冬篭り | 流れ

流れ

水のように 風のように

 

 

今日も雪
今日の雪はまるでメレンゲ
お砂糖を入れた重たいメレンゲを世界中にドロリと乗せた感じ

 

今日の予想最高気温は0度
最低気温は何度だったんだろう

 

 


父は今年90歳になる
近頃 歳を取ったなぁ…と思う

 

先日夜の8時くらいに

「わし 気分悪い!」と急遽救急外来へ行った


結局は何でもなかったけれど
先生から
「外見は若そうでもやっぱり歳は歳だから気をつけて」と言われた


その言葉を何度もかみしめる

 

確かに外見は若そうに見える
杖は必要になったものの
一緒に病院へ行くとたいてい私と夫婦にみられる
そして姉はちゃんと娘にみられる
若そうな父と 老けている私と 歳相応な姉


物忘れもひどくなってきた
同じ事を何度も何度も言うようになった

活動量も減った
食べる量も減った
「やる気」がなくなったらしい

そしてとても寒がる
父は今日 達磨さんのようになっている
先日の救急外来では
看護師さんに「まあ…まずはお父さんに十二単を脱いでもらって…」に爆笑した


顔に皺も染みも増えた
頬が下がって
口がいつも「への字」になっている
祖母にそっくりになった

 

若いときから「仕事一筋」
趣味なんてものは性格的に無理だった
何もかにも一生懸命だから「楽しむ」がなかなか難しい


そんな父が歳をとり
あちこち体も痛くなり
力も出なくなり
肉体的に不自由になってきた
精神的にもいろいろ「やる気」になれない様子


でも

「何か仕事をしなくっちゃ…」
「わし男じゃけぇ 長男じゃから narumiは弱いけぇ」
「でもするのはもう体がしんどい」


…父の気持ちが手に取るようにわかる

 

 

「楽」でどうでもいいような…
してもしなくてもどっちでもいいような
私がすればいいような仕事を一生懸命やっている


高いところの作業や両手を使う作業
重いものは私の作業になった

 

 

今オリンピック真っ只中
「テレビをみんさいや」と声をかける


「うん。そうよのう」とテレビのスイッチを入れるものの
何を見てもあまり集中できていない様子
チャンネルばかりをくるくる…

 

昔の父を思い出すと

冬は冬で「藁仕事」だったり冬野菜の出荷だったりと

いつも「仕事」をしていた

 

たぶん 罪悪感とか自己嫌悪とかが「楽しい」を蝕んでいるんだろうな
何度も「やれ こがな天気じゃぁ何もできん」を口に出す

「冬篭りじゃ思うて何か楽しいことをしんさいや。体を休めるんじゃって思いんさいや」と

応えるものの父の心には届かない

 

 

父の「歳」を思うと
私も時々はため息がでてしまう


でも気がついた


大好きだった祖母と父が合体したのが「今の父」なんだ

お父さんでありおじいさんなのだ

これが歳をとるということなんだ

…また祖母と一緒にいた頃の暮らしが楽しめるのだ
ありがたいことだ
今回は「オババ」じゃなくて「オトジ」ってところか

 

 

オトジの冬篭りの間の主な仕事は

 

その1 病院へ行くこと


その2 風呂焚き
うちは「マキ」でお風呂を沸かさなくてはいけない
夜お稽古に出る日
「父さん、うち今日はお稽古に行くけぇ仕事から帰ったらすぐお風呂に入る」
と言っておけば
帰ったら煮えるほどお風呂が沸いている


その3 私が朝寝坊した時の洗濯
洗濯機で「洗う」は洗剤の量や柔軟剤や漂白剤があって「わし わからん」らしいが
「干すのは干しちゃるで」と干してくれる
洗濯物は見事に手も足も縮まっている
洗濯干し棚を小まめにお日様が出てくだされば外に出し
曇れば廊下に取り込んでくれる(…私はそのまま)


その4 生協の受け取り
仕事に出るまではグループに入っていた
そのままグループなので木曜日はご近所さん家まで父が行って
荷物を分けて家まで持って帰ってくれる

 

なんとも… なんともありがたい

 

 

もうすぐ春になる
お日様は随分と明るくなったし長くなった

そうすると「おんも」が父を呼んでくれる


父もまた十二単を脱いで「オトジ」から「父」に戻る

 

 

 

お父さん 幸せをありがとうね