第2章 『歩むべき道』 2 | オリジナル小説 『嵐の中の小鳥たち』

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誰もが考えたことのある永遠のテーマに、私なりの考えを盛り込んで物語にしていきます!!

この物語を読んで、皆さんも色々考えてくださると光栄です\(^-^)/



2.


授業が終わり、俺たち六人は揃って学食に向かった。
「うわー、学食もう一杯だなー」
先頭をきっていた英雄は、がっかりしていた。
「そうだね。私たちちょっと来るの遅かったもんね」と梓。
「私はお弁当持ってきてるから、学食じゃなくても大丈夫だよ」という真佑の言葉に、「それなら、教室とかでもよくない?私は食べないからどこでもいいけどさ……」と美波も便乗した。
「何を言ってるんですか!学食はご飯を食べる所ですよ。学食で食べないでどうするんですか」
幸男が訳のわからない持論を展開し始めた。
何かあるとこうして独自の理論を展開するところが幸男の癖であり、俺たちからすれば少し面倒だった。
何でも若干上から目線という点、そして何よりも少し論点がずれているなどが少し気に障るが悪い奴ではない。
しかし人誰かが意見を述べれば必ずそれに対し反論する人間がいる。
人間とはそのように意見と意見の掛け合いの中から何かを見いだし、自分にとって最善の道を選び生きていくものだ。
俺たちの中でその反論側の立場をとるのは、主として美波だ。
「そんなに言うなら、一人で学食で食べてれば?私たち、教室で食べるから」
美波が幸男に対し冷たく言い放つ。
美波はなんというか、本当にサバサバしている性格である。
もっと笑顔を見せるなど感情表現を豊にしたり愛想よくしたりすれば、きっとモテるだろうに……と感じた。
幸男は対抗しまた意見をいうが、それに対しまた美波の反論をうけている。
 
それにしても、この5人とのやり取りは面白い。
くだらないことで一緒に笑いあうこともあれば、くだらないことがきっかけで言い争うこともある。
しかしそのやり取りには、それぞれの個性が溢れていて実に面白い。
そのため俺は、会話に参加するというよりもそのやり取りを傍観している方が好きだった。
「……。そもそも、敦君が片付け遅かったのがいけないんですよ。もっと早く片付けていれば、きっと座れました。みんなに謝ってください」
美波との討論に負けた幸男は、やりきれなくったのだろうか、その矛先を俺に向けた。
「お、おい。俺のせいかよ。」
みんなそんなやり取りを聞いて笑っている。


笑っている内容は、本当にくだらないことかもしれない。
人によっては、全く笑えないことかもしれない。
しかし俺にとっては、今まで違った場所や環境で育ってきた人たちがこうして今ここに集まり、同じ学部、同じクラスとなっただけでも奇跡的なのに、今こうして授業以外の時間も共に過ごしている。
まだ入学したばかりだが、そういう時間が今の俺にとっては宝物のようなものなのかもしれない。


結局教室に移動することになり移動しようとした時、見ず知らずの3人に声をかけられた。
「ねー君たち、もうサークル入った?」
見た限り上級生のようだ。
「いえ、まだですけど……」
「俺らサッカーのサークル入ってんだけど、良かったら入らない?初心者もOKだし、女の子でも全然大歓迎だよ」
この先輩、俺が見る限り女の子目当てだ。目を見ればわかる。
その女の子目当ての先輩の目を見ていると、なぜだか急に怒りが込み上げてきた。
「すみません、自分たちそれぞれ入りたい所決まっているんで。」
そう言い捨て、先輩の言葉を待たず「ほらいくぞ」とみんなを引っ張りその場を離れた。

俺は昔からこの手のタイプが苦手で、そういうのがわかると例え初対面でも嫌な気分になり、気持ちを抑えられず言葉に出してしまう。
その場の感情を衝動的に口に出してしまうのが、俺の癖であり悪い所なのかもしれない。
「今のやつさー、絶対じょ女子3人のこと目当てだったよ。だからああ言ったんだろ、なあ敦」
さすが英雄。というよりかは、腐れ縁でいつも一緒にいたからだろうか。
俺の事はなんでもわかっている。
「え、じゃあ敦私たちのこと守ろうとしてくれたの?」何故か真佑が目を輝かせて聞いてくる。
「い、いや、そういうんじゃなくて、ああいうやつが嫌いなだけで……」
「じゃあ、入りたい所が決まっているっていうのは?」
「もちろん、嘘だけど……」
「じゃあ、私たちを守るために嘘ついてくれたの?」
「だから、そうじゃなくて……」
「照れるな照れるな」と真佑が俺の肩を叩くと、みんな笑い出した。

大学に入るまでは、俺はそんないじられるキャラではなかったのに……。
クラス内での立場といい、このグループ内でのいじられ具合といい、つくづく先が思いやられる限りであった。