アラ還からの提言⑵ | けいせつ基金 〜空の下でハミング♫〜

けいせつ基金 〜空の下でハミング♫〜

茨城県を犬殺処分ワーストから脱却させるために立ち上げた基金です

「今のセンターの苦境を知った上で言ってるのか?」


「とてもまともじゃない…」


そんな声があっても当然だと思います。


しかし繰り返しますが、僕は、苦境をさらに苦しくさせるために言っているつもりは全くありません。


確かに一時的には、子犬の収容数の増加を認めざるを得ません。


しかし

捨てられて野犬化したり、多頭飼育崩壊されたり、雑な譲渡で繁殖されたりすれば、どうなるでしょう?


数年後、あるいは数ヶ月後には、より難しい問題に姿を変えて、こちらに向かって来るのです。


それが起きないよう、積極的に防止策を講じることが、苦境をより悪化させることになるとは、僕には思えません。必ずや、良い方向に向かうはずです。


今でさえ、すでに限界を超えてお仕事をされているセンター職員の皆様に対し、まっすぐ目を見て

「子犬の受け入れをお願いします」

などとお願いするのは


理屈の上では正しいと胸を張る僕ですら、正直、抵抗感が全くないわけではありません。


僕は、子犬のお世話を簡単には考えていませんが


それでも、数年経って、問題が大きくなってから出会うリスクが低くないのだとしたら


子犬の時期に、積極的に出会っていた方が、様々な面で、対策が取りやすいだろうとは、言って差し支えないと思います。


ここで忘れてはいけないのは

「子犬の受け入れなんか再開するから、収容数が増えたじゃないか」

までは正しいと認めても


「子犬の受け入れなんか再開するから、子犬の出生数が増えたじゃないか」

は、事実誤認だということです。


積極的に情報を集めたから、子犬が生まれた事実を掴んだだけであり、出生数を増やしたわけではありません。


知ろうとしなければ、知らないところで生まれているだけです。


子犬が産まれて困っている声に耳を塞いでしまえば、子犬の問題は無くなったかのように見えるし、子犬の収容も実際無くなるのですが、それは問題を先送りにしたに過ぎず


もし生きていれば

野良犬として繁殖し続けたり

多頭飼育崩壊で糞尿の中で生きていたり


そう…変な言い方ですが、死んでなければ、必ずどこかで生きているのです。


どんどん問題を深くしながら生き続けているのです。


我々が知ろうとしないだけで、事実、どこかで生まれてしまっているのですから。


僕は「子犬の受け入れ」を再開すべきと考えていますが


成犬については、原則、その必要はなく、そうすべきでもないと思っています。


飼い主の、無責任で安易な理由…例えば


引っ越すから

離婚したから

旅行に行きたいから


など、耳を疑う理由はたくさんあるのですが


そんな勝手な理由にまで応じる必要など全くありません。


「最後まで愛情を持って飼養すること」

これは飼い主として当然のことであり、言うまでもないことです。


しかし僕は

「成犬はダメだが、子犬なら認めた方が良い」

と言っています。


これはどうしてかと言うと


まずどなたでも思いつきやすいのは

「実際に受け入れた後、子犬の方が様々な面で負担が少ない」

というのがあると思いますが


僕がそれよりも着目しているのは、これまであまり語られてこなかった、以下のような解釈です。


成犬の飼育を放棄しようとすることは、これまで継続してきた義務を、途中で放棄しようとすること。


しかし、子犬が生まれた場合は、少し事情が違います。


母犬と今後も暮らし続けることは「継続」ですが


子犬が生まれて、頭数が急に増えることは、大きな「変化」です。


「これからも、これまで通り継続してください」

という言葉は、この場合、完全にはマッチしないことになります。


母犬の飼育放棄は認めない。

しかし、その子たちについては手を差し伸べよう。

ただし、母犬の不妊手術は絶対条件ね。


これでいいと思うのです。


この方法の利点は、子犬の保護・収容のタイミングを最適化できる点にあります。


授乳期に母子を引き離すことは、子犬のためにならないばかりか、お世話をする職員さんやボランティアさんに、大変な労力を強いてしまうことになります。


飼い犬で、母犬がそこにいるのですから、親子で一緒にいるべき時間を充分に取ることができます。


授乳期の子犬と同様に困るのは、成長し過ぎた子犬です。


小さ過ぎても困るが、大き過ぎると、また別の難しさが出てきます。


保護というか捕獲…捕まえることが難しくなるのも、子犬はあっという間です。


実際の収容のタイミングは別にして、飼い主からの申し込みは、生後できるだけ早く連絡を受ける必要があり


生後1ヶ月以内、遅くとも2ヶ月以内には連絡・申し込みがほしいところです。


子犬が生まれて、頭数が急に増えたことを、飼い主にとっての「大きな変化」だと理解してあげたとしても


2ヶ月もあれば、十分考える時間はあったはずだと解釈していいし


その時期を過ぎても手元に置く選択を飼い主がするならば、それはすなわち「終生飼育」の覚悟を決めたことだと受け止めていいと思うので


子犬の受け入れの条件を

「◯週齢までの申し込み必須」

と定めることは、むしろ合理的な判断だと思います。


センターから出してくださるのは、愛護団体の皆様や、登録ボランティアの皆様です。


そんな皆様に、僕が、子犬のお世話を簡単に考えていると誤解されないよう、気をつけて書いていますが


それでも、これ以外のタイミングは、いずれのタイミングも、このタイミング以上の困難がありそうだということは、思っています。