Iさんのご主人さんです。
「だけど、どうもあの母犬は捕まりそうにありません。どうにかできないものでしょうか?」
そうですね。
捕獲器にも入らないような犬の場合、僕はフェンスを使って捕獲したことが何回かあります。
それを試してみましょうか?
ただ…
野良犬の捕獲には、クリアしなければならない問題があります。
その子を捕獲した場合
どなたか、飼ってくださる方はいますか?
猫のように手術して放す…ということが、犬ではできないんです。
「そうなんですか?しかし、そのまま何もしなければ、出産を繰り返すでしょう。
その度にこうして子犬の里親募集をするのは、私たちにも限界があります。」
おっしゃる通りです。
「飼い主が決まらなければ、母犬はどうなってしまうのでしょうか?」
現行法を文言通りに解釈すれば(別な解釈をする方もいるかも知れませんが)、住民からの依頼があった場合、捕獲されてセンターに収容されることになります。
もちろんその場合には、Iさん自身が捕獲する義務はなく、行政に依頼すればやってくれるはずです。
ただし
野良犬生活が長く、人に慣れていなくて警戒心が強い中型雑種は、必ずしも命の保証はありません。
「そんな…かわいそうな…」
はい。しかし不妊手術をしてあげないと、ずっと出産が繰り返される恐れは…おっしゃる通りあります。
「うちは高齢の夫婦で、2匹が精一杯です。だからこうして、子犬の里親さんを探して…。
角さん、あの母犬は、うちの庭にけい留してあげるだけでも大丈夫ですか?」
はい!
Iさんが飼い主として市役所に登録し、首輪をつけてちゃんとけい留してくだされば、何も問題はありません。
「そうですか!そしたら私たちが飼い主になります。
長く外で生活していた子なので、急に家に入れるのは難しいと思いますが、少しずつ家の中に入れてあげるよう頑張ってみます」
ホントですか!
ありがとうございます!
「今は子犬のお世話で手がいっぱいです。子犬たちが離乳して、それぞれ新しい家族に迎えられた頃、ちょうど次の妊娠のリスクも高まっているでしょうから、その時に保護のお手伝いをお願いします」
わかりました。
そしたら1月頃ですね。
頑張って保護しましょう!
これで
野良犬が1匹減ることになります。
いつまで続くかわからなかった繁殖を止めることができます。
Iさんが「飼い主になる」と言ってくださったおかげです。
本当にありがとうございます。
こういうことがセンターの外で起こっていることも、センターに報告しないといけませんね。
そうそう
子犬の里親さんは、あと2匹決まっていないそうですが…
Iさんは充分に、この子たちのためにできることをしてくださっています。
それでも結果的に、里親さんが決まらない場合は
離乳してからセンターにお願いするのであれば、それは正しいことだと思いますよ。
今のセンターは、収容数も適正数を完全にオーバーしている上に、たくさんの乳飲み子を抱えていまして
それをセンター長をはじめ、職員さんたちが休み返上で、交代交代授乳して命を繋いでいます。
目の開かない状態でセンターに収容するのは、センターにも負担が大きく、乳飲み子たちにも良いことではありません。
8匹(9匹)中、残りの2匹になるまで授乳のお世話をしてくださり、里親探しに努力してくださったのですから、もう充分でしょう。
必要であれば僕の方からも、この経緯をセンターに説明します。
その頃まで育っていれば、センターに収容されても、幸せになるチャンスはきっと大きいと思います。
それか、もしかしたら
けいせつ基金に協力してくださる愛護団体様から、センターに収容する前にお声がかかるかも知れません。
そうなれば、センターに収容する必要はありません。
センターも大変努力してくださっていますが、やはりたくさんの犬猫がいますから、ウイルス等のリスクも無いわけではありません。
必要ないのであれば、あえて収容させる意味はありませんし、センターの仕事をいたずらに増やす必要もないでしょう。
だから、子犬についても最終的には大丈夫です。
そこは安心しつつ、これからも2匹のご家族探しをよろしくお願いいたします。
それでは1月に!
よぉし
頑張って保護しましょう(^^)