トータルコンディショニング研究会代表の奥川です。

 

トータルコンディショニング研究会では、本年度より健康産業で活躍する様々な先生にインタビューをして

人生哲学であったり、仕事への取組みや、仕事を通じて社会に一番伝えたい事など伺い、動画配信する事にしました。

 

理由としては、多様なバックグラウンドの先生方から健康観を聞く事で、人の健康を多面的に捉える視点を養う為です。

その中から、ご覧になった方のそれぞれが、健康観は多様としても共通する何か一つの真実が見つけられるのなら幸いに思います。

 

記念すべき第一回は著書4冊、DVD3つが重版を繰り返し、非常にボディーワーカーとして評価の高い

日本アートマイム協会のJIDAI先生です。

 

昨年は「真剣しゃべり場」というイベントを一緒に2回実施させて頂きました。

その際もボディーワーカーという肩書で登壇していただきましたが、今回は本業である「マイムアーティスト」としてのJIDAI先生のお話を多めに聞いております。

 

もちろん、ボディーワーカーとしてのお話も伺っております。

今後も色んな先生にインタビューしていきたいと思っておりますので、ご覧になって参考になったと言う方や

良かったと言う方がいらっしゃいましたら、是非「いいね」ボタンやシェアのご協力をお願い致します。

さて、大昔はトレーニングと言えば「筋力トレーニング」ぐらいでしたが、最近では「ムーブメントトレーニング」「ファンクショナルトレーニング」「体幹トレーニング」「プライオメトリックトレーニング」「武道トレーニング」など、様々なトレーニングがあります。

それに合わせて「ピラティス」「ヨガ」「エアロビクス」「ズンバ」「ボディーワーク」など加えると一般の人は何をしたら良いのか?混乱して分からなくなるんじゃないでしょうか?
また、このトレーニングの細分化は今後も進んでいくと思いますので、私は業界として何かしら対策をした方が良いと思ってますが…皆さんはどう思っているのでしょうか?

「何が悪いの?選択肢が多い事は良いじゃない」と考える人もいるでしょうね。
しかし、本当にそう思いますか?


分かりやすい例を出すなら、全く身体の柔軟性が無い人が「ヨガ」をするとどうなりますか?
身体を壊しますよね?


少し難しい例を出すと
アニマルムーブメントなどは基本的な脊柱の運動連鎖が出てない人がやるとハードルがかなり高いと思います。
上手く実施出来ないだけでなく、身体を壊す可能性もありますよね?


では、運動連鎖を出そうと思って、脊柱の運動連鎖を引き出す「ファンクショナルトレーニング」を行っても、基礎的な「体幹」のスタビリティが無いと運動連鎖が体幹部分で破綻しますからエクササイズ効果が出にくいですよね?

そんな感じでエクササイズを効率的に行うには、その人にそもそも前提能力がある事が重要になります。
より土台に近い前提能力によって、効率的に実施出来るエクササイズの上限は決まってくると思います。

こういう考えの事を「パフォーマンスピラミッド」と言います。


私は思うのですが、トレーナーはもっと一般の人にも「パフォーマンスピラミッド」の概念を啓蒙すべきに思います。

そうしないと、何を判断基準に自分に合ったトレーニングを選べばよいのか?一般の人は分かりませんから、結局は運動指導者の「アテンションビジネス」によるパイの取り合いに巻き込まれるだけです。

私のクライアントでもぎっくり腰を過去に経験していて、脊柱のインナーユニットが痛み経験で「機能不全」に陥ってる人がいて、全く脊柱の動きが出てないのに通っているジムのイントラに勧められて「アニマルムーブメント」みたいな事をやっている人がいます。

当然、いくら頑張っても全く上達しませんね。
その人はイントラの知り合いが多いものですから、様々なとレーニングをあれや、これやと勧められて、人付き合いが良いから全部チャレンジして、どれもこれも上達しないから…ストレスばかり溜まっています。

選択の判断基準が無い人間に、選択肢がたくさんある事がどれだけ地獄でしょうか?
例えば、たくさんのテレビがあるショールームで、テレビのスペックが全く分からない状態だったら選べますか?

「パフォーマンスピラミッド」の概念をまず一般の人に理解してもらって、自分に足りない能力を補うトレーニングを選択してもらうようにしていかないと…

 

現実的に考えて、これからのトレーニングメソッドの乱立やアテンションビジネス化は止められないので

このままでは何をやっても効果が出ないで、流行りのエクササイズに振り回され逆に身体を壊してしまう人が大量発生してしまうと思います。

 

それは業界全体のイメージダウンにも繋がりかねないと懸念しています。

《普段運動してない人でも、一流アスリートでも、ベースメソッドを実施する事には恩恵はある》

実は人間の運動の一番の前提能力は「体性感覚」になりますよね。

そもそも私たちは「感覚」が無いと、いくら筋力があっても、柔軟性があっても、腕一つも動かせません。

実際に体制感覚を遮断する「アイソレーションタンク」という、本来はリラクゼーション目的に作られたタンクで五感を遮断するような装置があるのですが

ロボット工学や人間の意識に関する研究で有名な前野教授の実験によるとタンクに入ると徐々に身体イメージが消失していき、最終的にはほとんどの被験者は身体が動かなくなるそうです。

 

 

これは体性感覚から「補足運動野」「運動前野」で身体イメージが作られ、身体イメージを利用して「運動野」が身体の各部位の筋に指令を出すシステムの「身体イメージ」が上手く作れなくなるのが原因では?と前野教授は説明しています。

