どうも、中田です。
2020-12-14 16:50:00ヒーラー、コーチ、セラピストが内部表現を書き換えないで、人を良い方向に動かすには?では、行動経済学のナッジ理論について、そして、倫理的側面に簡単に触れていきました。
ナッジ理論とは、2017年ノーベル経済学賞を受賞した行動経済学の権威である、シカゴ大学のリチャードセイラー教授が行動経済学の理論的発展への貢献の中核となった理論です。
ヒトは合理的経済人のエコノではなく、限定合理的なヒューマンであるという前提のもとに、選択アーキテクチャという概念を基に構築されていて「本人は自由意志で選んだつもりだけれど、実際は最良の選択を選ばされている」ということで、「一人ひとりが自分自身で判断してどうするかを選択する自由を残しながら、人々を特定の方向に導く介入」のことでした。また、ブログで初出という意味合いでの新しい概念としてシステム1型ナッジ、システム2型ナッジを紹介しました。
今日はより実践的で具体的な内容について講義していきます。
・ナッジの2種類の手法とは?
ナッジには大きくわけて2種類の手法があります。
1、情報提供型ナッジ2、デフォルト設定型ナッジの2種類です。
2020-12-14 16:50:00ヒーラー、コーチ、セラピストが内部表現を書き換えないで、人を良い方向に動かすには?の記事の中でも、よくよく目を凝らしていただくと、情報提供型ナッジとデフォルト設定型ナッジの2種類が使われています。
コーヒーショップの例が情報提供型ナッジ、年金問題の例がデフォルト設定型ナッジです。
情報提供型ナッジとは、情報を提供するだけでなく、情報提供の方法、文章、デザインを工夫することでよりよい方向に意思決定を変えていくもののことを言います。
デフォルト設定型ナッジとは、我々がデフォルトからの変更の手間がどれだけ小さくても、デフォルトの選択を選ぶ傾向がある、現状維持を続けたいという気持ち、デフォルトを何らかの参照基準にしてしまい、そこからの変更を損失だと考える特性、デフォルトから変更しようとは思うがそれを咲きのばしてしまう特性などを利用したナッジのことです。
現状維持バイアス、損失回避バイアス、現在バイアスを効果的に利用して利益を得ようという手法になります。
例えば、一度携帯会社を決めると、ほかに安いプランが別の会社ででたとしても我々は変えていないと思います。合理的には別の携帯会社に変えた方が割安にもかかわらず、です。これがまさに現状維持バイアス、損失回避バイアス、現在バイアスです。僕もスマホ会社を変えよう、変えようと思っていても、使えているから今のままでいいか、、、とズルズルとハマっています。知っていてもなかなか改善できないので、強力です。
というと、「脳と心の取説 バイアス編」という講座を作りましたが、この講座はバイアスを解除する講座だったのですが、バイアスを解除するのではなく、利用するという方法もあったわけです。
認知バイアスの解除方法は、ちょっと公開するのが早すぎましたかなと思ったのですが、コロナ禍で必要な人もいるだろうと思って公開しました。
・情報提供型ナッジ
2019-05-04 20:00:00最良のカフェテリアの陳列とは?1~5のどれを選びますか?実践行動経済学の記事では以前情報提供型ナッジについて具体例を出していました。
あなたはコンサルタントになったとして、カフェテリアの商品の陳列をするとします。そして、最良のカフェテリアを経営する中で、商品の陳列をするとしましょう。
あなたは1~5のどれを選んでコンサルをしますか?
1総合的に判断して、お客さまたちにとって最善の利益になる商品を並べる
2商品を並べる順序をランダムに選ぶ
3お客様たちが自分で選ぶだろう商品を並べるように並べる
4最高額の賄賂を差し出す供給会社から調達する商品の売上高を最大化する
5儲けを最大化する事に徹する
あなたはどれを選びましたか?
