第4章 『努力のもたらすもの』 7 | オリジナル小説 『嵐の中の小鳥たち』

オリジナル小説 『嵐の中の小鳥たち』

誰もが考えたことのある永遠のテーマに、私なりの考えを盛り込んで物語にしていきます!!

この物語を読んで、皆さんも色々考えてくださると光栄です\(^-^)/



7.


「おい敦、お前それ昨日と同じ服装じゃね?朝帰りか?」
翌朝学校について早々、英雄から痛い所を突かれる。
「うるせえ」
「誰のうち泊まってたんだよ、この色男」
「うるせえってば。色々事情があったんだよ」
「どんな事情だよ」
英雄は聞くのを止めようとしないし、周りのみんなもそれを見て笑っている。
俺は昨日訳あって真佑の家へ泊まった訳だが、その真佑は知らん顔をして笑っている。

――そりゃないだろ……

そんなこんなで、一日が始まった。
真佑は、すっかり気を取り戻したようでいつも通りの明るさを取り戻していた。


その日の放課後も、俺は図書館にこもって勉強していた。
昨日図書館の閉館時間まで頑張った成果か、今日は二時間足らずで資料を整えることができた。
帰り道、体育館の横を通ると中の声が外まで響いてくる。

――そういえば、真佑今日も練習って言ってたっけ

昼真佑がそう言っていたことを思い出し、少し体育館を覗いてみることにした。
直接アリーナの入ってしまうと練習の妨げになるし、何よりも目立ってしまうので体育館の2階部分にあるギャラリー席の方へ行ってこっそりと見てみることにした。
入ってみると、女子バレー部が気合いのこもった練習をしている。
全員が大声を出し、必死にボールを追っかけている。
真佑を探してみると、コートに入り先輩にしごかれていた。
明らかに拾えないような球出しをされているにも関わらず、真佑は諦めないといったような様子で必死に追いかけ、床に飛び込んだ。
その姿を見ても、先輩たちは一向にとれるようなボールを出そうとしない。

――あの人たちが、真佑をひがんでいるやつらか……

その様子を見ているのが段々と辛くなってきたが、俺にはどうしようもないことだ。
それに、俺が何か言う前に真佑は負けじと向かっている。
昨日こそ弱さを見せた真佑だが、今必死にボールを追いかける真佑の力強さを目にし安心できた。


女子バレー部が練習している隣のコートからは、男の野太い笑い声がする。
女子バレー部の練習に目がいっていて気付かなかったが、隣では男子バレー部が練習していた。
しかし、女子とは対称的に必死さの欠片もなく、練習もダラダラと笑いながらしている。
バレーに対する熱の冷めていない俺にとってはその光景はとても残念だった。

――まぁ、真佑の頑張っている姿を見れたからいっか

そう感じ体育館を後にした。



数日後の放課後、俺は真佑から呼び出された。
先日と同じレストランに入ると、もうすでに真佑が待っていて「敦、こっち」と呼ばれた。
「どうしたんだよ、話って」
「いや、この間のお礼ちゃんとしようと思ってさ。今日はおごるから」
「いいのにお礼なんて……俺なんもしてないし……」
「いいからいいから」
「……。じゃあ、お言葉に甘えて……」
そんなこんなでまた一緒にご飯を食べた。

「練習はどう?」
先日上で見学していたことは伏せておき、練習のことを尋ねてみた。
「うん、少しずつ調子戻ってきたよ。敦があの時ああ言ってくれたおかげで、もう一度頑張ろうって思えたしね。あれからも先輩から色々言われたり、キツイ球出しされたりもしてるけど、絶対負けないと思って頑張ってるよ」
「そっか。なら、良かった」
「このままいけば、来週末の試合の頃には大丈夫そうかな」
「来週末か…みんなで応援いくよ」
「いいよ恥ずかしいから」
「照れるな照れるな。話を聞いた以上、俺は真佑が頑張ってるところを見届ける義務があるからな」
「なら、尚更頑張らなくちゃ」
バレーの話をしている時、真佑の目には希望の光が灯っているかのように見えた。
その真佑を見ていて、俺は本当に安心した。

――もう大丈夫だ

話を聞きながら、自然に安堵の溜息が出た。