●トレーニングの流行について

 

先日はお客様の施術中にこういう話になりました。

 

「しかし、先生たちも大変ですね。トレーニングも○○トレー二ングが流行ったと思ったら、次は××トレーニングが流行ったりと流行について行かないといけないから。」

 

一般の方でこういう見方が出来る方がいらっしゃるのは素晴らしい事だと思いました。

普通はトレーニングの流行に左右されてる事にも気付いて無い人の方が多いと思います。

 

確かに…

 

ファッションと同じようにトレーニングも流行があります。

エクササイズツールで見ても…バランスボールが流行ったと思ったら、次はストレッチポール®が流行ったり、今はグリッドローラーで筋膜リリースするのが流行っていますよね?

 

しかし、本質的な事を理解すると随分と様相は違って見えてくると思います。

 

バランスボールは元々スイスボールと言う、スイスの幼児の玩具だったものを、理学療法士(恐らくクライン・フォーゲルバッハ)が「小児脳性麻痺」のリハビリで使用しだした事から始まっています。

その後にリハビリ分野からスポーツ、一般のスポーツ愛好家のパフォーマンス向上に転用したのです。

 

ストレッチポール®は元々「フェルデンクライスメソッド」のツールです。

モシェ・フェルデンクライスがそもそも丸太を使っていたのを、創意工夫で現在のような材質に辿り着いたと言われています。

 

 

グリッドローラーは元々「トリガーポイント療法」のツールです。

 

 

トリガーポイント療法では、痛みの引き金点(トリガーポイント)があると考えられていて、それが存在する筋線維はカルシウムイオンを放出する「筋小胞体」が破損していてカルシウムイオンが筋線維中に露出して、過剰収縮していると仮説を立てています。

 

その治療において筋線維内に出来たトリガーポイントのある筋線維をトランスバースマッサージなどの「ゴリゴリ」系のテクニックを使用して一度破壊し、自然治癒⇒再構築する事によって症状緩和する事を狙っています。

 

「筋膜の癒着を取る事」も公式HPには目的と書かれていますが、そもそものトリガーポイント療法のアプローチと独特の形状(凸凹)を見ると「ゴリゴリ」する為のものとしか思えませんよね…

 

という事からも、トランスバースマッサージ様な使用目的もあると考えて良いのでは?と思います。

 

以上です。

 

どれも流行と言うよりは目的があって長い間使用されてきたものですし、その専門家達は流行など関係なく今も使用しています。

こういう本質的な話を知らないと、どれも同じような効果のツールで、形や名称の違いはただの流行に見えてしまいます。

 

私はこうなる事は一般の人は仕方が無いとしても、専門家では少し問題だと思っています。

 

その理由を少し話したいと思います。

 

 

 ●尊敬するトレーナーの先輩の言葉

 

私のトレーナとして大尊敬していて、トレーナーとしての師匠だと思っている人物が良く言っていた言葉で

「メソッドの名称は、人間の身体の原理・原則に名前を付けただけのもの」という言葉があります。

全くその通りだと今でも思います。

人は「名称と形態」に捉われます。

これは「釈迦」の最古の経典の一つでもある「スッタニパダ」の中の言葉でもあります。

 

 

 

 ●大切なのは人の身体の原理・原則

 

話は戻り…人はトレーニングの名称や形態に捉われます。

 

「○○メソッドは××協会の認定資格です。」

「○○メソッドは理学療法士以外が実践してはいけない」

「○○メソッドの形はこれでないといけません。」

 

そんな事は些末な事であって、実際にはメソッドの土台になっている「人間の身体の原理・原則」が大切だと思います。

むしろ、人間の身体の原理・原則に叶っているのなら名前や形はどうでも良いと思いませんか?

 

しかし、一般の人の多くは「名前」「形」に捉われてしまいます。

 

「○○メソッドって芸能人もやってるし、みんなやってるから良いに決まっている。」

「○○メソッドの正しい方法をyoutube動画で公開している。視聴回数が多いから正しい方法なんだと思う。」

こういう話をよく聞くと思いますが、専門家からしたらナンセンスですよね?

