総大将相馬行胤公の乗馬鞭
国重要無形民俗文化財「相馬野馬追」は二十七日、開幕した。朝八時には中村城内にある相馬妙見中村神社に納められた御鳳輿を鳥居前に繰り出した後に,出陣式が執り行われる。
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中村神社から,出陣式会場を見下ろす。
中村神社御鳳輿
そして,式場に御到着した総大将は,鳥居前に鎮まっている御鳳輿に参拝した後に,出陣式会場に入る習わしである。この日,総大将の相馬行胤公と弟の陽胤君は,予定通りに出陣式場の中村神社に到着された。
総大将をお出迎えする武者の面々
総大将が御鳳輿に参拝するおり,持っていた乗馬鞭を私に指し示し
「これを持っていただいていてよろしいでしょうか」
とお声がけがあった。乗馬鞭を携えたまま,御鳳輿に参拝するのは不敬にあたると考えたのだろう。なにしろ中村神社は相馬家の守護神なのだ。続いて参拝された陽胤君も
「これをお願いします。」と言われ,私は乗馬鞭をお預かりした。
総大将の乗馬鞭
竹の節が33あるのが総大将の乗馬鞭とされている。
ただし,これは酒席で聞いた話だから当てにはならぬ。
総大将や陽胤君の丁寧な言葉遣いに,私は,昨日の御膳の清々しさも思いだして感動するとともに,さすが名家の教育は違うと唸らざるを得なかった。相馬の人々が,旧藩主家を大事に思うのは,相馬家の教育に負うところが少なくないのだろうと思いいたった次第である。