14.
「さ、食べよ」
真佑がケーキを持ってきた。
真ん中には「Happy Birthday」の文字が書かれているチョコレートがトッピングされていた。
話によると、真佑の手作りらしい。
そして一人ずつからメッセージカードを貰った。
「自分のことわかってくれるのは玲奈だけだって思ってるかもしれないけど、俺は玲奈と敦が知り合う前からお前と一緒にいるし、玲奈よりもお前のことわかってる自信ある。俺はいつでもお前の味方だからな。誕生日おめでとう!! 英雄」
「誕生日おめでとうございます!!敦君は何でも頑張っててすごく頼りになるけど、1人で頑張りすぎだよ?私なんかいつも頼りっぱなしだけど…敦君も、何かあった時にはもっと私を頼って?頼りないかもしれないけど、私なりに全力で支えるから。 梓」
「HAPPY BIRTHDAY!敦のそばにいるのは、彼女さんだけじゃないんだよ。私たちがいつもそばにいる。今も、もちろんこれからも。楽しいことはもちろんだけど、辛いことこそ共有していこう。 美波」
「敦は自分のことを自分で考えすぎ。自分のことを考えたって、悪く考えるのは当たり前。話しにくいかもしれないけど、自分のことこそ私たちに相談して?相談してくれれば、私たちにもきっとできることがあるから。とりあえず、19歳おめでとう!! 真佑」
「敦君、誕生日おめでとうです。あのとき何があったか、何が悪かったが大切なことではないと思います。肝心なのは、これからをどうするか、どう生きていくかです。敦君は今日の誕生日をきっかけに、また新しい自分を見つけて下さい。 幸男」
「誕生日おめでとう!!初対面なのにいきなりお祝いしてごめんね。でも、これから仲良くしてくれたら嬉しいです!!あつかましいかもしれないけど、私に出来ることは何でもするから、遠慮しないで言ってね。 理沙」
メッセージカードに書かれている言葉は、時計の秒針のように1つ1つゆっくりと、かつ確実に俺の心に刻まれていった。
読んでいる最中、涙がこぼれてきた。
みんなはそれを面白おかしく笑っていたが、俺にとっては涙が出てきてしまうほど嬉しい出来事であり、嬉しい言葉であった。
「それでは、敦の19回目の誕生日を祝して、乾杯!!!!」
「乾杯!!!!」
サークルをいくつも掛け持ちしている英雄は飲み会に慣れているのか、乾杯の音頭をのるのが上手かった。
その日は夜通し食べて酒を飲んだ。
それよりも、みんながこうしてそばにいて、何でも共有できる。
それが嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
誕生日に彼女にふられるという最悪な誕生日を迎えたが、みんながいてくれたことで結果的には最高の誕生日だった。
人生で、一番幸せな誕生日だった。
俺は、玲奈にフラれたことで自分に存在価値はなくなったと感じた。
しかし、俺の周りにはこんなにも素晴らしい友人たちがいる。
俺のことを自分のことのように考え、大切に思ってくれている人がいる。
自分の存在価値は、自分自身でははかることができないものなのかもしれないと感じた。
例え1人でも自分を大切に思ってくれている人がいる以上、俺は精一杯生きていかなくてはならない。
それが俺の存在価値であり、生きていくことの意義なのかもしれない。
色々考えてはみたが、答えなんて出せなかった。
ただみんなに何かがあった時は、絶対に俺が支える、そう決意した1日だった。
第3章 『存在価値』 完