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『コラム 臨床を楽に過ごせる考え方』

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『コラム 臨床を楽に過ごせる考え方②』

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2.痛みや不快感が無い状態は良い

 良い状態の一つの要素として「痛みや不快感が無い」状態を挙げました。特に心地が良いとか気持ちが良い、という感覚が無くてもかまいせん。目的としている活動に集中できるのが大事です。例えば、新しいカバンを買いに出かけて、歩く度に膝が痛ければ、買い物に集中できず、心ときめく一品を買うことができないかもしれません。好きな作家の小説を読んでいても、首が痛ければ話に入り込むことができないでしょう。ピッチャーが踏み込む側の足裏に違和感があればコントロールを乱すかもしれません。寝ている時に肩が疼けば熟睡できないでしょう。活動に集中できる状態、つまり良い意味で何も感じないのが理想です。

 

 ここではこのコラムにおける痛みや不快感についての捉え方をご紹介していきます。

 

 

1)不具合を知らせるシグナル

 必ずしも痛みや不快感を悪者とは捉えません。なぜなら、痛みや不快感は、からだが本来の構造、機能から逸脱した状態であることを教えてくれている警告だからです。

 

 痛みは外傷でなければ、「何も感じない → 違和感 → 痛み」の順で出現すると考えています。

 どこか上手くいっていない箇所がある場合、痛みの前に違和感を感じるはずです。その状態で使い続ければやがて組織は破壊され痛みが出現するでしょう。できれば、違和感の段階で介入し、正常に機能するところへポジションを移すことが改善への近道になると考えます。

 

 

2)神経系の叫び

 損傷が無くても痛みが起こる、もしくは損傷があっても痛みが無いこともある、ということを頭に入れておく必要があると思います。なぜなら痛みはインプットというより、生命が危険にさらされるかもしれないという“恐れ”に対する神経系の表現、アウトプットという側面があるからです。

 

 少し長くなりますが、興味深いので、痛みや不快感がいかに周囲の状況により修飾されるかをお伝えしておきます。

 

・恐れ

 重大な損傷があっても痛みがない場合や、損傷が小さい、もしくは全くない場合でも激しい痛みがある場合があります。 前者では戦場やスポーツの現場で見られることがあります。もしくは腱板損傷やヘルニア等の椎間板の異常があるにも関わらず無痛である場合もありますね。 後者(損傷無しに痛みが起こる)は特に慢性痛のケースに見られます。幻肢痛は最も典型的な例で、痛む部位すら無いのに痛みを感じるのです。この様に、損傷の大きさと痛みの程度は必ずしも一対一の対応になっていない場合があるのです。

 

 痛みを神経系の恐れと捉えるなら、痛みの目的は組織の損傷の度合いを測ることでは無く「防御的な活動を促す」ことにあります。有害な刺激に対して手を引っ込めるなど、ダメージを増悪させる様な行動を避け、保護的な行動を惹起させるのです。また、それは損傷を治癒させる時間を与えることにもなります。痛いので動かしたく無い、という動機を与え動かさないことで治癒が進むのです。五十肩などはその典型例に思います。痛みと可動域制限によりわざわざ動かさせないようにすることで回復を促しているように思えます。痛みは「これ以上、動かすと肩が壊れてしまう。」という神経系の恐れの表現と捉えることもできます。損傷が可能な範囲で治癒されれば痛みはその意味を失い軽減していきます。

 痛みは損傷の程度を測るというより「行動のきっかけ」つくるという側面があるのです。

 

 

 痛みは現実的な損傷では無く、認識された「恐れ」に対して防御的に働きます。この点に関して脳は正確とは言えず、様々な状況に影響されると言えます。

 

 更にいくつかの例をお伝えします。

 

・プラシーボ効果

 偽薬効果もそれを表しているように思えます。プラシーボ効果により治療を必要とされる部位に何ら変化が起こっていないにもかかわらず痛みが減ることがあります。これを「脱水と喉の渇き」 の関係に置き換えてみます。当たり前ですが、喉の渇きの目的は脱水が生命を危機にさらすことを回避するため、給水を促すことにあります。喉の渇きは脳が脱水を回避するのに十分な量の水分を摂取したと判断すれば直ちにおさまります。面白いのは実際に脱水が起こっている組織に水分が補給される前に渇きがおさまることです。脳は 「まだ、組織の脱水信号を受け取っているが、十分な水分量を摂取したので、じきに水分は供給され脱水の恐れは去った」と判断し渇きを止めるのです。

