第4章 『努力のもたらすもの』
1.
俺の誕生日から早くも一ヶ月が経過した。
相変わらず俺たち六人は一緒にいたが、休日や時間がある時はそこに理沙も加わり七人で行動することもあった。
この一ヶ月、俺たちの間で大きく変わったことはなかったが、唯一良い報告があるとすれば、真佑と理沙が所属する我が女子バレー部が、上から三番目のレベルである三部リーグのリーグ戦で優勝したことである。
高校時代真佑が名門高に在籍していたのは知っていたが、実は理沙も同様でチームとしての実績はそれほどではないが全国大会の常連高に在籍していた。
二人は大学で一年生ながらレギュラーを勝ち取り、真佑はセッター、理沙はリベロとしてチームの中心となった。
近々、リーグの入れ替え戦があるらしい。
その試合に勝てば、1つ上の二部に昇格することができる。
二人はそれを目的とし日々頑張っていた。
「真佑と理沙は本当にすごいよな」
いつもの河原で、美波にそう話しかける。
「ね、本当に尊敬しちゃう」
「だよな。それに比べて俺、なんも頑張れてないなあ」
河原に寝そべって空を見上げる。
「そんなの、私もだよ」
美波も同じように寝転がり笑いながらいった。
「美波は、バイト頑張ってんだろ?」
「バイトはしてるけど、私はお金のためっていうかさ、二人みたいに大きな目標があるわけではないし……」
「頑張る理由が何であっても、頑張っているものが何であっても、頑張ってるってことに変わりはないよ」
「ありがとう。そう言ってくれるのは、きっと敦だけだよ」
美波は俺に笑顔を見せたが、その笑顔はぎこちなく、心のそこからの感情でないような気がした。
美波はいつもバイトの話になるとこういった表情をする。
――バイト先でなんかあったのかな……
そう感じていた。
相変わらずサークルや部活に在籍していない俺と美波は、こうして一緒にいる時間が多かった。
そのため、付き合っているのかと美波に好意を寄せている男共に責められたこともある。
中には、チャラチャラした不良のような集団に囲まれ、危うくボコボコにされそうになったこともあった。
「ま、俺らも頑張ろうや。頑張ることは違っても、自分なりに、それぞれの道で頑張っていこう」
立ち上がり、服を払いながら美波に言う。
「そうだね」
美波も立ち上がり、二人で駅まで向かった。
――俺も、せめてバイトとかはしないとな……
帰宅途中の電車でふと思う。
帰り道に求人情報の載ったフリーペーパーを手に取り、帰宅後に広げてみる。
しかし、パラパラとめくってみてもしっくりとくる条件のものはなく、あっという間に見終わった。
――バイトか……。
働きたくないけど、さすがに俺も何か頑張らなくちゃな……
そう物思いにふけりながら床についた。