第3章 『存在価値』 3 | オリジナル小説 『嵐の中の小鳥たち』

オリジナル小説 『嵐の中の小鳥たち』

誰もが考えたことのある永遠のテーマに、私なりの考えを盛り込んで物語にしていきます!!

この物語を読んで、皆さんも色々考えてくださると光栄です\(^-^)/



3.


目が覚めると、俺は全く知らない部屋にいて、ベッドに横になっていた。。
――ここはどこだ……

見知らぬ天井が、自分の目の前に広く広がっている。
その色は、大学初日に頭上に広がっていた海のような青ではなく、太陽の光をすべて遮り世界を薄暗く包んでしまう雲のような、くすんだ白だった。
屋外と屋内では、頭上に広がる世界の色が違うのは当たり前だ。
しかし今の俺は、そのことすらも憂鬱に感じてしまうくらいナイーブな状態になっていた。

しばらくそのまま天井を眺めていると、カーテンがあいた。
「おい淳、大丈夫か?」
声のした方に顔を向けてみると、英雄たちが入ってきた。
「ここ、どこ?」
英雄たちの問いかけには答えず、俺は一番疑問に思っていたことを口にした。
「お前、なんも覚えてないのか……?」
英雄たちは驚いたような顔をしていて、お互い顔を見合せていた。
6人の間には、しばしの沈黙があった。
「淳君、授業中いきなり倒れたんだよ」
その沈黙を破ったのは梓の一言だった。
「俺が倒れた?」
全くもって身に覚えはなかった。
「本当に覚えてないんですね。みんな課題に取り組んでいたら、急にバンッて大きな音がしたんですよ。で、音のした方向を見てみたら、淳君が床に倒れてて……。みんなで医務室に運んだんですよ」
「そ、そうだったのか……。迷惑かけたな……」

俺は複雑な心境だった。
玲奈から連絡が返ってくるどころか、連絡がつかなくなくなってしまったこと。
倒れて、迷惑をかけてしまったこと。
やりきれない思いや辛い思い、申し訳ない思いなどが入り交じりなんとも言い難い心境だった。

俺たちの間には、再び沈黙の時間が流れた。
「ねー、彼女さんとなんかあった?」
そう言い出したのは美波だった。
美波には玲奈の話もしていたし、勘のいい美波は気付いたのだろう。
話すような気分ではなかったが、ここまでみんなに心配をかけてしまっている以上、話さないわけにもいかなかった。
仕方なく、突然連絡がつかなくなり、メールすら届かなくなってしまったことを打ち明けた。

話したはいいが、みんなが反応に困っているのがわかった。
何といっていいのか、おそらくわからないのだろう。
「で、でもなんかきっと事情があるんだよ」
梓が慰めるようにそう言ってくれた。
「そうだよ。じゃなきゃ、そんないきなり連絡途切れるわけないよ」
真佑も続ける。
「きっとあれだよ。ほら、明後日淳の誕生日だから、驚かそうとしてんだよ」
普段は能天気な英雄も、今回の事態はさすがにまずいと感じたのだろうか、いつにもなく真剣な表情で話をした。

みんなは俺を励まそうと必死に色々言ってくれたが、正直俺はみんなの言ったようには思えなかった。
しかしなんとか俺を励まそうと必死に言葉を考え、俺を傷つけないよう言葉を振り絞っているみんなの姿に心打たれた。

「そ、そうだよな。いきなりいなくなるわけないもんな。信じなきゃダメただよな」
決して本心ではなかったが、みんなにこれ以上心配をかけないようにするためにそう言った。

「みんな、ありがとう。もう大丈夫だから。ここ出よう」
自分はこの先どうしていけばいいのだろうか、零れてきそうな涙を上を向いて必死に堪える。
そして、みんなを促して医務室を後にした。

どこに行けば、どの方角に歩いていけばいいのだろうか。
まるで、砂漠のど真ん中にただ1人で立たされている、そんな気分だった。