 痛みについても同様なことが言えるかもしれません。組織の損傷はあるが、神経系がそれに対する十分な処置がなされた、と判断すれば痛みが減じるのです。この要素は我々のアプローチに必ずといってよいほど含まれるている思います。

 

・ノーシーボ

 プラシーボの逆です。

 ノーシーボを良くあらわす実験が有名です。ヨーロッパで行われたその実験の目的は、人間の体重の10%が全血液量といわれているが、医師たちはそれ以上であると考えており、そのことを死刑囚で証明しようというものでした。ベッドに寝かされ目隠しをさせられた死刑囚は足の全指先を小さく切開されました。血がバケツにしたたり落ちる音が実験室に響きます。死刑囚には1時間ごとに累積出血量が知らされます。5時間が経過し、ついに出血量は10%を超え医師たち歓喜しました。しかし、その時死刑囚は亡くなっていたのです。ところが、桶の中に落ちていたのは血ではなくただの水でした。死刑囚は多量の血が流れていると思いこんで死亡したのです。この実験の真の目的は、人間が強いストレスにより死に至るかを確かめることだったのです。つまり、致命的な損傷がないのに思い込みによって死ぬことさえできるのですから、周囲の環境によって痛みや不快感が起こることは何ら不思議なことではない様に思えます。

 

【執筆者紹介】

 

宮井健太郎先生

1977年生まれ 
2001年 理学療法士資格取得  
以後、老人総合病院、老人保健施設、老人ホーム、小児病院、スポーツ整形外科、一般整形外科にてリハビリテーションに関わる 
2006年 ロルフィングプラクティショナー認定 
2010年 フランクリンメソッド エデュケーター認定 
2014年 ロルフィングムーブメントプラクティショナー認定 
現在、東京 有楽町線・副都心線 小竹向原駅近く、東久留米市内にて、ロルフィングとボディーコンディショニングを行う 
日本ロルフィング協会会員 

皆さんこんにちは! TC研究会 理学療法士の梅澤です。 

本日もコラムを読んで頂きありがとうございます。 

私は現在普段の生活としては、 おくがわ整体院 と 整形外科クリニック と 難病リハビリ と 太極拳 と 子育て を主に行っております。

 

前回のコラムでもお話させて頂きましたが、太極拳は本場中国に行って学ぶこともしてきました。

私をその様な行動にさせたのは、太極拳がとても身体にとって良い作用を及ぼすと確信したからです。 もちろん太極拳が身体にとって完璧なものではないですし、他にも身体に良いものは数多くあることは間違いないです。

 

その中でも私が太極拳が優れており、それをリハビリと掛け合わして行っていこうとした理由は、大きなものとして今までの15年程度 急性期病院と認知症病院でみてきた患者様の影響があります。 

 

詳細は前回のコラムで書かせて頂いていますが、すごく大げさに言ってしまいますと、病院に来て手術などの治療をしなければならなかった人の多くの患者様が、普段から太極拳などを行っていれば、病院にきてわざわざ痛みとリスクを伴う手術などの治療をする必要がなかったということです。 

 

そして、手術などの治療はある一定の効果はありますが、一か所手術など治療を行うということは、例えば運動器的な観点からであれば、腰椎に対して固定術を行うということはその他の胸椎や頚椎にもその後何らかの影響が及んでしまいますし、循環器系で心臓の血管の障害であればその場所の血管のみでなく脳や下肢の血管にも影響が及んでいることが多くあります。

 

 もちろん一度目の手術や治療の後に良い対策ができていれば上記のようなことも防げるかもしれませんが、中々それは困難なことも多いのでやはりそうなる前に何らかの対策が行えていることが最も良いことだと思います。 また、今はコラムの流れ上 “太極拳” を行っていればと書きましたが、普段皆さんが行っている運動でも良いものもあると思いますし、健康や医療に携わっている方であれば普段指導している運動や治療法でも対応できると考えます。

 

 それでは、本日は太極拳の効果の中でも 運動器系(転倒と骨折を中心に)について科学的根拠も踏まえながらお話させて頂きたいと思います。 論文などで最も多いのがバランス能力についてです。 

 

まあ皆さんも何となくこれは良くなりそうだと感じると思います。 

 

