この記事は続編ありとなっております。
今回は二回目の記事となります。

ほぼ事実に基づいたフィクションです。
よろしくどうぞ。

< 前回記事 >

 

 (続)ベンンチャー企業編


あっそうそう結局お金を使い込んだ人は誰かってことだけど、それは当時の社長さんね。まぁ社長さんも初めての社長だったから色々と誘惑に負けちゃったんでしょうね。

創業者は一応会長職として存在はしてましたけど、あらゆる事業に投資やら何やらしてましたからね、私が在籍したベンチャー企業は数ある企業の内のひとつに過ぎなかったわけなんで少々油断していたのかもしれないですね。

使い込んだお金はそりゃ相当なもんでしたよ。結局、刑事告訴はせずに示談で済ませた感じでしたが当然に社長さんは即刻のこと解雇されたわけです。なもんで社長職不在のまま半年間のトライアルがスタートしたわけですよ。

とりあえず私はメンバー全員を集めてこの事実を話すことにしましたよ。最初は言うか言わぬか迷いましたが、この難局を乗り切るには正直にこの事実を話した上で進んだ方が良いと判断しましてね。

今回のことを正直に話した上で皆の意見や判断、決断を尊重しようと思ったわけなんですよ。仮に辞める選択をした場合でも残りの期間で転職活動が出来るわけだし、こちらとしてもそれを支援できますからね。

私としては一定人数で直ぐに辞めると言い出す者もいるかなとは思ったんですがね、それは流石に居なかったです。まぁ各々生活がありますし仮に目標が達成したとしたら残るか否かの選択肢があった方が良いですからね。

ただ嬉しかったのは皆ね、誰一人として後ろ向きではなかったんですよ。そりゃ今回の話に驚いてはいましたが直ぐに気持ちを切り替えてましたね。正直これは予想外でしたね。

ここからの半年間は怒涛の営業が始まったわけなんですよ。細かいエピソードは腐るほどありますけど、それは追々としましてね。ざっくりと話すとこの時が仕事人生の中で一番充実してたかもって程に楽しかったですね。

あっと言う間に半年が経ちましたよ。結果はね、目標達成は出来ませんでしたよ。ただかなり健闘しましたよ。通常のサービスで約5,000万強まで売上ましてね。あとは一発逆転のミラクルな大口契約で約5,000万強でした。

合計で1億強でした。あれ?目標達成してるって?そうなんです。確かに目標は達成したんですよ。契約上はね。どういうことかと言いますとね、通常のサービスの方は売上の翌月には入金されるのですが、大口契約の方は入金が3ヶ月後だったもんで、そこを突かれて結局目標は未達扱いになってしまったんですよ。

まぁ何とか温情で目標達成としてくれるかな?と多少の期待はしたんですがね、健闘空しく受け入れてもらえませんでしたね。この大口契約は私の担当だったんで営業過程でなんとか入金サイクルを早めようとしたんですが、あまり無理をすると契約そのもが破談しそうだったんで無理はせずでした。

ちょうど桜も開花し始めたころだったんですがね、私たちは見事に全員解雇と言う形の自主退職というかたちになりましたが皆スッキリしてましたよ。仮に目標達成してたとしても私と一緒なら辞めてもいいなんて言ってくれたりしてね。ちょっとしたドラマのような感じでもありました。

とは言うものの最初から無理な条件だったもんで営業しながらもみんな転職活動をしてたわけなんですよ。中々内定が決まらない者もいましてね、その場合は私の知り合いの会社にお願いしたりなんかして何とかしました。

メンバーとしては私含む営業20名、事務方5名の計25名の構成だったんですがね、当時は結局のところ私含めて20名が退職扱いに至りましてね。残りの5名は事務方と言うこともあり残留となりました。

事務方の5名も折を見て退職するって言ってましたので実質は計25名が今回の騒動に巻き込まれた感じでしたね。会社全体でも30名でしたから他の5名は殆ど顔を見せない取締役2名と謎の人物3名がいましたよ。

この謎の人物3名ってのはほんとに謎でして、一応創業者の友人だか知人で他の業務と掛け持ちで在籍している謎の社員で50歳台後半から60歳くらいの方々でしたね。たまに案件を拾ってきてくれるけど謎の人物。

まぁそもそもこう言った謎の人物がいる時点でちょっと怪しいですよね。当時はそれほどまでに違和感はなかったのですが、あまり好ましくはないですよね。ともあれ私たちは退職したわけですよ。

私たちはこの半年間一緒に頑張ったメンバーたちと慰労会兼送別会をしました。花見シーズンってこともあって先ずは花見がてらに屋外でやりました。みんな充実した顔をしてましたよ。結果はダメだったけど、なんか達成感と言いますか結束感と言いますか、ほんと充実してました。

二人のメンバーを除いては…



つづく。