しかし、私は笑ってばかりではいられないと思っています。

 

 

 ●専門家は「名前」「形」に捉われず「原理・原則」からメソッドを見る目を養うべき?

 

笑ってばかりいられないと思っている理由は、私たち専門家も割と「名称・形態」の罠に嵌っているからです。

 

「○○メソッドは××先生に教わらないと本物ではない」

「××メソッドで無ければ、筋膜の癒着は取れない」

「▽▽メソッドは理学療法士以外は使用してはいけない」

「チョメチョメメソッドの正しい形は、創始者が行った形以外は認められない」

 

こういう話はよく聞くと思います。

 

それらの話の全てが間違いという訳ではなく、必要な話もあるでしょうが…

重要なのは「名前」「形」の前に「人の身体の原理・原則」がありきだと言う事では無いか?と思います。

 

それを忘れてはいけないと思っています。

 

そういう意味では私はやはりフィットネスやスポーツの現場と、基礎研究の場の交流などが重要だと思っています。

なぜなら、フィットネスやスポーツのの現場では資本主義的にブームを作って「名前」「形態」を流行らせることがマーケティング的に有利だからです。

 

本質を語ろうという人の方が珍しいと思います。

本質は分かりにくいし、其れよりは感情に訴える言葉の方が商売には繋がるからです。

 

しかし、ファッションと健康産業はちょっと違います。

ファッションは確かに流行りに乗っかるのでも問題無いと思いますが、本質的な意味での健康を手に入れる為には

 

ブームに左右される健康観より、リテラシーを高めていく健康観の方が良いのではないでしょうか?

 

一般の方もフィットネスの流行に左右されていると、たとえ身体は健康になっても心が疲れてしまい。

いずれは心の健康を損なうのではないか?と懸念してしまいます。

一般の人に大きな影響を与えるのは、私たちのような健康産業を生業にしている人間の情報発信だと思います。

 

人の健康は身体の健康だけでなく、心の健康も大切です。

私個人の考えとしては、専門家としては一般の人の心に余計な捉われを作る情報発信より、なるべく心が自由で健康的になる情報発信を心掛けたいと思っています。

 

急ぎまとめた文章なので、分かり難くて申し訳ありませんでしたが

最後まで読んでくださりありがとうございます。

 

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世間一般的には「肩が回りにくい」などの際に「肩甲骨の動きが悪い」など、部位に着目する事が多いと思われる。

 

「肩甲骨はがし」が分かりやすい例で、肩甲骨(厳密には健康胸郭関節)の柔軟性が改善する事がイコール「肩のトラブル改善」と思われている節がある。

 

しかし、専門家の方々はお分かりだろうが実際には第一に肩甲骨に限らず、関節の役割は「可動性」以外にも「安定性」があるので、余りに不安定で動き過ぎる肩甲骨は上肢に力を上手く伝えられないので不具合になる。

 

また、肩関節は「肩関節複合体」と呼ばれるように「肩甲上腕関節」「肩鎖関節」「胸鎖関節」「肩甲胸郭関節」「第二肩関節」*詳しくはこのblogの肩関節の項をご覧いただきたい。

 

 

などが協調して正常な動きが実現できる。

 

<姿勢と肩関節複合体の関係>

上肢帯の動きは肩関節複合体の協調によって成り立っている事は理解している方が多いと思うが、更に言うと「脊柱」「胸郭」などの運動連鎖も大きく関係するので「姿勢」も考慮しないと上肢帯の動きも正確に判断出来ない。

 

分かりやすいところでは肩甲骨は胸郭の上をスライドするように動く為に、胸郭のアライメントに大きく依存する。

 

有名なのが下のカリエの「軟部組織の痛みと機能障害」

 

 

」にあるイラストだが、正常なアライメントと円背姿勢のアライメントで肩関節の屈曲の動きを評価する際には、円背のアライメントであるなら肩甲骨が前傾するために第二肩関節の位置が前下方向に偏位するので、正常アライメントに対して上腕骨がインピンジメントを起こしやすくなるため可動域が制限される。

 

これを肩甲上腕関節の可動域改善のストレッチなどで改善しようとしても、そもそも改善しない事が分かると思う。

更に運動連鎖の面で考えても姿勢は上肢帯の動きに影響を与える。

 

