5月前半は、わりと天気に恵まれ清々しい初夏の陽気に誘われてか、東海道四日市宿資料館に、たくさん御来館いただきました。誠にありがとうございます。

 さて、 当館に来られるお客様は、圧倒的に関東地方からの方が多いです。地理的には近畿地方に属しますし、距離的にも近い大阪や京都方面からのお客様が少ないのはなぜなんだろうと考えてみました。 

 すぐに思い浮かぶのは人口の差ですが、それよりも何よりも、交通の便が全く違います。東京方面から三重県の四日市まで、鉄道がまさに「東海道」を縫うように敷かれ比較的スムーズに到着できます。また、三重県内の東海道がJR関西本線にほぼ沿っていて、桑名と亀山間は乗り換え無く往復できます。

 逆に、関西から東海道を進もうとすると、滋賀県の石部(宿)あたりまではJRで乗って来られると思いますが、水口や土山から三重県の坂下の間が公共交通の便が悪くなってしまいます。

 立ちはだかるのが鈴鹿峠。南側の迂回ルートのJR関西本線の加太越えや地元コミュニティバスがありますが、本数が少なく乗り換えも発生します。

 昔は鈴鹿峠と言えば、治安が悪く盗賊が出るので有名でした。

 平安時代に著された『今昔物語集』にも説話として出てきます。有名なのは「於鈴香山蜂螫殺盗人語 第卅六 ( 巻29第36 鈴鹿 (香) 山で、蜂、盗賊をさし殺す話 ) 」です。

 難所と言っても、かの「天下の剣」箱根に比べたら楽ですよね。その不便さも含めて鈴鹿峠の魅力だと思います。

 健脚の方は、ぜひ江戸時代の旅人のように峠を歩いてみてください。滋賀県側は比較的平坦で三重県に入ると急坂になりますが、下る場合は体力的には楽なのではないでしょうか。

  梅雨に入る前の今がオススメです。達成感という、ごほうび付きです。お気をつけて、行ってらっしゃい。 (Y)

片山神社
三重県亀山市(旧坂下宿)

鈴鹿峠 燈籠坂

万人講 常夜燈
滋賀県甲賀市土山