こんにちは!
企画委員の松岡です。
第14回東京フィルメックス中村登監督特集!
今回、僕が紹介する中村登監督作品は『二十一歳の父』です!
21歳というとちょうど僕らと同じ年頃です。
いよいよ、就職など将来のことも考えなければいけない難しい時期…社会や将来への不安に苛まれながらも、大きな選択や決断が否応なく迫られます。
この映画の主人公・基次はそんな時期、固くるしいエリート家庭に嫌気がさして家出をし、家出先で出会った盲目の女性・好子と結婚して、子どもを授かり父親となります。
21歳で結婚なんて僕にはまだ考えられませんし、ましてや父親になるだなんて全く想像が出来ません…
21歳で父親となった基次はすごく特別にも思えますが、
それでもやはりまだ普通の21歳の青年であって、僕らと同じように若さ故の自意識やコンプレックスに悩まされます。
エリート家庭の中で、父親や兄夫婦、世間体を気にし、落ちこぼれの自分や盲目の妻に引け目を感じてしまい……ある事をきっかけにあっという間に絶望の淵に追いやられます。
中村登監督特集に寄せた、黒沢清監督のコメントにあるように、まさに「垂直落下メロドラマ」です。
また、この作品では男性たちが人間味溢れ、非常に魅力的に愛らしく描かれています!
基次たち青年は、大人たちにわかってもらえなくても、不器用ながら自分たちなりに人生と向き合い自立しようとしています。そんな姿に、自分を重ねて感情移入し、胸を打たれました…。
大人の皆さん、どうか僕たち若者をわかってあげてください(笑)
基次を演じた山本圭さんの、常に何処と無く不安な表情の芝居はとても印象的で、感情を揺さぶられましたし、
その父親を演じた山形勲さんの愛する息子を心配しながらも、わかってあげることが出来ない姿はとても切なかったです。
基次が赤ちゃんを連れて仕事の面接に向かうというシーンは、基次も一生懸命なんですが、やっぱり何処か頼りなく見えてしまうという、何とも切なくて愛おしい、僕が一番好きな場面なので、是非注目してみてください!
もちろん、他作品のレビューで他の委員が言ってるような中村登監督作品特有の魅力的な女性も十分に描かれていますよ!
倍賞千恵子さん演じる盲目の好子は、本当に一途で健気で、本当に守ってあげたくなります!!
倍賞さんの芝居も、目線のやり方や手先の仕草など、本当に目が見えないかのようで圧巻でしたし、尚且つ非常に美しくもありました。
「親父どもはくだらんことをやっていると思うだろうな」
「近頃の若い奴らは何を考えているかさっぱりわからん」
ラストシーンにも繋がる印象的な冒頭の台詞ですが、
僕らもいつか「最近の若者は~~」とか言うような時が来るのでしょうか…
そんな時が来たら、この映画のことを思い出して、少しでも若者を理解しようと歩み寄っていきたいものです!
こんな僕たち若者の普遍的な姿が劇的に描かれた『二十一歳の父』は、
◎2013年11月28日(木) 10:20~ @ヒューマントラストシネマ有楽町
での上映となります!
詳しくは東京フィルメックスのHP
をご覧ください!
この機会にぜひお見逃しなく!!
親子で鑑賞とか特にオススメです!