4.
その日の夜は、帰宅した後もなにもやる気になれずご飯すら喉を通らなかった。
もちろん玲奈と連絡がつかないことも理由のひとつではあったが、みんなを巻き込んで心配させてしまったことに対して申し訳ないという気持ちや、みんなを巻き込んでしまった自分の情けなさなどもあった。
俺は重大な問題があると、自分がおかしくなってしまうのではないかというほどに考え通す。
俺は今まさに、その状態だった。
その時、急に携帯が鳴り響いた。
静寂を切り裂くように鳴り続ける着信音。
一瞬ドキッとしたが、この着信音は玲奈からではない。
玲奈からの連絡がすぐわかるよう、玲奈だけ着信音を変えている。
普段はその機能を非常に便利に感じていたが、こんなときばかりはその機能に対して腹立たしさすら芽生えるほどだった。
電話に出る気分にもなれなかったため出ないことにした。
しかし、着信音はやたらと長く鳴り響き、鳴りやむ気配はない。
静寂な部屋にうるさいくらいに響く着信音に段々とイライラしてきたため、電話を手に取った。
「やっと出たな」英雄の声だ。
「なに?」声に不機嫌さが出てしまっていた。
「そんな怒るなよ」と英雄の笑い声が聞こえる。
本当に能天気なやつだ、でもこいつの能天気さに呆れて、心なしかイライラを忘れられる。
「あんさー、話があんだけど今から出てこれねーか?」
英雄の声は急に真剣みを帯びていた。
「は、今から?もう12時になるぜ?」
「まぁそうだけど……大事な話なんだ」
――大事な話
それが玲奈のことであるのは、おのずとわかった。
聞きたい気持ちもあったが、それと同時に聞きたくもなかった。
英雄がこんな時間に電話してきて外に出てこいって言うくらいだ、深刻な問題であることは間違いない。
「聞きたくないっていったら?」わざとそんな質問を投げ掛けてみる。
「悪い、もうお前ん家の前」
そう言われ窓から玄関の方を見てみると、英雄は携帯を耳にあてながらこっちを見ていて、小さく手をあげた。
――ここまでこられちゃ行かないわけには行かないよな……
「今行くよ」
「おう、悪いな」
そうして俺は部屋を出た。