資料館の2階には壁面一杯、たくさんの絵馬が掛けられています。
 

 宮崎県日南市大字宮浦にある、鵜戸神宮(うどじんぐう)です。



 地元民が親しみを込めて「鵜戸さん」と呼ぶ鵜戸神宮は、宮崎県南部の日向灘に面した南九州を代表する神宮です。
 参道からは眼前に雄大な日向灘が広がり、見ごたえある奇岩が立ち並びます。2017(平成29)年には鵜戸神宮を含む一帯が「鵜戸」の名で国の名勝に指定されました。

 




 本殿へ向かう参道では、力強く打ち付ける波の音を聞きながら海の風と潮の香りを感じてください。早起きすれば、水平線から神々しく昇る朝日を拝むこともできますよ。特に年始は初日の出を見ようと多くの参拝客が訪れるスポットです。
 

 色鮮やかな朱塗りの御本殿は、海に突き出た岬の洞窟内に鎮座。神秘的な雰囲気に包まれた洞窟内には「お乳岩」や「お乳水」と呼ばれるパワースポットがあり、安産・育児・縁結びなどの御利益があるとされています。

 絵馬は、卯の日御縁日とシャンシャン馬の3題です。




 うさぎは鵜戸神宮の神使いとされ、鵜戸神宮のご神体の1柱である「鵜葺草葺不合命(うがやふきあわせずのみこと)」の「う「鵜」」の文字が兎へと転じうさぎが神使になったといわれています。
 この為12日ごとに巡ってくる卯の日は特に御利益があり、月初めさらには年始めの卯の日はさらに強力な御利益があるといわれています。第10代崇神天皇の頃から続く「縁日祭」は御神威が最も高まるとされる毎月最初の「卯の日」に行われています。

 4月から5月にかけてNHK「ブラタモリ」で、タモリさんが伊勢街道を訪れました。放送は五夜にわたり、旧東海道の宿場町桑名からスタートし四日市の追分から分かれて伊勢街道へ。


桑名 七里の渡し

四日市 追分

 ( 放送が )終わってからも反響はなかなかのもので、東海道四日市宿資料館のお客さまとのやり取りの中でも話題になりました。

 その後も、三重県観光連盟 が番組の撮影スポットを紹介して「聖地巡礼しませんか」と案内していたり、番組で案内役として出演した先生が行う講座にも「お伊勢参りの魅力」が登場し、まだまだ熱が冷めない様子です。これをきっかけに、注目されるのは喜ばしいことです。

 さて、伊勢街道は、文字どおり伊勢参宮の道です。伊勢本街道や伊勢別街道などのルートもありましたが、やはり、最もたくさんの旅人が歩いたのは伊勢街道だったのではないでしょうか。

伊勢街道 松阪市

  おかげで街道沿いは賑やかになり経済的恩恵は大きいものがあったと思います。

 近年、アニメーションやテレビドラマ、映画などのロケ地などは、れっきとした観光資源で、自治体等の宣伝活動も盛んになってきていますね。今で言う聖地巡礼が本来の意味からずれてしまっている事が良いか悪いかは別として、神宮 ( 伊勢神宮の正式名称 ) へお詣りするのは、まぎれもない「聖地」への「巡礼」です。
  令和16 ( 2034 )年の式年遷宮の一連の行事が、つい先日から始まりました。滞りなく進む事を願うばかりです。

内宮 宇治橋前

 ご存じのとおり、現代でも伊勢神宮への観光客は絶えません。江戸時代の旅人よろしく旧街道を徒歩で向かうもよし、クルマなら伊勢自動車道や国道23号、鉄道ならJRや近鉄もあります。アクセスは比較的便利ですので、それぞれ都合に合わせてお伊勢参りに出かけませんか。 (Y)
 資料館の1階には毎月、語り部ボランティア 山田さん手書きの「季節の俳画」をご提供いただいています。


 6月のお題は、「都忘れ(ミヤコワスレ)」と「鬼百合(オニユリ)」です。

 ミヤコワスレの花言葉は、「しばしの慰め」、「しばしの憩い」、「しばしの別れ」などがあります。
 「しばしの慰め」: この花を見て、都への思いを忘れられるという由来から来ています。
「しばしの憩い」: 一時的な安らぎを意味します。
「しばしの別れ」: 別れの悲しみを表現しています。
「短い恋」: 短い恋愛を象徴する言葉です。
「忘れ得ぬ人」: 忘れられない人への思いを表します。

 ミヤコワスレの花言葉は、鎌倉時代の承久の乱に由来しています。敗れた順徳天皇が佐渡に流された際、この花を見て「少しでも都のことを忘れられる」と語ったことから、「しばしの慰め」という花言葉が生まれました。このように、ミヤコワスレは別れや思い出に関連する花言葉が多く、特に悲しいエピソードが背景にあります。


紫の 厚きを 都忘れとて / 後藤夜半

その花を 都忘と 覚えゐて / 後藤夜半

むらさきは 都忘れや 虚子の塔 / 原裕

都忘れ 胸に点れる 人の言 / 相馬遷子

人恋し 都忘れが 庭に咲き / 高橋淡路女

世話なしの 都忘れの 株殖やす / 高澤良一



 オニユリは鮮やかな色をしており、黒い斑点が花弁についているのが特徴的です。
 「鬼百合」という名前で怖い印象をもたれることもありますが、実は花言葉自体には怖い意味は込められていません。そのため昔話に登場する「赤鬼」になぞらえて名前をつけられたとも言われています。

