第4章 『努力のもたらすもの』 24 | オリジナル小説 『嵐の中の小鳥たち』

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誰もが考えたことのある永遠のテーマに、私なりの考えを盛り込んで物語にしていきます!!

この物語を読んで、皆さんも色々考えてくださると光栄です\(^-^)/



24.


あの日から、早くも1ヶ月が経過した。
この1ヶ月を、みんなはどういう気持ちで過ごしてきたのだろう。
この1ヶ月を早く感じただろうか。
それとも遅く感じただろうか。
少なくとも、俺はあっという間に感じていた。
それはあの日以来、休みことなく多忙な日を過ごしているからだろう。

英雄と二人で病院に行って以来、病院には行っていないし真佑とも連絡をとっていない。
しかし、水無さんとは小まめに連絡を取り合い随時報告を受けていた。
俺と英雄が真佑を訪ねたあの日、真佑の中でどのような意思の変化があったのかは当然ながら誰もわからない。
おそらく俺たちが帰った後も、ずっと窓の外の世界を見つめていたのかもしれない。
ずっと、泣いていたのかもしれない。
ただ翌日の真佑は、なんの抵抗を見せることもなく手術を受けたようだ。

最初こそ、指がなくなったことで今まで当たり前のように出来ていたことが出来なくなり、そのことにショックを受けていたらしい。
食事も喉を通らず、かなり痩せこけてしまったと水無さんから報告を受けた。
しかし時間がそれを解決し、真佑は熱心にリハビリに励んだという。
思わず担当医が体を心配してしまうほど努力したようで、昨日まだ完治した訳ではないが予定よりも2週間早く退院することができた。
また、真佑が必死にリハビリに励んでいる間俺たちもそれぞれ努力していた。
あの日決めたことをしっかりと果たしていた。



「真佑ちゃん、久しぶりー」
梓は真佑に会うなり抱き付いた。
「久しぶり」と、真佑は優しく梓を抱き締めた。
その抱き締めた時に、親指のない指が見える。
その手を見たみんなは、一瞬あっけにとられ現実を突きつけられた思いだった。
しかし真佑が思っていたほど落ち込んでおらず、以前となんら変わらぬ真佑であったことにみんなはほっとしていた。
「ね、ところで敦と美波は?」
今日は真佑の退院祝いを兼ねて久しぶりにみんなで出掛けるという名目のも集合したため、俺と美波が来ていないことを疑問に感じたのだろう。
「あの二人はちょっと忙しくてな。後で合流する」
英雄はそんな風に上手にかわした。
「さあ、早速行きましょう」
幸男が先頭をきって改札へ入っていき、みんなはそれに続いた。
電車の中では、リハビリの話や指がなくて生活に支障はないかなどの話もあったが、ここ最近の学校の話題などで盛り上がり、みんなはあっという間に目的地についた。

「ねー、ここって…」
真佑は立ち止まりその建造物を見上げた。
「見ての通り代々木体育館だよ。真佑は、高校の時何回も来てるもんね」
理沙がそう笑ってみせる。
代々木体育館は、高校バレーで最高の大会、春の高校バレーの会場でもあり、この代々木体育館でバレーをすることは誰もが憧れることであった。
「すごい懐かしく感じる」
真佑や理沙は名門校に在籍していたため、高校この舞台で数回プレーしていたため懐かしく感じたのだ。
俺はというと、もう少しというとこで予選に敗れてしまいこの舞台に立つことは憧れのまま引退してしまった。
しかし今……

「そんなことより、なんでここに来たの?」
「いいから行くぞ」
英雄は理由を離すことなくそそくさと体育館の中へ入っていき、みんなも続いて入っていくため、真佑も仕方なくついていった。