読んじゃったので書いちゃいます。
イチローみてます。渋谷です。
真藤順丈さんの「地図男」です。伝説の4作同時受賞の一角、ダヴィンチ文学賞受賞作。真藤順丈さんのデビュー作です。
ああ、8回表にイチローが打席に立つよ!ツーアウト!1球目はボールだ……。
いや、なんか違う話になっている。真藤さんですよ。2ストライクだ。ファウル。いかん、イチローから目が離せん。またもファウル。ああー、内野ゴロ。アウトでした。
あ、でも守備に出てくれるのね。いやー、やっぱりイチローはかっこいい。リアルタイムでイチローを見ながらの読書。真藤さんの「地図男」、イチローさながらのすごいエネルギーでした。
ホームレスの「地図男」はおっきな地図に物語を……、あ、イチローが呼び戻された。引退だあ……。でもいい笑顔。チームメイトと抱擁。これはどの本よりも感動的なシーンを見てしまったぞ。良かった良かった……て違う、「地図男」よ。おっきな地図に様々な物語を書きこんでいるんですね。その物語が起こった場所の地図上のページに。いわばゲームブックみたいな感じ。様々な物語が地図の余白に書き連ねられ、「p58へ」みたいな感じでつながっていきます。数多の物語が交錯する地図を持った男「地図男」と知り合ったのはフリーの映画助監督。……ちなみに今となりで夫がイチローに感動して泣いている。まあ、心洗われる経験があるのはいいことだ。
で、地図男が語る物語と、現実の中で地図男と助監督が交わっていく様子が入り乱れて描写されていきます。中盤まで、なかなか読みにくく慣れない構成です。でも中盤以降、地図男の特性と語られる物語の流れがわかってくると面白くなってくる。
地図男は自身の中で沸き起こってくる物語を地図帳に書き連ねている。「誰か」に聞かせようとしているのです。それは誰か。一連の物語に軸のようにして現れる一人の人物がいます。地図男はなぜ「地図男」となったのか。圧倒的なスピードで語られていく物語たちの中で、地図男の本質が明かされていく。これは疾走感にあふれたミステリーだったのだと読後に感じました。
不可思議な「事実」をまず提示して、その理由を語っていく中で疑問が生まれ、その謎ときをする。
読者を巻き込む構成なんだな、と思いました。見事に巻き込まれました。すごく勢いはあったけどすっきりとした読後感ではありません。ねじ伏せられた感じ。でもその力技が嫌いじゃないから巻き込まれちゃお、って感じ。多分あんまり好きじゃない人もいるだろうな、でも私は結構好きかもしれない。
こういう人とは一緒に飲むととても楽しそうです。真藤順丈さん、もっとたくさん読んでみたいと思います。直木賞受賞の「宝島」も。
あとイチローの記者会見見な寝れんわね。なのに延長に突入だ。夫の横では小説書けん。今夜も夜更かしになりそうです。
というわけで、またっ!