通常だと「屈曲」では屈曲の初期から中期にかけては肩甲骨は外転位を取る。

内転位では「棘上筋」などインピンジメントでダメージを受けやすい腱板がストレッチされるポジションになる。

また、肩甲上腕関節は「肩甲骨面(スキャプラプレーン)」において靭帯や関節包の捻じれがなくストレスが小さいが、それを逸脱する程に動きの際にストレスが生じやすい事からも肩甲上腕関節に大きなストレスが加わる事が想像できる。

<姿勢評価は運動評価に先立つべき?>

例えば、胸郭の伸展が強い「ミリタリーバック」のような姿勢を取り続けている人は、先ほどの上肢帯の屈曲に生じる肩甲骨外転が生じにくい事が想像できる。

 

そのようなクライアントがいる際に肩甲上腕関節のストレッチや肩甲骨のモビライゼーションなどを行う事も悪くは無いと思うが、私は優先順位としてアライメントの評価と修正があってしかるべきに思う。

 

もちろん、現場の状態やセッションの環境(場所、時間、時系列)などを考慮して実施出来ない事はあり得るだろうが…

 

<動きの評価の前に姿勢評価>

円背の人間は肩甲上腕関節の屈曲時にインピンジメントが起きやすい事は割と多くのトレーナーや施術家は周知の事実となっているが、今後は運動連鎖の評価においても事前の姿勢評価の有用性が広まるなら、とかく「可動性」「柔軟性」を「肩甲骨はがし」のような強烈にイメージとして刷り込みされている一般の方々の意識も変容して、より身体全体を部分だけでなく俯瞰して全体で捉える事の出来る、健康情報リテラシー社会に近づくのではないか?と考えている。

 

参考文献 

 

 

 

こんにちは

奥川です。

 

さて、比較的新しい運動指導者向けの「姿勢評価」に専門書籍「姿勢アセスメント」の中では

立位姿勢でのつま先の向きは「やや外向き」と記述されています。

 

   

 

 

「パラレルスタンス」をニュートラルポジションとする団体もあるので、このブログをご覧になっている方でも疑問に思う人もいると存じますが、解剖学的には通常は「やや外向き」になります。

 

これは通常は脛の骨が膝から足首に掛けて外捻じれになっているからです。(脛骨捻転角)

 

なので、膝が前を向く通常の股関節の人ならつま先は「やや外向き」が正しい解剖学的なニュートラルポジションになると考えています。

 

しかし、厳密にはつま先の向きは「股関節前捻角」と「脛骨捻転角」の差によって決まりますから、その両方を評価する事が必要になってきます。

 

つまり「脛骨捻転角」が正常でも「股関節前捻角」にイレギュラーがあれば、つま先の向きも変わります。

 

<股関節前捻角とは?>

復習しますと、股関節前捻角とは股関節の付け根の捻じれ角の事です。

  

 

つまり…

股関節前捻角が大きい人は「前捻股」「内股」と言い、脛骨捻転角が正常なら膝は立位で内側を向きます。

股関節前捻角が小さい人は「後捻股」「外股」と言い、脛骨捻転角が正常なら膝は立位で外側を向きます。

  

内股ではつま先は正面や内側を向き、外股ではつま先はかなり外側を向きます。(チャーリー・チャップリンに例えられる事もあります)

 

このように股関節の前捻角は個人差が大きい事や、アライメントにも影響が大きいために、最近では股関節前捻角を評価してから姿勢チェックや運動指導を行う人が増えてきました。

 

youtubeで「股関節前捻角」と入れるとたくさんヒットするようになってきました。

  

これはTarzanなどによく執筆なさっている、ファンクショナルローラーピラティス協会の会長でもある理学療法士の中村尚人先生など、著名な先生方がその必要性をセミナーやメディア媒体などで情報発信してくださっているお陰だと思っています。

    

 

中村尚人先生の股関節前捻角に合わせたヨガの記事

 

私自身も10年以上前から前捻角に合わせた運動指導の重要性をSNSなどで発信してきたのですが、情報発信力の乏しい私が発信したところで広まる気配も無かったので、現状は非常に有難く思っています。

 

