中村登監督特集 『集金旅行』 | 第27回東京学生映画祭 オフィシャルブログ

第27回東京学生映画祭 オフィシャルブログ

第27回東京学生映画祭オフィシャルブログ!
映画祭の最新情報をお届けします!

こんにちわ。企画委員の里見です。

今日は中村登監督生誕100周年記念企画で上映される、
1957年公開の『集金旅行』を紹介したいと思います。

この作品は、井伏鱒二の同名小説が原作です。

自称雑誌記者の旗良平(佐田啓二)のアパートの主人が突然の病死、
その主人には借金があり、一人残された息子のために
良平はアパートの家賃の集金旅行に出ることに。
そして同じアパートに住む小松千代(岡田茉莉子)もまた、
自身の慰謝料回収旅行を目的に同道することを申し出る・・・。

岩国、山口、松江、徳島と地方の情緒を織り交ぜながら
笑いと人情にあふれる集金旅行の様子を描いた、ロードムービー形式の映画です。

まず主演は佐田啓二と岡田茉莉子なのですが、
この二人といえばこの映画の公開の数か月前に公開された
中村登監督の『土砂降り』でも主演を務めていて、
『土砂降り』も拝見させていただいたことがあるのですが、
『土砂降り』では愛に溺れる二人の恋人を、
今作では共闘関係ともなんともいいがたいコミカルな関係を演じられていて
この二作を見比べてみるのも面白いかなと思いました。

また、当時のスター俳優であった佐田啓二が演じた
二枚目なのにパッとしないどこか三枚目を匂わせる
良平という役柄と、サバサバしていながらも人情も持ち合わせた
勝気な千代の二人の関係が旅を通して少しずつ
変化していくのもこの映画の大きな魅力かなと思います。

あとは、ロードムービーならではのテンポの良さに乗せて、
良平と千代と、千代を取り巻く男性たちの
思惑がさまざまに絡み合ってストーリが展開していくところ、
またその中でも各地の史跡や要所がきちんと混ぜ込まれていることで
情景の美しさという静の部分と、ストーリー運びの軽快さがによる動の部分とが、
実にうまく共存していて、始めから終わりまで飽きることなく見れる作品だと思います。

そんな『集金旅行』は、

◎2013年11月24日(日)10:20~@ヒューマントラストシネマ有楽町
◎2013年11月30日(土)21:00~(レイトショー) @ヒューマントラストシネマ有楽町

にて上映されます。

詳しくは、東京フィルメックスのHP
http://filmex.net/2013/
をご覧下さい!

冬目前でだいぶ寒くなりましたが、
『集金旅行』を観れば、笑って泣いて
心も体もポカポカになれること間違いなしですよ(*^_^*)