中村登監督特集 『夜の片鱗』 | 第27回東京学生映画祭 オフィシャルブログ

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こんにちわ。

企画委員の中馬です。

最近更に冷え込んできましたね。

寒い日は映画を観てあったまりましょう…(´-ω-`)



ということで!第14回東京フィルメックス 中村登監督特集の東学祭レビュー連載も折り返し地点です!僕たちのレビューを読んで実際に有楽町の映画館に足を運んでくれた方はいらっしゃるのでしょうか?(気になります…。)



今回は前回のヴェネチア国際映画祭でも小津安二郎監督『彼岸花』とともに上映された『夜の片鱗』です。

さて、これまでのレビューでは散々、「中村監督作品の中の女性の魅力」について書かれていたので、僕は違うことを書こう!と企んでいました。しかし、『夜の片鱗』を観た途端、そんな意地は崩れ去ったのです…。


昼はレコード会社の下請け工場、夜はバーのホステスとして働く19歳の芳江は、バーの常連、英次に出会い、夜の街へ誘われそのまま身体を許してしまう。同棲を始める二人だが、英次は町のどうしようもないチンピラで芳江に売春を無理強いする。やがて客の一人で建築技師の真人間、藤井と出会い結婚を申し込まれるが…。

というのが物語の大筋です。



とにかくこの「夜の片鱗」、芳江演じる主演の桑野みゆきさんがとっても素敵です。ヤクザの食い物にされ、堕ちてく彼女の数年間が描かれますが、まだ大人の世界を知らない、うぶでチャーミングな19歳の芳江(死ぬほど可愛いです。大きなスクリーンで観れたらどんなに幸せか…)と、娼婦にも慣れ、諦念と孤独を抱え込んだ数年後の彼女(こちらも大人の色気たっぷり!)とでは、表情、声、立ち振る舞いすべてが痛々しいほど変わり切っている。その演技の幅が、芳江が生き抜いた残酷な運命に説得力を与えているし、性別も生きた時代も境遇も違う僕だって、完全に感情移入しまうんです。



彼女の生き様を通して、当時の女性の自立とか社会進出、娼婦を題材にしてるというのもあるし、一見は「社会的映画」ですが、中村登監督は男と女の「愛」を力強く、皮肉も込めながら提示し、追求したんだと思います。その意味では本当に人間味溢れるドラマです。芳江は自分を騙し、利用し尽くして、暴力を振るった英次を本当に愛していたのでしょうか?

ラストシーン、何とか二人の関係を言葉にする彼女の姿には心を打たれます。



『夜の片鱗』は、

2013年11月27日(水)18:50~ @有楽町朝日ホール

2013年12月 3日(火)21:00~(レイトショー) @ヒューマントラストシネマ有楽町



詳しくは東京フィルメックスのHP

http://filmex.net/2013/)

をご覧ください!

夜の街、色とりどりのネオンの中に浮かぶ祥江の「顔」は映画館のスクリーンで堪能すべし!