 オニユリの花言葉は、「華麗」、「陽気」、「威厳」、「気高さ」です。
「華麗」「陽気」といった花言葉の通り、オレンジ色の華やかな花姿がとてもよく映える花です。
 また「威厳」「気高さ」という意味も込められているため、花束をプレゼントしたい時には、おすすめです。


見おぼえの 山百合けふは 風雨かな / 立子

百合匂ふ 机にありて 夜もすがら / 上村占

持ち歩く 百合の花粉が 花汚す / 右城暮石

百合さすや 地獄廻りの 駕の中 / 野村喜舟

百合一枝 あまり短く 折にけり / 会津八一

百合開く 絵皿の中に ある異国 / 有馬朗人
 資料館の1階には毎月、語り部ボランティア 山田さん手書きの「季節の俳画」をご提供いただいています。


 今日のお題は、「薊(あざみ)」と「鉄線花(クレマチス)」です。

 アザミの花言葉は「独立」「報復」「厳格」「触れないで」です。

「独立」「報復」は、スコットランドに伝わる伝説に由来します。

「厳格」は、動物を寄せ付けない雰囲気や、春から夏にかけて凜と咲くアザミの特徴が由来とされています。

「触れないで」は、アザミの特徴である鋭いトゲが由来です。


双眼鏡 遠き薊の 花賜る / 山口誓子

花薊 八達嶺の 風の中 / 上野さち子

薊濃き 薄暑の雨の 花車 / 西島麦南

夕影に 薊淋しや 野の厩 / 高田蝶衣

大薊 死海へ下る 細き道 / 有馬朗人

高原の 夏の薊に 山の蝶 / 高濱年尾



 クレマチスの代表的な花言葉は、「旅人の喜び」「精神の美」「策略」です。

「旅人の喜び」は、ヨーロッパにて、旅人が快適に過ごせるよう、宿の玄関にクレマチスを植えていたことが由来しています。

「精神の美」は、補足弱々しく見えるツルですが、折れにくく大輪を咲かせることができ、毎年咲き続けるクレマチスの内にある美しさを讃え、「精神の美」という花言葉をつけたと言われています。

「策略」は、クレマチスの葉や茎からでる液体が皮膚につくと、その毒性からかぶれる事があることから、フランスの物乞いが、わざとこの毒素で皮膚をかぶれさせ、同情を誘ったという事が「策略」の由来になっています。


炎天の 清々しさよ 鉄線花 / 橋本多佳子

狂ひ咲く 鉄線 高さ失はず / 上田五千石

石に置く 鉄線の音 すみれ草 / 飯田龍太

荒れ藪の 鉄線花咲く 欅の木 / 飯田蛇笏

蔓はなれ 月にうかべり 鉄線花 / 水原秋櫻子 
 5月前半は、わりと天気に恵まれ清々しい初夏の陽気に誘われてか、東海道四日市宿資料館に、たくさん御来館いただきました。誠にありがとうございます。

 さて、 当館に来られるお客様は、圧倒的に関東地方からの方が多いです。地理的には近畿地方に属しますし、距離的にも近い大阪や京都方面からのお客様が少ないのはなぜなんだろうと考えてみました。 

 すぐに思い浮かぶのは人口の差ですが、それよりも何よりも、交通の便が全く違います。東京方面から三重県の四日市まで、鉄道がまさに「東海道」を縫うように敷かれ比較的スムーズに到着できます。また、三重県内の東海道がJR関西本線にほぼ沿っていて、桑名と亀山間は乗り換え無く往復できます。

 逆に、関西から東海道を進もうとすると、滋賀県の石部(宿)あたりまではJRで乗って来られると思いますが、水口や土山から三重県の坂下の間が公共交通の便が悪くなってしまいます。

 立ちはだかるのが鈴鹿峠。南側の迂回ルートのJR関西本線の加太越えや地元コミュニティバスがありますが、本数が少なく乗り換えも発生します。

 昔は鈴鹿峠と言えば、治安が悪く盗賊が出るので有名でした。

 平安時代に著された『今昔物語集』にも説話として出てきます。有名なのは「於鈴香山蜂螫殺盗人語 第卅六 ( 巻29第36 鈴鹿 (香) 山で、蜂、盗賊をさし殺す話 ) 」です。

 難所と言っても、かの「天下の剣」箱根に比べたら楽ですよね。その不便さも含めて鈴鹿峠の魅力だと思います。

 健脚の方は、ぜひ江戸時代の旅人のように峠を歩いてみてください。滋賀県側は比較的平坦で三重県に入ると急坂になりますが、下る場合は体力的には楽なのではないでしょうか。

  梅雨に入る前の今がオススメです。達成感という、ごほうび付きです。お気をつけて、行ってらっしゃい。 (Y)

片山神社
三重県亀山市(旧坂下宿)

鈴鹿峠 燈籠坂

万人講 常夜燈
滋賀県甲賀市土山