第4章 『努力のもたらすもの』 3 | オリジナル小説 『嵐の中の小鳥たち』

オリジナル小説 『嵐の中の小鳥たち』

誰もが考えたことのある永遠のテーマに、私なりの考えを盛り込んで物語にしていきます!!

この物語を読んで、皆さんも色々考えてくださると光栄です\(^-^)/



3.


まずは、ボーリングをやることにした。
「ボーリングなんたいつぶりだろう……」
俺は記憶を辿ってみると、部活が忙しくて中学三年生の時が最後だった。
「でも、英雄こんなところ知ってるなんてすごいね」
美波が感動していて、理沙も笑顔で頷いている。
「理沙ちゃん、俺のこと見直した?」
英雄はそう尋ねるが、理沙は「調子にのるな」と相変わらず冷たく返し笑いが起こる。
「でも、本当になんでこんなところ知ってるの?」
梓は、このような誰もが感じる疑問をピンポイントで質問してくれる。
授業であってもそうで、クラスではありがたいと重宝されているのだ。

「実はさ、母方の実家ここの近くなんだ。だから、ガキの頃とかよくじいちゃんに連れて来てもらっててさ」
「へー」
皆声を揃えた。
英雄の祖父母がこの付近に住んでいるというのは、俺でも知らなかった情報だった。

早速ボーリングを始めてみると、結果は意外だった。
遊び人の英雄は、案の定上手かった。
しかし、それよりも幸男のほうが断然スコアは良かった。
「僕はマイボール、マイシューズも持ってますからこんくらい当たり前です」
どうだという顔で勝ち誇っているのが気にさわるが、200半ばというスコアを出されれば文句は言えない。
梓や美波は、小さい頃ガーターなしでやった時以来ということで、100に達しない程度で、真佑と理沙は部活のメンバーで行くことが多かったらしく150弱ほど。
俺も100弱と、なんとも情けないスコアを出してしまい恥ずかしかった。
「敦ダメじゃん」
真佑と理沙にバカにされてしまい、すごく悔しかった。
「う、うるさい。カラオケなら自信ある!!」
俺は中学の頃、合唱部の先生にスカウトされたことがあったため歌唱力には少なからず自信があった。
「なら聞かせてもらおうじゃない」
真佑と理沙にそう促され、カラオケに行くことにした。
「ちょっと俺負けたの悔しいから、幸男とまだボーリング勝負してていいか?」
「何度やっても英雄君は僕には勝てませんよ」
「ちくしょー!!叩きのめしてやる」
二人はそんな風にもめているので、残りの五人でカラオケへ行くことにした。

「さあ、早速歌ってよ」
真佑に挑発され、何年か前にヒットしたバラードを歌ってみせる。
得点は92点。
「え、すごい、めっちゃ上手いじゃん」
四人とも、見直してくれたようで俺は誇らしい気分だった。
そのあと、一人一曲ずつ回していった。
梓は最近の歌がわからないと、何年か前に流行ったアイドルグループのノリのいい歌を歌った。
真佑は高い声が出ないと男性歌手のロック調の歌を、理沙は現在のオリコンランキング一位の女性歌手のバラード曲をと三者三様だった。
しかし、一番驚いたのは美波だ。
美波は、数オクターブもの音域を出すことができるアメリカの歌姫と呼ばれる人の難しい歌を大胆に、なおかつ美しく歌い上げた。
得点も96点で、歌手になれるのではと思ってしまうほどの歌唱力で、普段から歌いこんでいる様子だった。
その凄すぎる歌唱力に、俺たち四人は言葉を失っていた。
「ちょっと、なんかリアクションとってよ……」
美波は、恥ずかしそうに顔を赤らめていた。
俺たちはただ拍手することしかできなかった。


そんなこんなで、各々ボーリングやらカラオケやらを店の閉店まで満喫した。

――こういう時間がいつまでも続いたらいいのにな……

そんなことはあるわけないが、あまりにも楽しかったためそう考えずにはいられなかった。
そんなことを考えながら家路についた。


こうして皆で集まって、同じ時間に同じことをすることで、俺たちの中には共有できる思い出が増えていく。
学校の行事であったり、旅行に行ったりすることだけが思い出になるわけではない。
思い出に成りうることはありきたりな日常の中にもいくつも存在していて、自分の過ごし方で、または過ごす気持ち次第で変わるものということがわかった。
こうして同じ時間を過ごしたことで、心なしか俺たちの絆が深く結び付いてきている気がした。