読書感想文99 山田詠美 風葬の教室 | 恥辱とカタルシス

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作家志望、渋谷東子と申します。
よろしくお願いします。

あっという間に読了ー。

こんばんは、渋谷です。



平林たい子文学賞って知ってますか。それを受賞した山田詠美さんの「風葬の教室」を読みましたよ。短編です。他に「こぎつねこん」という短編も収録されたこちらの作品。薄い本だったのであっという間に読了です。しかし、平林たい子って誰なんだ。

私が知らないだけで、有名な作家さんなんでしょうね。「風葬の教室」、短いお話ですがなかなかにぎらついた作品でした。山田さん、私やっぱり好きだわあ……。



主人公は杏ちゃんという小学5年の女の子。転校続きだったせいか、大人びた感性を持つ可愛らしい女の子です。クラスのみんなは都会からやってきた杏ちゃんに憧れの目を向けます。けれど、人気者の若い男の先生が杏ちゃんをえこひいきしちゃうもんだから、いつの間にかハブられっ子になっちゃう杏ちゃん。

先生空気読めよなー。杏ちゃんはちょっと女としての魅力も芽生えちゃってる子なので、先生はそういう目でも見てしまってるんでしょうね。クラスの女ボス恵美子ちゃんはこの男の先生のことが大好き。恵美子ちゃんの顔色を伺って、クラス全員が杏ちゃんをいじめ始めます。

たったひとり、アッコというあだ名の男の子だけは杏ちゃんをかばってくれますが。苛烈ないじめに杏ちゃんは自殺することに決めます。しかし遺書を書いている最中に、家族が想像以上に自分を思い遣ってくれていることに気付く。

死んじまったら家族を悲しませることになる。杏ちゃんは腹をくくります。ただいじめられているだけでなんていられない。血を吸って腹いっぱいになって大満足の蚊を、その瞬間に叩き潰してやろうじゃないか。

そこから杏ちゃんは強くなります。「ブス」と言われれば「どっちが?」

「おまえんちボロ屋」と言われれば「そんなん言うやつの心の方がずっとボロや」
 
杏ちゃんをいじめていた子供たちはしおたれていく一方です。杏ちゃんの勝利。だって杏ちゃんは、杏ちゃんを愛してくれる人たちのために幸せにならなきゃいけないんだから。

いいですね。真実に気付いた人間はいつだって強い。前半の重苦しい雰囲気から一転、すかっとする読後感でした。「こぎつねこん」も、「愛されているからこそ、それを失った時の事を考えるととてつもない恐怖に襲われる」という感情を表した作品。山田さん、きっとちゃんとしたご両親に愛されて成長した方なんでしょうね。



山田詠美さん、素敵な作家さんですね。もっと読みたい。「ベッドタイムアイズ」も「ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー」も読んだことない。読もう。そう言えば、山田さんて作家としてデビューする前はエロ漫画家だったんですって。面白い。だから感性が合うのだろうか。

また好きな作家さんが増えました。つぎは100冊目だ。何読もうかなー。楽しみ。

ではでは、おやすみなさい!