バランス能力向上に関しては、かなり前になりますが 平成16年に厚生労働省が“介護保険制度改革の全体像”で発表した資料の中でも 転倒を防止する各種の運動のうち最も効果があるのは“太極拳”と結論づけています。 私自身も病院勤務時代に転倒で骨折をして入院する患者様を毎日みてきました。 

 

余談ですが、高齢者の骨折には四大骨折と言って“大腿骨頚部骨折” “脊椎圧迫骨折” “上腕骨近位部骨折” “橈骨遠位端骨折” があり大腿骨頚部骨折に関しては、ほとんどの患者様に手術が必要となります。理由としては、手術しないで治そうとすると骨癒合するのに12週以上(3か月以上)かかってしまい、その間に歩行できなければ体が廃用してしまうため、一生寝たきり状態になってしまいます。また、先ほども述べましたが、手術をすると固定は短期間で行えるため手術後すぐに歩行練習などは可能となりますが、元の状態ではなく、一般的には一段階歩行能力は低下するとされています。 

 

例えますと、杖などなしで歩行ができていた方であれば、骨折後はT字杖が必要になったり、T字杖歩行の方であれば四点杖や歩行器が必要となるということです。そして、上肢の骨折に比べ、大腿骨頚部骨折は転倒時に手も出ないくらい反射神経も低下している可能性があるため、骨折後にも様々な注意が必要となってきます。

 

 話しがそれてしましましたが、転倒予防として良い理由としての根拠としては、一つ目は太極拳は常に中腰の姿勢になることが多く、その姿勢で体を支えています。 その為 “太極拳の特徴は下半身にあり” とも言われています。 

 

この筋肉の使い方は下記の三種類にわけた筋肉の使用方法がある中では、三番目の伸縮性収縮となります。 

 

“短縮性収縮(コンセントリック収縮)”:(例)肘を曲げながら動かす時の使用方法

“等尺性収縮(アイソメトリック収縮)”:(例)肘の角度を変えず保持する時の使用方法

“伸張性収縮(エキセントリック収縮)”:(例)肘を伸ばしながら筋を使用する方法

 

これが意味するところは 同じ条件下で筋肉を使用したとしたら 力の強さ(負荷)としては  伸張性収縮 > 等尺性収縮 > 短縮性収縮 となります。

 

ちなみに伸張性収縮は短縮性収縮の1.4倍ほどの力の強さ(負荷)があるとされています。 特に “体を支える力” として重要な大腿四頭筋や殿筋群を伸張性収縮で使用するため 転倒予防 に大きく寄与するわけです。   

 

二つ目としては、 “つま先を上げる力” がつくということです。太極拳は四方八方へ動くのですが、どの方向へ動くにしてもつま先をゆっくりですが足部の関節の最終域付近のところまで上げます。 また、つま先を下ろすときは踵が着床した後にゆっくり足底全面接地にしていくため 先ほどの“伸張性収縮”を使用しますし、支持する側の足も中腰姿勢が深くなるほど足部の関節は背屈位をとることになります。これがつま先などが引っかかり転倒しまう予防につながります。 

 

三つ目としては、 太極拳が“骨盤の平衡を保つ” ことをしていることです。 実際に私たちが歩行する時なども片脚の支持になる時には大きく骨盤が傾かないように主に支持側の股関節外転筋群などが大きな作用をしていることがわかっています。この負荷はおよそ体重の2~3倍あるとされています。 太極拳では足を動かすにあたり注意することの一つとして 虚実分明(虚と実をはっきり示す)という重要な言葉があり “虚”は荷重をかけない足 で “実”は荷重をしっかりとかけて支持する側を分けることをします。 そのため骨盤を平衡に保ち片脚で支持することが多く、股関節外転筋をとてもよく鍛えることができ これも転倒予防の効果を上げていると考えます。 

 

ちなみに太極拳は “後ろに歩く” こともするため歩行に大変重要な殿筋群のトレーニングにもなりますし、歩行の推進力を規定する股関節伸展角度の拡大にもつながります。

 

そして、後ろ歩きはパーキンソン病などにも一定の効果をあげていること や ある論文では後ろ歩きが記憶の機能を上げるというデータも出ています。 考えてみれば 後ろ歩きは 類人猿にはできず人間ができる というはとても興味深いことです。骨盤の傾きなどの身体の構造的なものが大きいでしょうが、後ろ歩きは視覚の能力を大きく低下させ、予測したり想像する力がとても重要となりそうですよね。

