東大オープンの模範解答を見てみた。 | 東大国語で高得点を目指すブログ

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東大現代文の過去問20年分の私の解答をこのブログに保存していく予定。
「解答例」は著作権フリーのため、どなたでもご自由にお使いください。
ただし、本ブログの模範解答例以外の文章や写真画像の著作権は私に帰属します。くれぐれもご注意を。(現在休止中)

東大模試の現代文の復習法について、
私ならこういう点に注意を払うよ、ということをまず述べてみたいと思う。


今回、河合塾から東大オープンの解答をもらったわけだけど、
これは、

「もし東大が本試験で、同じ文章の同じ箇所に傍線部を引いてきた場合、私達ならこういう解答を試験会場で書いてきますよ。」

という国語が得意な「先輩方からの」メッセージ(=ヒント)だと受け取るのが正しい姿勢だと私は思う。



もちろん、東大模試の現代文は、
かなり周到に作っても、どうしても本試験の傾向とは割とずれてしまうものだし、
人間が模範解答例を作成している以上、特に現代文に関しては100%完璧な答案ということはあり得ない。だから部分的に納得できない解答例ももしかしたら多少はあるかもしれない。

それでも、東大本試験で「どんな答案を目指し、どんな点に気をつけて答案を書けば、部分点を多く積み重ねられるのか」という「ヒント」は、賢い皆様なら随所にかなり見つけられるんじゃないかと信じている。



各予備校の東大模試の模範解答を「これこそが完璧な満点答案だ!」と盲目的に絶対視する必要は全くないし、
反対に、「俺はクソ予備校の解答なんか信用しねえ!」といって解答を「答え合わせするだけの道具」にしてしまうのも、せっかくの成長の機会を自ら投げ捨てることになって勿体ないかもしれないよ、というのが私の密かな主張。



予備校の発表した答案を「相対的な視点」で見つつ、自分の答案と比べてみて、
もし自分の答案に足りない解答要素があれば、「どうすればそれを答案に反映できたのか」
という根本的な所まで考え抜ければ、次回からはもっと質の高い論述答案を書けるようになると思う。


今回は現代文だけでも合計8問(ただし漢字は除く)の問題があって、
これは数学で8題の問題を解くのと同じ価値の経験が得られることになると思う。
そう考えると、この8題もの「宝の山」は是非とも活かしたいところ。




過去問を解くとき、それと模試の復習をするときもそうだけど、
最終的には、【模範解答例を超える答案】を自力で作れるようにすることが大きな目標になってくると思う。


このブログに今まで書いてきた模範解答例も、
世間に出回っている過去問や問題集の模範解答よりはだいぶ質の高いものだ、と私は自負してる(←錯覚かもしれないけど。)ものの、
それでも、もっと賢い受験生なら、きっと更にこのレベルを上回る解答を作ってくれるだろうと思う。そんな風に期待したい。


この姿勢は、大学に入学した後もきっと必ず役に立つのではないか。
少しでも良い論文を世に発表していく前段階としての、基礎的な姿勢にもつながるので、
ぜひ大学入学前にしっかり論述の質を高める意識を持ってトレーニングすることをおすすめしたいと思う。





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前置きが長くなってしまったが、
東大オープンの解答解説を、特に国語を中心に熟読してみた。



《国語(第1問)評論》
模範解答の、最初にパッと見た雰囲気が、私の解答と結構違っていたので、
心臓が止まりそうになった(笑)

ただ、よく見ると見た目の表現が違うだけで、
踏まえてる解答要素は概ね共通してるので、
結構な部分点は得られたと思う。

(1)は、河合塾側は「事故を徹底的に防止することはできない。」という要素を解答要素の1つにしているが、
私は「世界を制御することは不可能。」と抽象化した形にして解答に盛り込んでみた。
この表現で加点されればいいのだけど、さてどうだろうか。

(4)では、河合塾側は科学主義について前半の30字ぐらい費やしているが、
これは入れるか入れないかで価値観が分かれる所だと思う。
私は他の要素に字数を割いてしまったため、入れられなかった。


