
モモイロペリカンは、羽を広げると3m以上になるという。かって、山口県宇部の常盤公園に「カッタ」君というモモイロペリカンがいた。
もともとインド・カルカッタ出身で「カッタ」君となったが彼は1985年常盤公園で日本初の人工ふ化で生まれたのだ。
彼を有名にしたのは800m離れた幼稚園に通い、園児と仲良くなったことだ。
山口県では「カッタ君」を知らぬ者はいない。
残念ながら2008年に亡くなったが、あのとき、一緒に遊んだ園児たちは今、大きくなってどうしているだろう。
もう立派な大人になって子供さんがいる人もいるかも知れない。
教室に入ってきたカッタ君は人気者で園児たちは、自分より大きいカッタ君に歓声をあげたり、驚いたりして路をあけた。
カッタ君は、その間を堂々と歩く。
両側の子供の方を向いて羽を広げたりして愛嬌たっぷりだった。
先生も決して制止せずみんなと楽しんでいた。

情操の教育はこういうことから生み出されるのだ。
あの時の子供達はみんな優しい心で大きくなって、また自分の子供にそれを伝えていくに違いない。
そんなことを思い出しながら、わたしは
この松江フォーゲルパークのペリカンショーをみていた。

ここのペリカンは、フィリピンペリカンの「イブキ君」と名付けられている。
2008年誕生ということだからまだ若い。
しかし、その動作はカッタ君とおなじで充分ユーモラスである。

なにをやるかというと、観客の前に行って大きな羽をひろげてみせるのである。
そして羽をバタバタさせる。
自分でぐるぐる廻って見せる。
すぐそばでやるものだから、風も起きる。

みんなの笑顔がいい。
幼児たちのびっくりする顔がいい。
観客も大喜びで、盛んにシャッターを押す。
以下、「イブキ君」になった積りで・・・

“おうっ、おはようツー”
“よく来たな~君たち!”

“どうだ、この翼みてくれ”
“どうだすごいだろ!”

“バタバタ回りだそ!”

“エイッ、エイッ”
“サービスッ ・ サービスッ”

“どうだ、見てくれた?”

“兄ちゃん、疲れた ご褒美おくれッ”

”・・・・・・・・”

“ウーン この喉越し 最高ッ、”

“ヨシッ 次 いくぞッ”
《撮影 松江フォーゲルパークにて》