 

それが記憶などにも効果を及ぼしているのではないかとも考えられます。この論文では後ろ歩きが短期記憶の機能が向上するとのことでしたが、太極拳自体は技を沢山覚える事や手足の動きを常に連動して止まることなく動かさなければならないために認知機能の向上にも大きく効果があるともされていますので、認知機能との関係についても今後コラムで書かせて頂ければと思います。

 

 以上 長くなりましたが、転倒予防についての太極拳の効果となります。その他にも転倒した際には 骨密度などが骨折の大きく関わるわけですが、太極拳が骨密度に効果を及ぼした論文も出ており “骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン” にも記載されています。

 

バランスや転倒予防の他にも 腰痛 や 変形性膝関節症 に対しても一定の効果を上げており 例えば腰痛に対しては 太極拳が“逆腹式呼吸”を使用していることであったり、 変形性膝関節症であれば、太極拳が “膝関節の固有受容感覚”改善できたことなども大変興味深いものだと思います。 

 

この辺に関しては、今後動画や実技で実際に皆さんに有益となる情報をお届けしていければと考えておりますので、どうぞよろしくお願い致します。

 

 本日もお付き合い頂き、本当にありがとうございました。

 

 

<参考文献>

太極拳が体に良い理由 : 楊 進 監修   雨宮隆太 橋逸郎 著

 

コラム執筆者紹介

梅澤拓未(うめざわたくみ)先生

 

理学療法士として、急性期病院・認知症専門病院で13年勤務。

資格

理学療法士

呼吸療法認定士

認知症ケア専門士

介護支援専門員(ケアマネージャー)

福祉住環境コーディネーター2級

日本コアコンディショニング協会マスタートレーナー

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1.動きに多様性がり、体全体がチームとして働いている

 

 これがなぜ良い状態と言えるのでしょうか?いくつかの観点からお伝えしていきます。

 

 

1)コーディネーション

 良い動きとはチームワークです。

 どこか一ヶ所が強く上手く動くとうより、全体として良く働くことが重要です。なぜなら、参加するパーツが多ければ多いほど一つ一つの負担は減るからです。よくコーディネートされた動きは、外から見ると角ばった動きでは無く、弧を描く様に見えます。わかりやすいのは立って後屈する時です。股関節や背骨全体を少しずつ伸展させる動きです。腰の付け根だけで反っているのは角ばった動きです。

 

 

2)負荷の分配

 同じ重さのお神輿を担ぐなら人数が多い方が一人一人は楽ができます。少ない人数で担ぐとすぐに疲れます。疲れているのに頑張ると担ぎ手は怪我するかもしれません。怪我をした人は担げませんので、残った担ぎ手の負担はさらに増え、さらに怪我をしやすくなります。ついにはお神輿を担ぎ上げることすらできなくなるでしょう。

 

 これらは我々の体の中でも起こっています。同じ動作や仕事をするなら参加する部位は多い方が楽です。例えば、床に置いてある重いものを持ち上げるとします。腕だけでは持ち上がりません。腰で頑張ると痛めます。下半身にも参加してもらうことで、楽に痛めずに持ち上げられることでしょう。

 

 もし、力持ちが多人数いたら、もっと重く豪勢なお神輿を担ぐことができます。つまりパフォーマンスが上がるということです。

 

 もし、非力で人数が少なかったら、お神輿を持ち上げることができないかもしれません。パフォーマンスが低いということです。よしんば持ち上げられたとしても、故障するかもしれませんし、お神輿が崩れて外傷を負うかもしれません。これを防ぐにはお神輿を軽くするしかありません。

 つまり、 脊椎の圧迫骨折や手術による関節の固定など動かない部位がある場合、その部分は仕事をすることができません。つまり担ぎ手が少ない状態です。お神輿を軽くする、つまり負荷を減らすことを受け入れてもらうことも重要です。椎間板がへたった高齢者が何時間も草むしりした後で腰が痛いと言います。負荷が高いのです。「何回かに分けてやりましょう」と伝えます。

 人が様々がパーツで構成され今の形であるのにはそれなりに意味があります。もし構造的に問題が生じたとしたら、やはり、最高のパフォーマンスを求めるのは難しいのです。

 

 