第1問では40点中30点以上取る気で臨んだが、
採点基準の設定の仕方次第で変動すると思う。20点台でもとりあえず良しとする。




《国語(第2問)古文》
ちょくちょく部分点を稼げる問題もあったものの、それでも10点いくかいかないかだろう。
東大受験生といえども、15点取れればかなり優秀な部類なのではないか。

ただ、本当の上位層なら満点近く取る人も、少数ながらいると思う。


ちょっと、とあるエピソードを話すが、
昔、早稲田を志望してて古文がめっちゃ得意で、どんな古文でもほぼ満点近く取ってくる、そんな生徒を個別指導塾で教えてたことがある。(私が教えてたのは主に英語と現代文だったけど。)

その生徒曰く「主要な古文の作品はだいたい読んで、あらすじも当時の時代背景も頭に入ってます〜」とのことだった。


その生徒は、例えば「て・で・つつ」の助詞があれば主語が変わりにくく、
「を・に・ば・が・ど・ども」の助詞があれば主語が変わりやすい、
などといった文法知識を読解に活かす作業も得意だったが、
それ以上に、豊富な「古典常識」を用いて読解の手がかりにするのが、とにかくうまかった。

その生徒は英語が割と苦手だったため、早稲田の国語で満点近く取らねばならず、必要に迫られて身につけた能力だった、らしい。
(あ!ちなみにその生徒は無事、早稲田の社学に受かりました。)



東大受験生には、あまりいないタイプかもしれない。(その代わり、数学や英語や地歴のエキスパートはちょくちょく見かけるけど。)


早稲田や慶應などの難関私大を志望してる人は、何かしらに特化してる人が多くて、指導してても色んな発見があって面白いことが多かった。
年上の私が思わず尊敬してしまうような人も、決して少なくなかった。


彼女ならきっと、「あ、狭衣物語ね〜、飛鳥井女君が入水自殺しちゃう話でしょ〜?」などといって、
楽しそうに背景知識を語らいながら、いとも簡単に満点近く取るんだろうなあ、とふと懐かしく思い出してみた。



ということで、このエピソードで話したかったのは、
「古文常識」もバカにできないな、ということか。

「単語」「文法」「古典常識」の3つのうち、
多分一番時間がかかるのが古典常識なので、
私なら、高1高2にアドバイスをするとしたら、きっと古典常識を深めることを勧めると思う。


当の私も、古典常識を今まさに学んでいる最中だが、
日本史をサボってたこともあって、なかなかスルスルと身につかず、苦戦している今日この頃である。




《国語(第3問)漢文》
多分一番最後の問題に10点近い配点が課せられてると思うので、
これで部分点を落とすと20点台前半だ。
私もおそらくそのパターンだと思う。




《国語(第4問)随筆》
(1)で、河合塾側はどのような一般化表現を用意してくるのかは、密かに楽しみにしていた。
河合塾は「連鎖的構造」という言葉を使っていた。カッコよくて妥当性のある表現だ。
私は思いつかなかったが、こういうところは是非真似したい。
私なら「漢字問題集」に載ってる漢字を何回か写経しつつ、こういう一般性の高い表現を脳内にストックしていくだろうな。

(2)(3)(4)については、とりあえずノーコメントで。


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以上、概観してみたけど、
このような歯ごたえのある現代文の問題を、今後のヒントまで付けて、提供してくださった河合塾には、改めて敬意と感謝の意を示したい。


最後まで読んでくれたお礼として、
私なりに「平均点」と「標準偏差」を英数国のみ、予想してみる。
(ちなみに、この能力(難易度評価能力)も塾バイト時代にかなり鍛えられた。)



国語(予想)
平均53点、標準偏差10
(偏差値60:63点、  偏差値70:73点、 偏差値80:83点)
(平均は評論18点、古文7点、漢文21点、随筆7点と予想)


数学(予想)
平均22点、標準偏差14
(偏差値60:36点、 偏差値70:50点、 偏差値80:64点)
(平均は大問1が6点、大問2が6点、大問3が5点、大問4が5点、と予想)


英語(予想)
平均51点、標準偏差17
(偏差値60:68点、 偏差値70:85点、 偏差値80:102点)

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追記:
東大オープンの結果が返ってきました。