タイトル:ペンギン・ハイウェイ

著者:森見登美彦

発行:角川文庫

発行日:2012年12月25日

 

 

 

 

 

 

あらすじ 

ぼくはまだ小学校の四年生だが、もう大人に負けないほどにいろいろなことを知っている。

毎日きちんとノートを取るし、たくさん本を読むからだ。

ある日、ぼくが住む郊外の街に、突然ペンギンが現れた。

このおかしな事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、その謎を研究することにした――――。

少年が目にする世界は、毎日無限に広がっていく、

第31回日本SF大賞受賞作品。

 

 

 

2018年に映画化され話題となった作品。

ご存知の方も多いのではないだろうか。

 

めッちゃくちゃ面白かった。

 

近未来を描いたわけでも、宇宙が舞台なわけでもないSF。

とっても新鮮。

SF――――だけでなくファンタジー全般に言えることだけれど、

現実と世界観を異とすればするほど、摩訶不思議がまかり通る。

「そこはどういう意味なの?原理は?」という部分を置いて、

面白ければいいだろ!!みたいな。

勢い任せの作品になりやすい。

 

そんな中、本作品。

ひとつずつ謎を積み上げていって、少しずつ解明していく。

すると全ては一つの謎につながっていて――――

ミステリー作品さながらの伏線回収が実に見事だった。

設定やストーリーに矛盾はなく、綺麗にパズルのピースをはめていくような構成。

読み終わったときの満足度は大きかった。

 

 

 

まぁ…ひとつ不満をいうとするならば。

お姉さんの声、コレジャナイ感半端ないんだけど!?

 

(140) 映画『ペンギン・ハイウェイ』 予告1 - YouTube

 

いやいやいやいや!!!

女優さんは女優さんよ!

声優の仕事は声優さんにお願いしてよ!!

お姉さんの設定年齢なんぼか知らないけど、声とあってないでしょ!!

映像の切り替わりと声質も重なり、所見「え、だれ?」ってなったよ。

映像の切り替わり、本当に良くない…。

まるで友人のウチダくんが話しているように錯覚するもの…。

23秒のところ。1分12秒あたりも。どうしてなの。大事な予告映像なのに…。

 

 

まぁ、原作は大変素晴らしかったので、是非原作読んでくださいね!!

「おっぱい」という単語が頻出しなければ、

個人的にはもっと好きになっていたのに。

 

 

 

P111

歩いているうちに、また雨が降りだした。

雨の粒子は細かくて、霧のようだった。

(省略)

「サイダーの中を歩いているみたいだね」とお姉さんは言った。

「植物たちが元気です」

「森がうるうるしているね。こういうのはいいねえ」

 

P128

(省略)

そして彼は「ひゃ!」と声を上げて首をすくめた。

木のこずえから水の粒が落ちてきて、彼の首をぬらしたのだ。

レーザー光線のようにもれてくる太陽の光の中に、水の粒がいっぱい降って輝いている。

まるでお天気雨のようだった。

 だしぬけにハマモトさんが走り出した。「もうすぐ!そこ!」

「待ってよ!」

もちろん、ぼくらもあわてて走り出した。

 

映像美の美しい文字。

ストーリー展開も相まって、『アニメ映画』は最高に相性が良い作品だと思う。

 

 

 

P142

「ぼくはいつも夜九時に寝ます」

「そうだった。君は真夜中を知らないんだった」

「真夜中はすごいですか?」

「すごいよ。みんなが寝静まって、街が暗くなって、大冒険さ」

「ぼくも訓練して、夜にも起きていられるようになります」

「そんな訓練をしてどうするの?夜中に起きてたってさみしいだけよ」

「お姉さんが眠くなるまでチェスをしてあげましょう」

「つべこべ言わずに寝ろ、少年」

 

私も年上のお姉さんに「少年」と呼ばれて構われる世界線に生きたかった!!

正直言って男子皆の夢ではない?

年上の大人のお姉さん。

ちょっと粗野で中世的な口調で、

年下の自分と対等に話してくれるけど、

何かあったら都合よく甘やかしてくれるの。

うらやましい…。

その世界線には行けず、私も「お姉さん」なんて歳ではなくなってしまった…。

今世では叶えられなくなってしまったよ…。

 

 

 

 

P330

「アオヤマ君、それは君の心配することではない」

 

一つ一つ謎を解明していっていた主人公アオヤマくんと、その友人ウチダくん、ハマモトさん。

その不思議な研究を、大人が見つけてしまい取り上げられてしまったシーン。

せめてこれまでの研究結果を伝えようとしても、大人はにべもなくそう言い切った。

 

ムカつくわ~

こういう言われ方する頭にくるし悲しいし、話聞けよ!!って大人でもなる。

大人でもなるのに、なんでそれを子どもに言っちゃうかな…。

 

 

 

 

 

 

P373

お姉さんはイスに座っているぼくを見て、ニッと笑った。

「泣くな、少年」

「ぼくは泣かないのです」

(省略)

 

P375

「アオヤマ君、泣いてるの?」

「ぼくは泣かないことにしているんだ」

お姉さんに言ったとおり、ぼくは泣かなかった。

 

子どものうちに泣いておけ!!

悲しかったら泣いて、ムカついたら怒って、楽しかったら笑っておけ!!

大人になったら我慢しなくちゃならないんだから。

 

 

 

それにしても、何度読み返しても最後のシーン、感動的だな…。

 

 

すごく楽しめた!!

当時もすごい話題になっていたのに、なんで今まで読んでなかったんだろう!

良い作品だった!!

 

 

 

 

 

TOP画は以下からお借りし編集させていただきました!

もうすぐ、夏も終わってしまうね。

ペンギンイラスト - No: 1865364/無料イラスト/フリー素材なら「イラストAC」 (ac-illust.com)

都会の新緑と様々な建物が織り成す街並みイラスト - No: 23729774/無料イラスト/フリー素材なら「イラストAC」 (ac-illust.com)

 

 

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