3)多様性 

 小さな子どもが起き上がるのをみると、毎回異なった軌道で起き上がっているように見えます。かたや、高齢者はというと毎回同じ起きかたをする方が多いのです。不謹慎ですが、まるで棺桶から死体が起き上がる様に、真っすぐに起きて、真っすぐに寝ます。 「横を向いて起きたらどうですか 」と毎回言ってしまいます。

 動作に多様性があるということは、同一箇所に負担がかかり続けるリスクを回避することができるということです。また、次にお伝えする順応性にも関連しています。

 

 

4)順応性

 動作は環境に応じて柔軟に対応できる事が重要です。

 今、あなたの座っているイスから完璧に立ち上がれたとして、そのやり方で違ったイスからキレイに立ち上がれるでしょうか?椅子の高さによってやり方を変えなければなりません。決まったイスの高さで完璧に立てるより、色々なイスの高さからそれなりに立てる方が良いと思います。いくら室内の平らな場所を完璧に美しく歩けても、屋外ですぐに転んで捻挫する様では生活が成り立ちません。屋外に出れば、段差もありますし、ほとんどの場所で傾斜があります。そこに対応できる順応性が重要なのです。順応性とは多様性からの選択なのかもしれません。

 

 

5)硬さと柔らかさ

 基本的に動作は体の柔らかい部位から起こります。柔らかい部分がある程度動き切り、抵抗が出てくると、その抵抗より柔らかい部分が動きはじめます。例えば、両手を挙上します。最初は肩関節周囲の柔軟性によって挙上しますが、限界に近づくにつれ抵抗が増してきます。さらに挙上を試みるなら、その抵抗より抵抗が少なく柔らかい部位、例えば腰が動きます。この腰の伸展により見かけ上、手はより挙上したことになります。

 

 他動運動でもおこります。エリーテストというものがあります。うつ伏せで片側の膝を他動的に曲げて尻上がり現象の有無から大腿直筋などの短縮を判断するテストです。しかし、このテストは単に大腿直筋などの短縮というよりは腹筋群との相対的な硬さを見ているようにも見えます。テストを行った際、腹筋群が大腿直筋などより緩く伸び易ければ骨盤が大腿直筋などに引っ張られ、前傾し、尻上がり現象が出現します。逆に腹筋群が短く伸び辛らければ、例え、大腿直筋などが短くても、尻は上がらず、単に膝が曲がらないだけかもしれません。

 これらは硬さの違うセラバンドを結んで引っ張ることに例えられます。青いセラバンドと黄色いセラバンドを結んで両側から引っ張ります。必ず青いセラバンドより黄色いセラバンドの方が大きく伸びます。

 

 動きの中で基本的には柔らかい部位は硬い部位より大きく動きます。つまり、柔らかい部位は硬い部位より多く仕事をする羽目になります。体全体が一様に硬ければパフォーマンスは上がりませんが、各部位が少しずつ仕事をして負荷は分散します。問題なのはマダラに硬い状態です。硬く働かない部位は、柔らかくて良く働く部位に仕事を押し付けサボります。仕事を押し付けられた柔らかい部位は早くにヘタっていきます。つまりチームワークが上手くいっていないのです。

 

 

●まとめ 〜動きに多様性がり、体全体がチームとして働いている〜

 「動きに多様性があり、体全体がチームとして働いている」状態では、体にかかる負荷を分散できることから、体を痛めるめることが少なくなります。動作中、体の様々なパーツが参加することからパフォーマンスを上げることができます。また、単純に動作に参加するパーツが多いほど動きのバリエーションが増え、周囲の環境に順応性し、対応できる様になります。少ないパーツで動くと角ばった動きになるのとは対照的に多くのパーツが参加することで弧を描く様に動き、一般的に美しく見えるなどの利点があります。

 

【執筆者紹介】

 

宮井健太郎先生

1977年生まれ 
2001年 理学療法士資格取得  
以後、老人総合病院、老人保健施設、老人ホーム、小児病院、スポーツ整形外科、一般整形外科にてリハビリテーションに関わる 
2006年 ロルフィングプラクティショナー認定 
2010年 フランクリンメソッド エデュケーター認定 
2014年 ロルフィングムーブメントプラクティショナー認定 
現在、東京 有楽町線・副都心線 小竹向原駅近く、東久留米市内にて、ロルフィングとボディーコンディショニングを行う 
日本ロルフィング協会会員