読書感想文103 西加奈子 窓の魚 | 恥辱とカタルシス

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作家志望、渋谷東子と申します。
よろしくお願いします。

豪華客船に乗りたいですね。

 

こんにちは、渋谷です。

 

 

 

豪華客船に乗りたいのですよ。クルーズ。日本船ならにっぽん丸とか飛鳥Ⅱとかですね。あとぱしふぃっくびーなす。乗りたいのです。もちろん、海外のクルーズ船でも構いません。

 

昔々からなんか船旅に憧れているんですね。一時期、只野仁の人がBSでクルーズの番組やってたじゃないですか。大好きで毎週楽しみでした。花火を見るためのディナークルーズ、とかなら数回乗ったことがあるんですが、お泊りしたことはないのよ。ああ、大阪高知特急フェリーなら泊りましたけど。そういうんじゃないの!私が乗りたいのは豪華なやつ!オールインクルーシブでいつでも美味しいものが出てきて船室にバルコニーがあって海外の寄港地に寄ってくれるやつ!

 

最近どーしてもどーしてもクルーズに行きたくて、YouTubeでクルーズ動画ばっかり見ていました。朝ごはん食べながらクルーズ。昼ごはん食べながらクルーズ。そしたら、明日のマツコの知らない世界で「豪華客船の世界」やってくれるんだって!前から年一ぐらいでやってたけど。もう今日から楽しみで楽しみでたまりません。

 

いつかは世界一周クルーズに出かけたいものです。英語に若干の不安がありますが(若干どころじゃねえな)、子供が何とかしてくれるはず。しっかり勉強して通訳頼んだよっ!

 

そんなわけで今日も読んだ本の話。西加奈子さんの「窓の魚」です。

 

 

 

結論から言うと、「ちょっと隠し過ぎ!」でしょうか。

 

仕組みはとても面白いお話です。ナツ、アキオ、ハルナ、トウヤマの四人の若い男女が、温泉宿にお出かけをするのですが、そこで一泊した翌朝、ある女性の死体が敷地内の池から発見されます。そこに至るまでのナツ、アキオ、ハルナ、トウヤマそれぞれの視点から見た一夜に、事件後に警察の取り調べを受けていると思われる旅館の従業員など、関係者の証言が挟まれた形で描かれています。

 

だから最初にナツが感じた一夜が、次にトウヤマの視点から見た一夜、ハルナの視点、アキオの視点と繰り返されていくわけですね。間の関係者の証言で、「あ、この旅館で誰かが死んだんだ」と読者には分ります。でも、誰が死んだのか、どうして死んだのかは明らかになりません。

 

 

明らかになりません、て言っても、普通終盤になったら「山田花子さんがこんな理由で死にました」ってはっきり書かれているものじゃありませんか。これがね、最後の最後まで明記されてないの。「自分で考えてねー」なんだけど、そのヒントが少なすぎる!しかも皆がかなり病んでて、ナツに至っては薬で幻覚を見ている状態だから、そのヒントが余計事態をややこしくする!登場人物たちのちょっとしたボタンの掛け違いすらもちゃんと外されないまま話が終わってしまう!これは……もはや前衛的とすら言っていい作品なんではないでしょうか……。

 

 

 

まあね、丁寧に読み解いていけば、「あーこの人はこのトラウマのせいでこうなっちゃって、この人とこの人はこんな関係になっちゃって、結果あんなことが起きてしまったのねえ……」と分かるには分るんですが、それすらもあまりに少ないヒントのせいで、本当に正解なのか自分でも自信を持つことが出来ず、なんだかもやもやが残ってしまいます。「あ、あの伏線はここに繋がるのね!」はそれが爽快感を伴うものだと思うんですが、この作品の場合「あ、ああー、そういうことか。でもほんとに?証拠出してよ証拠」みたいな気持ちになる。結局トウヤマは薬やってたの!?死んだ女との関係は!?ナツは最終的に死ぬの!?何もかもわからーん!

 

面白い構成ではありました。一つの事実を4人の人間がどう解釈していたか、というのを順番に明らかにしていく。その脇で少しずつはっきりしていくひとりの女の死。サスペンスと言うか、ミステリーと言うか、人間ドラマと言うか、サイコものと言うか、色んな要素があってそこは面白かったです。でも、あまりにも隠し過ぎているんだよなあ。

 

もうすぐ書いてたミステリーの短編を掘り起こして推敲しなくっちゃなのですが、参考になりました。やっぱり隠し過ぎると読者はすっきりせんね。読者はお客様で、お客様には読後にすっきりしてもらわんといかん。どんでん返しは必要ですが、秘めるが花、ではないのですね。

 

そんなわけで若干もやっとしてしまいました。多分西加奈子さんの作品の中でも珍しい毛色の作品なんじゃないかと思います。次は「THE・西加奈子」を探そう。では。

 

またねー!