私自身が前捻角を考慮した運動指導の必要性を感じたのは、あるプロゴルファーのクライアントを見た事が最初でした…

 

股関節周囲の痛みが酷く、整形外科に通ったが特に原因が見つからずに困っていると言う方でした。

 

歩行時や股関節を内に捻じると痛いと言う事だったので、初診時の検査で股関節前捻角のテストである「クレイグテスト」を実施すると前捻角が0度にも満たない「後捻股」でした。

 

<クレイグテストとは?>

 

 

つまり、骨格の形状的に股関節内旋に制限がある方だと分かったのです。

 

詳しく話を聞くとレッスンの時にお客様にスウィングフォームの見本を見せる際にどうしても「股が開いてしまう」のをお客様に笑われた事があったらしい。

 

それがきっかけで股関節の内旋ストレッチや内旋筋のトレーニングを集中的に行ったようです。

 

そういう話をしている内にその方自身が「そう言えば、その頃から痛くなりだした」と仰ってくださいました。

 

そうなると話は分かりやすくて、先ほど行ったクレイグテストの結果を伝えて

 

「私は医者ではないから診断は出来ないが、検査したところ○○さんの股関節は骨の構造上内旋しにくい骨格のようなので、無理にストレッチやトレーニングした事で負担が係ったのが原因かも知れません」

 

と説明して、その日は緊張している筋肉や筋膜を緩めて症状を抑え、しばらくはレッスン以外では股関節内旋を控えて頂くようお願いしました。

 

そして、次回ご来院の際に症状を伺うと信じられないくらいに楽になったと言うのです。

この経験がきっかけで以降は、ほぼ全ての人に対して初診検査時に「股関節前捻角」を見るようになりました。

 

そうすると想像以上に多くの慢性腰痛や股関節痛、膝痛と言う不定愁訴を持つ人に股関節前捻角に合わない身体の使い方をしている人がいる事に気付いたのです。

 

それから股関節前捻角を評価する重要性を伝えようと思いSNSを中心に必要性を説いた情報発信したり、股関節前捻角の評価も含めたオリジナルのO脚矯正プログラムの「健美脚」というメッソドを専門家向けセミナー

DVD,Bru-ray教材で一般販売したりしてきました。

 

色々と微力ながら頑張ってきたのですが、やはり情報発信力がある人間が行わないとなかなか社会には浸透しない事を、今ようやく中村先生等の発信のお陰で浸透してきたからこそ改めて考えさせらています。

 

《股関節前捻角に合わない姿勢、運動指導の問題点》

 

私が考える股関節前捻角に合わない姿勢、運動指導の主な問題点は

 

①間違った筋収縮パターンを使ってしまう

②正常な運動連鎖が起こらない

③股関節運動時にインピンジメントが起きやすい

 

の3つです。

 

①間違った筋収縮パターンを使ってしまう

 

股関節前捻角を一般の方に説明して勘違いされやすいのは、例えば前捻角が強い人は立位で膝が内を向く「内股」になる訳ですが、それを「矯正」する必要があると思ってしまう事です。

 

しかし、この内股は構造上のものなのでいわば「個性」です。

逆にいうと矯正出来ないし、する必要が無い物なんです。

 

なぜなら、股関節の適合性はもちろんの事、筋長などもその肢位がその人にとっては最適だからです。

 

姿勢においても、運動においても、そのような方を無理に標準的な形に矯正してしまう事は間違った筋収縮のパターンを使わせてしまう事になりかねません。

 

②正常な運動連鎖が行らない

 

下肢には下肢回旋運動連鎖という、筋収縮が関与しない構造による運動連鎖があります。

    

股関節前捻角と異なる肢位では正常な運動連鎖が行らない可能性が高いと考えられます。

 

一例を挙げると…

股関節前捻角が小さい後捻股(外股)の人が膝とつま先を正面に向けるパラレルスタンスを取るなら、平均的な前捻角を持つ人の「内旋位」と同じになるので下肢回旋運動連鎖を考えるなら「股関節内旋⇒骨盤前傾」となるので骨盤前傾位になると思われます。

 

