリー・フランキーが演じるはずです。あの方のひょうひょうとした雰囲気がぴったり。あて書きしてるんじゃないかと思うほどよ。
でまあ、この伊藤さんがとりなすような形で、潔さん彩ちゃん兄妹とお父さんが和解していく。ざっくり言えばそれだけの話です。でも、そこに配置されたスパイスが素晴らしいのよね。お父さんの故郷である信州の自然、「買って食べるものではない」とお父さんが言う柿の木の枝ぶり、SNSと家族の距離、お父さんが大切にするアパートの庭先の琵琶の木……。
お父さんが長年握りしめてきた、プライドと寂寞が生家の火事によって燃え尽きてしまう。クレプトマニア(万引き魔。つい最近こんな話書いた気がする)のお父さんが抱えてきた心の闇がさらされ、傷ついた彩ちゃんを救うのは、結局何もせず何も言わない伊藤さんなんですよねえ。うん、なんか一言ではまとめられない、すごいあたたかい話だったわあ……。
いやね?この「お父さんと伊藤さん」ほんと、面白かったです。一気に読んじゃった。伊藤さんも彩ちゃんもお父さんも小枝子おばさんもめちゃいいキャラだった。大旋風は巻き起こさないけど、映画が好きな人が「あ、その映画見た。いい作品だったよね」なんて言い合うような作品です。でもね、正直言うと悔しいな。だって中澤さん、もう第一線で活躍されているプロなんだもん。
劇作家としてプロなんだもん。こんな人が横にいたら新人賞を目指す素人たちは指咥えるしかないですよー。まあそれが新人賞というものなのだろうと、分かってはいます。いますけど、ちょっといちゃもんをつけてみたくなった笑 それぐらいこの作品は魅力的でした。面白かったです。
家族もの、苦手なんですけどね。自分の実家も振り返って、そのうち書ければいいな。私は兄弟が多いので、それぞれから見た両親とか。あの頃の葛藤とか絶望とか。ネタはどこにでもあるもんなんですね。アンテナを伸ばして生きていきたいと思います。
さーもう寝よ!明日子供プール開きだって。今日歯医者行ったらシーラント2本で2400円もしてちょービビった!松山市は幼稚園児医療費タダだったのよー。来年1月から小学生もタダになるんだけど、この半年の間は医療費かかっちゃうのね。
明後日は私が健康診断かつ癌検診だし。酒を飲んでる場合ではありません。というわけで。
おやすみなさいー!