明日、あさから台湾旅行に行きます。出発まで、あと8時間となっています。
今回は、九份にも行く予定になっていますので、調べてみました。
《2013.11.8 周南市 東郭》

九份は、台北の東北東に基隆市の近郊にあります。
距離は30km、車での時間所要時間は一時間弱としているのが一般的であります。
テレビ等で九份の老街が幾度も紹介されていますが、昔、台湾へ4度行った時には、観光地で
はなかったので、知りませんでした。
九份は、9つに分けると言う意味ですが、由来はもともと9世帯しかなく、開墾地を9つに分けた
とか、買い物はいつも9つに分けたからだと言われているようです。
映画「千と千尋の神隠し」に出てくる街並みそっくりと紹介されて日本・台湾で有名になったそうですが、その製作年は、2001年であります。
でも、もっと以前に、この街は栄えていたのであります。
19世紀末に金鉱山が発見され日本統治時代に日本建築などの街並みが出来あがったと聞きます。しかし戦後には金の採掘も減り、1971年には閉山となって忘れられた町になりました。
ところが、1989年に台湾映画「非情城市」という映画がヒットし、ベネチア国際映画祭で、
金獅子賞を受賞し、世界中でこの町が有名になりました。
同時に、この映画のロケ地に九份の老街が現われて、観光客のブームになったのだと言います。
「非情城市」が大ヒットし同時に九份の町に観光客が押し寄せたのには、台湾成立時代の
生々しい史実を描いているからでした。
中華民国は、台湾の日本統治が第二次大戦で終ると、台湾遷都を余儀なくされました。
中国から台湾に渡って来た臨時政府の外省人と、もともと在住の本省人が対立したのです。
その事件は、二・二八事件と呼ばれ、発端は政府役人が煙草の闇販売をしていた40歳女性
を銃剣で殴打し商品と現金を奪ったことからでした。これに同情し憤懣を抱いていた本省人は
抗議デモを行いました。そして遂に取締官は民衆に発砲し無関係な人を殺してしまうのです。
それを契機に、中華民国長官府不信の抗議のデモが続き政府は戒厳令を敷いて弾圧・鎮圧に
乗りだします。弾圧・抗議の繰り返しは、結局戒厳令という形で40年間続きました。
本省人は約28,000人処刑・殺害されたという事です。
財産を没収され、処刑された本省人の悲しい歴史を描いた映画「非情城市」に人々が共感したのでは、九份の大人気から想像しても当然のことと思われます。
明日から、台湾旅行で九份の老街に行きます。
少しでも、九份の町に、「非情城市」の名残でも発見できればいいなと思っています。
《2013.11.8 周南市 東郭》