第5章 『家族の在り方』 3 | オリジナル小説 『嵐の中の小鳥たち』

オリジナル小説 『嵐の中の小鳥たち』

誰もが考えたことのある永遠のテーマに、私なりの考えを盛り込んで物語にしていきます!!

この物語を読んで、皆さんも色々考えてくださると光栄です\(^-^)/




3.



その日も、また美波はバイトのようだ。
部活もやって家のためにバイトをやるその姿勢は、心から尊敬できるしすごいと思う。
しかし、その前に美波の身体が心配でならなかった。
今日美波が見せた表情や目つき、あんな弱々しい声を出したのは初めてのことで、それがとても気がかりで帰宅中も決して頭から離れることはなった。


帰宅後さっと身支度を済ませ、疲れていたため早く寝ようと布団に入った。
布団に入って数分もしないうちに睡魔が襲ってきはじめ、次第に身体の力が抜けていき心地よくなってきた。
しかし、その夢心地を電話の着信音によってぶち壊されてしまった。
部屋中にうるさいほどに鳴り響き、せっかくの睡眠を邪魔されたことに腹がたった。
携帯の画面を見てみると、着信はノブからだった。
「何」
「何でそんな怒ってんだよ」
「うとうとしてたところなのに、お前のせいで睡魔が逃げた」
「悪い悪い」
「思ってねえだろ」
「ははは」
ノブはそう笑っていたが、俺は早く寝たくて寝たくてたまらない思いだった。
「で、要件は?」
「あー、そうそう。美波ちゃんってさ、なんのバイトしてるか知ってるか?」
「いや、知らない。入学当初聞いたんだけど、みんなに見にこられたら恥ずかしいからって教えてくれなかった」
「そうなんだ……敦も知らないのか……」
「なんで?」
「いや、美波ちゃん今日もバイトって言ってただろ?なんか毎日のように働いてるし、何やってんのかなって思って聞いたんだよ。でも、教えてくれなかったからさ。敦なら知ってるかなって思ってさ」
「多分俺だけじゃなくて、知ってるやつは誰もいないと思うぜ」
「え、そうなの?」
「うん」
「なんか、それって変じゃないか?」
「どういうこと?」
「みんなに言えないようなバイトなのかなって」
「バカ。美波がそんなことするわけないだろ」
「だ、だよな。ちょっと心配になっちゃってさ……」
「なあ、ノブ」
「何?」
「お前さ、美波のこと気になってんだろ」
「ち、そ、そんなんじゃ、ねーよ。ば、バカじゃねえの」
「動揺しすぎ」
「俺には可能性ないかな?」
「さあ。とりあえず、美波に思いを寄せるやつは腐るほどいるし、それで玉砕されてるやつももう何人も見たよ」
「そうだよなあ……。美波ちゃんモテるしなあ……」
「ま、ノブ次第なんじゃない?」
「どういうこと?」
「美波に告白するやつってさ、どっからどう見ても下心あるんだよね。美波のことなんもわかってないくせにさ。どうせ可愛くてスタイルもいいからってだけで、美波のことなんか何もわかってない連中ばかりだからさ、美波ももうわかってんだよ。だから、フラれて当然さ。でも、お前は違うんだろ?」
「ま、まあ……」
「じゃあ、聞かせてもらおうか。美波のどこに惹かれたのか」
「やっぱり一生懸命な所かな……。バイトだって自分のためじゃなくて家のためにやっててさ。家のために自分の時間削って働くって中々できることじゃないしさ。それにバイトで忙しいっていうのに、真佑ちゃんのためにバレー部入ってさ。仕事の一つ一つにすごい一生懸命やってくれててさ。その姿見てたらさ」
「ちゃんと見てるじゃんか」
「うるせえ」
「お前なら、可能性あるかもよ。そんだけ、美波のこと色眼鏡使わずに見てるならさ。美波はきっと、そういうのわかるだろうから」
「なあ、色々協力してくれないか」
「考えとくよ。とりあえず、寝かせてくれないか?」
「頼むよマジで。お前しか頼れないんだからさ……。起こして悪かったな」
「んじゃ、また」

――ノブは、美波のことよく見てるな
  でも、美波が何かで悩んでいるのはわかってるのかな

それが気になった。
いくら好きと言えども、その変化を見てとれなければおそらく可能性はないだろう。
しかしその変化を感じてノブが美波に何らかのアクションを起こせれば、可能性はあるかもしれないと感じた。
なんにせよ、俺は美波のために、そしてノブのために行動を起こさなくてはいけない。
その使命感に包まれたまま、俺は眠りについた。