1は誰の目にも魅力的に映りますが、押しつけがましい感じがしなくもありません。
2は公正で中立な感じがしなくもありませんが、一部のお客様はカラダに悪いものばかりを選び健康を害することが知られています。
3はお客様たちが自分で選ぶだろうと書かれていますが、この選択自体が商品の陳列やアンケート用紙の順序に左右されることが知られています。なので、現実的には難しいものになります。
4は商品の並べ方を操作するという武器庫が1つ増えることになります。
5は最高に儲かるカフェテリア=最良=儲かるならば問題はないかもしれないが、お客様の健康は損なわれます。
で、この中で1の選択アーキテクチャーが「ナッジ(リバタリアンパターナリズム)」になります。
僕が見る限り、多くのヒーラー、コーチ、セラピストは5の自身の最高に儲かるカフェテリアを目指しているように感じています。僕としては、かなり疑問を感じていますが、ただ世の中的にはそれがスタンダードという事実も分かります。例えば、コンビニのレジの横にお菓子を置くのも、健康よりも企業の利益のために置いているわけですからね。
ナッジ=リバタリアンパターナリズムと言われますが、(ちょっと上から目線の)自由主義者のおせっかいと訳されるのはこういう意味合いもあるからです。
情報を提供するだけでなく、情報提供の方法、文章、デザインを工夫することでよりよい方向に意思決定を変えていくものになります。
・デフォルト設定型ナッジ
デフォルト設定型ナッジの具体例は、テレビのチャンネルのNETFLIXの例が分かりやすいんじゃないかなと思います。
最近TVを購入すると、メーカーにもよりますが、ほぼリモコンにNETFLIXボタンが付いています。もしくは、YouTubeかネットフリックスはデフォルトアプリとして入っています。これがデフォルト設定型ナッジの典型になります。あなたはNETFLIXが要らないと思っていようがいまいが、かかわらず、デフォルト設定でついてきます。そして、デフォルト設定は解約をなかなかしないのです。これによってNETFLIXは加速度的に利益を増しました。
別の例でいうと、コピー機が両面印刷ではなく片面印刷にデフォルト設定されているのもそうです。また、スマホの契約時におじいちゃんおばあちゃんに向けて要らないオプションを付けまくるのもデフォルト設定型のナッジで、悪いナッジの「スラッジ」と定義してもよいでしょう。
・ナッジと教育
法律と公共政策については、「教育型ナッジ」と「非教育型ナッジ」を区別することが役に立つとハーバード大学ロースクール教授でセイラー教授と共著者のキャス・サンスティーン教授は説きます。
ただ、僕としては、法律と公共政策だけでなく、そのままヒーラー、コーチ、セラピストがクライアントへの教育にも役に立つと考えます。
教育的ナッジには、開示義務、リマインダー、警告が含まれ、人々が自分自身の行為主体性の力を高めることを特に目的としています。
一方、非教育的ナッジには、デフォルトルールと順序効果の使用(メニュー、カフェテリア方式の食堂)が含まれ、選択の自由を確保するように設計されているが、個人の行為主体が高まるとは限らない、とされます。
政府機関が行う「教育的ナッジ」は、熟考が果たす役割を大きくして、より考えて判断を下すようにすることで、システム2の働きを強化しようとする。真っ先に思い浮かぶ例が、関連する情報の開示である。「ブースト」とも呼ばれるある種のナッジは、統計リテラシーを高めるなどして、自分で選択する能力を高めようとするものだ。「非教育的ナッジ」は、システム1に訴えかける、あるいは活性化させるように設計されている。健康リスクの画像警告は、少なくとも教育の目的や効果があると理解されていなければ、非教育的ナッジの例とみることができる。
なかだアカデミーシリーズやこのブログでは、「教育的ナッジ」を行っているとも言えます。
「教育的ナッジ」は、熟考が果たす役割を大きくして、より考えて判断を下すようにすることで、システム2の働きを強化しようとする。真っ先に思い浮かぶ例が、関連する情報の開示である。「ブースト」とも呼ばれるある種のナッジは、統計リテラシーを高めるなどして、自分で選択する能力を高めようとするものだ。p186データで見る行動経済学 全世界大規模調査で見えてきた「ナッジの真実」キャス・サンスティーン ルチア・ライシュ
とあるからです。
・ナッジを使う者への権利章典
ナッジを使うものへの「ナッジの権利章典」を簡単に解説します。
掲げられている項目は具体的な規定ではなく、幅広い原則と受け止めるべきで、今後も実践を重ねながら、具体的な内容を補足していく必要がある、暫定的なものとサンスティーン教授は言っています。
