この記事は続編ありとなっております。
今回は一回目の記事となります。

 

ほぼ事実に基づいたフィクションです。
よろしくどうぞ。

 

 ベンチャー企業編。

 

ベンチャー企業で事業部長をやっていた私は、そのベンチャー企業の次期社長の予定だったんですけどね。それが突然に退職を余儀なくされて、その後は大手電機メーカーの子会社で契約社員となったんですよ。

 

なぜ次期社長だった私が契約社員になったかって?それは当時にある選択を迫られた結果そうなったんです。そのベンチャー企業は創業メンバーとして参画してたんです。

元々私は大手建設会社のマネジャーとして、とあるプロジェクトを担当してたんですね。そしたら縁あってかそのベンチャー企業の創業者からスカウトされてそのベンチャー企業に参画したんです。

そのベンチャー企業はとにかく楽しかったですよ。なんせ色々なことをゼロから準備したりして、

それが形となっていく様はたまらなく面白かったですよ。そりゃ嫌なことや大変だと思うことはありましたけど。

最初は6人からスタートして徐々に人数が増えていきましてね。少しずつ売上もたって、とにかく毎日が充実してましたよ。ちょうど2年が経過しようとした時には30人近くになってましたよ。

少ないながらも男女比は半々となっていて皆いい人ばかりだったですよ。ただ3年目に突入したくらに段々と雲行きが怪しくなりましてね。ちょっとした事件が起きたわけですよ。

いつの間にか資金がどこかに飛んでたわけですけど、当時は誰も気付かなかったんです。なんせキャッシュフローや何やらと見せられていた殆どが架空のでっち上げだったもんでして…

とある日に突然、創業者から呼ばれましてね。立て直しも兼ねて次期社長をやって欲しいと言われたわけですよ。私は迷いましたが経営状況を全てオープンにしてもらって、その上で判断しようと思ったわけです。

そこで色々と見ましてね。とまぁ当時の判断としては何とかなりそうかな?と思いましたね。ただ早急に資金調達は必要ではありましたが、そこも何とかなりそうな感じだったので次期社長を引き受けることにしたわけです。

ただここで創業者から一つ条件がありましてね。次期社長をやるにしても今いるメンバーの 2/3 を

解雇することが条件だと言われたわけなんですよ。流石にその条件を直ぐに呑み込むわけには行かなかったですね。

なぜかって?そもそも論として無駄に資金を使い込まなければ今のメンバーで築き上げた業績だったら黒字だったわけなんで。それにここまで一緒に頑張ってきたメンバーをそう簡単に切り捨てることは出来なかったんでね。

結局、創業者とはお互いに条件を出し合うことになりましてね。その条件ってのがこちらになります。半年後までに売上を追加で1億上げたら今いるメンバーは全員残留。もし達成出来なかったら私含めて全員解雇。

最初の条件より厳しくはなってしまったわけですが引くに引けなくなった私は勢い任せにもその条件を呑み込んだんですよ。ただ、元々売上単価が低いサービスな上に年間で3億程度の売上だった当時としては半年で追加1億なんてかなり無謀な条件でしたよ。

正直、無理だなとは思いました。その条件を呑み込まなければ自分は次の社長にはなれるけど

メンバーはの大半は解雇されてしまうのですから、そこまでして社長を引き受ける意義ってあるのだろうか?って思いましてね。

それに何だか後悔しそうだなと思いました。皆に対する情みたいのもありましたし、事業部長として私の指示に良く従ってくれた皆を裏切るわけにはいかない。なんてちょっとした正義感のうようなものがあったわけですよ。その当時はね。



つづく。