その状態でトレー二ングなどを実施すると、エクササイズ中に正常な下肢の運動連鎖が起こりにくい、または股関節だけでなく膝、腰、足首、など各関節に加わるストレスが増加する事が考えられます。

 

下の動画はTC研究会のメルマガでもシェアした、股関節前捻角を考慮した新しいヨガ「繋がる太陽礼拝®」を考案した「こだまよし子」先生と私の対談動画です。

こだま先生も前捻角に合わない運動をしていて「膝関節半月板損傷」という大けがをしたのがきっかけで「繋がる太陽礼拝®」を考案するに至ってます。

 

 

③股関節屈曲時にインピンジメントが起こりやすい

大腿骨と寛骨臼が衝突して軟骨損傷、関節唇損傷を起こす「大腿寛骨臼インピンジメント」には「ピンサー型」「カム型」の運動療法では改善困難な構造依存型と、運動療法の適応となる可動域制限が関係するインピンジメントがあります。

 

この可動域制限の因子は「骨盤後傾可動域低下」「股関節後方支持組織の柔軟性低下」の2つに大別されます。

 

また、大腿直筋などの軟部組織が股関節屈曲時に大腿骨との間で挟まれる事によって疼痛を感じる事があります。

 

股関節屈曲時に大腿骨が軟部組織を圧迫開始するのが屈曲70度以降である事から、ほとんどの健康な人は股関節屈曲90度程度でも鼠径部に痛みは感じないので、痛みを感じるか否か?は挟まれる筋に十分な柔軟性があるかどうか?と考えれています。

  

大腿直筋自体の筋緊張が高くなる事や、大腿直筋と筋膜連結している隣接の股関節屈曲筋である縫工筋、大腿筋膜筋、小殿筋の筋緊張が高くなる事が股関節深屈曲位での鼠径部の「つまり感」や「痛み」と関係していると言われています。

 

<骨盤後傾の制限>

股関節前捻角に合わない運動指導では、前述したように正常な運動連鎖が行ない事が考えられます。

 

例えば、正常な運動連鎖なら股関節屈曲の約10度から「骨盤の後傾」が見られるのですが、それが生じない場合には骨盤前傾位は股関節の屈曲に制限が出やすいのでインピンジメントを起こしやすくなります。

 

<後方支持組織の柔軟性低下、前方軟部組織の筋緊張>

股関節後方支持組織には「股関節外旋筋群」があるが、股関節前捻角が大きい内股の人が膝を正面に向けようとするなら、その股関節は絶えず「外旋位」になる為に股関節後方支持組織が短縮し柔軟性も低下してしまう事は十分に考えられます。

  

逆に股関節前捻角が小さい外股の人が膝を正面に向けようとするなら、その股関節は絶えず「内旋位」になる為に大腿筋膜筋、小殿筋、などが過剰に緊張する事は十分に考えられるために、どちらもインピンジメントを起こしやすくなると考えています。

  

以上です。

 

参考文献:股関節拘縮の評価と運動療法

 

 

 

解剖学的な視点は別として、精神的な面で考えても自分の身体に合わせて運動する事が「自然」で「健康的」だと私は考えています。

 

メタ的な視点で見ても、現在の運動科学やスポーツ科学の方向性はより「有機的」な運動指導を目指しているように思われます。

 

従来の運動指導と異なり「正しいフォーム」を教えるのではなく「環境適応」や「自己組織化」を促すアプローチ、エコロジカルアプローチなどが最たる例です。

 

勿論ケースバイケースで従来の「正しいフォーム」を教える指導法が必要な事は私も重々承知ですが、そもそも論でいうなら全く同じ骨格の人間は存在しない訳なので。

その骨格特性が余りに平均と異なるなら、いわゆる正しいフォームより骨格特性を優先すべきに思います。

 

例えると分かりやすいと思います…

 

例えばトラックと軽自動車で同じような運転をする人はいないと思います。

 

車を運転した事ある人なら分かると思いますが、大きな車になる程に「内輪差」と言うのがあるので、同じように運転をしたら簡単に事故に繋がるのは自明の理です。

 

そう考えたら、前捻角が全く他と異なる人がいるのならば、それに合わせた運動指導を行う事は当然の事なんじゃないか?と私は思っています。

 

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