倫理的側面からこの原則をできる限り守って運用していきましょう。
1ナッジは正当な目的を促進しなければならない
2ナッジは個人の権利を尊重しなければならない
3ナッジは人々の価値観や利益と一致しなければならない
4ナッジは人を操作してはならない
5原則として、ナッジは明確な同意がないまま人からものを取り上げて、それを他人に与えるようなものであってはならない。
6ナッジは隠さず、透明性をもって扱わなけれないけない。
・内部表現を書き換えないで人を動かす
ザーッと内部表現を書き換えないで人を動かす手法を観てきました。
中には内部表現を書き換えて人を動かす手法と捉えられる手法も入っているので、前回の記事では(ほとんど)と書いています。
しかし、内部表現を書き換えよう、書き換えようと思っているとうまくいかなくなるものです。経験上、反発も起きやすいです。
なので、こういった「内部表現を書き換えないで人を動かす手法」も知っておくと今後ラクになるんじゃない?という提案でした。
最後に、いつもよりも長めの記事を書きました。
どうもこういったことをまともに考えたことがない人が多いように感じていたからです。そういう人がヒーラー、コーチ、セラピスト、また、リーダーをやったらヤバいとも思います。
ただ、現実問題はヤバいと思うけれど、ヤバい人や企業の方が多いような気もしています。スーパー、コンビニ、お店に入るたびに残念に感じるからです。今後に期待して、まだまだこれからと期待するか、絶望するかは僕次第なのでしょう。日本は世界的に見ても慎重派でナッジ後進国だからです。
「地獄への道は善意で敷き詰められている」という言葉が好きなのですが、馬鹿がリーダーをやってはいけない、全員に迷惑がかかるから、とも言われます。
今回の一連の記事を通して、「なぜ内部表現を書き換えるのか?」や、「相手の利益100%って何か?」「倫理的問題」と少しでも疑問に思ってくれたのならば、良い仲間になれるかも、と思っています。
追伸:まじめな記事を書いてしまった^^
【参考書籍】
・ハーバードロースクール教授だけあって、法学という法の抽象論だけでなく、具体的な事例での運用を余儀なくされるからだと思うのですが、ここら辺の臨場感が良い具合と上から目線になってしまいますが、、、評論しておきます。
ただ、デールカーネギーの「人を動かす」、チェルディーニの「影響力の武器」を行動経済学でアップデートするという意欲作ですが、「この書籍だけを読んでもセンスがよっぽどある人でないと運用できないだろうな」と感じました。
もう一歩実務的アドバイスがあれば、、、とも思いますが、まだ発展途中の分野ですからそこは慎重なのかもしれません。
もしくは、僕のような人が今週末のなかだアカデミーなどでやるべきことかもしれません。(やろうとは思っています!)
・日本は世界各国に比べてナッジ支持国の中でも「ナッジ後進国」という事実がデータから分かります。みんなやっているので、僕たちだけ遅れてる!?
原宿・北参道・新宿・渋谷・恵比寿・表参道・池袋・六本木・東京・世田谷などからお越しいただいています。
●中田真広実績
はじめまして、中田真広と申します。
2012年から開催しているセミナーには、
台湾、東京、大阪、広島、福岡、北海道から沖縄まで、全国からお越しいただいております。
ヒーラー養成講座では、気功がはじめてわかった方や、サラリーマンを辞めて、独立起業し、サラリーマンの年収を超えた方や、ガンが改善した方や腰痛が改善された方やひきこもりが家を出た方や小顔になった方など多数。
コーチングやコンサルでは、現状の外側のゴールを設定されて、会社を設立された方や起業された方や有料セッションでお客様がいらした方やブログ記事を2年以上書き続けられている方やピアノのコンクールで久しぶりに1位を取り県知事賞賞金50万円を貰った方などが多数。
パーソナルトレーニングでは、はじめて腹筋下部が分かったり、三角筋などの筋肉が意識できた方が多数。2019年ラスベガスでミスターオリンピア観覧。2019年ベニスのゴールドジム1号店に行く。
お客様の感想450件を突破。
バーチャル講座100本突破。
ブログ記事3000記事突破。
起業して3年目で会社を設立と同時に年商1000万円を突破。2000万円も!(現7年目)
書籍5冊出版、全巻Amazon起業、成功哲学、美容、ダイエットランキング1位を獲得。
認知科学に基づく気功、コーチング。ビジネス、筋トレの著者であり、プロコーチ、経営コンサル、ヒーラー、トレーナー、セミナー講師をしています。
株式会社なかだ 代表取締役 中田真広