「かなしばり」なども同じ理論で説明出来ると言われていますね。
そんな人の運動に欠かせない体制感覚ですが刺激するには「ボディーワーク」が有効と言われています。

これは近年超一流のアスリートがボディーワークを実践している事実を理解するのに分かりやすい例だと思います。
つまり、パフォーマンスピラミッドの一番の土台を広げると「競技スキル」という頂点部分も高くなると言う事です。

当然ながら、普段全く運動をする習慣が無い人にも、高齢者のような低体力者にも土台を整えるボディーワークのような「ベースメソッド」は恩恵を与えます。

唯一無二のトレーニング方法はあり得ませんが、パフォーマンスピラミッドを理解するなら「ベースメソッド」は万人に進められるトレーニングだと言う事は分かると思います。

ボディーメイク系のトレー二ング指導でケガが多い事がテレビ報道などで取り上げられて、業界でも問題視する人も増えてきました。
指導者のスキルを高めないと!次のステージに高めないと!医療と同等の事が出来ないと!
と言ってるトレーナーの方々もいらっしゃいますが、それ以前に「パフォーマンスピラミッド」のような当たり前の事を啓蒙したり、ベースメソッドのような土台作りを行う重要性を説いた方が、私はよっぽどマシだと思っています。 

 

皆さんはいかが思いますか?

 

 

 

こんにちは

トータルコンディショニング研究会代表の奥川です。

さて、皆さまは「いわゆる」体幹トレーニングと呼ばれるトレーニング。

一定のポーズを取って静止するスタビライゼーショントレー二ングは腰痛リハビリと関係深い事はご存じでしょうか?

前回ご説明したように大きな意味での「体幹トレーニング」は定義が曖昧でして(私の知る限り)人によっては「上体起こし」「ピラティス」「ヨガ」なども体幹トレーニングに入れる人もいます。

 

『【体幹トレーニングはアスリートに必要なのか?】』

https://ameblo.jp/totalconditioning/entry-12837610031.html #アメブロ @ameba_officialより

 

ですが一般的に体幹トレーニングと言われてイメージするのは「プランク」では無いでしょうか?

 

実は私の整体院のお客様に伺っても「体幹トレーニングやった事ありますか?」と聞くとほとんどの方が「プランクですよね?」と仰るので、世間的にはプランクのようなスタビライゼーショントレーニングが体幹トレーニングなんだと思います。

 

実はこのスタビライゼーション系のトレーニングの歴史は「腰痛リハビリ」の歴史と密接なのを知ってましたか?

 

腰痛リハビリの歴史には大きく分けて3つ理論変遷がありました。

1,           腹腔内圧理論

2,           後部靭帯系理論

3,           体幹深層筋制御理論

の3つです。

まず「腹腔内圧理論」の時代には腹筋群が腹腔内圧を上昇させる事で脊柱を前側から支えて、尚且つ伸展モーメントを生み出し脊柱安定化に働くと考えられていました。

そして、猫も杓子も上体起こしを行っていたと思います。

私が若い頃は腰痛関係のリハビリの書籍では必ず「上体起こし」を推奨していました。

しかし、この腹腔内圧理論は重量物挙上時や運動時のような強い負荷が脊柱に掛かる時の安定化においては、そもそも腹腔内圧だけで脊柱を安定させる程の伸展モーメントが生み出せない事が分かってきた事から、今はそれほど重要視されていないと思います。

 

「数学的モデルによる検討では,重量物挙上時に腹腔内圧のみで脊柱を保持し て挙上動作が遂行されると仮定すると、その際に腹腔内圧は250mmHgを超え ることが要求される。もしこれが維持される場合には腹大動脈が圧迫され、内 臓と下肢への血液供給が遮断されることになる 19. さらに腹筋群の横断面積か ら推測される最大出力は60~50psi (0.3~0.4MPa) であり、この出力に対する 輪状の緊張力を体幹に生じることは、事実上、不可能である」

非特異的腰痛の運動療法 荒木著 引用

 

なんと!重量物挙上時に腹腔内圧だけで脊柱安定させようとすると「腹部大動脈」が圧迫されて下肢帯に血流が供給されない、と書いていますね…

計算上ではありますが、どうやらコンタクトスポ―ツやウェイトリフティングなどの高負荷が掛かる腰部の安定は「腹圧」だけで維持しているのか?は疑問の様です。

 

続いて、後部靭帯系理論が注目されるようになりました。

これは背筋群と股関節伸展筋群の収縮が筋膜連結している胸腰筋膜や脊柱の関節包、靭帯を伸長する事でやはり脊柱に伸展モーメントを生み出し、脊柱安定化に寄与すると言ったものです。

この時期は「上体起こし」の逆である「上体反らし」が重要と言われるようになったと思います。

しかし、後部靭帯系にも疑問符が付けられます。

背筋群が強く収縮すると脊柱に「剪断力」が発生するために、逆に不安定になるのでは?と言われるようになった来ました。

 

そして、両方の欠点を補う理論として登場したのが「体幹深層筋制御理論」です。

これは基本的なコンセプトはpanjabiの「脊柱安定化システム」の考え方です。

3つのサブシステムが相互に働く事で脊柱を安定させると考えられていて、前回のコラムで書きました「コアスタビリティ」においても重要な要素と言われています。

 

受動系(パッシブ)サブシステム

脊椎、椎間板、靭帯、関節包などであり、運動への機械的な抵抗や張力の最終域を安定させる。

能動系(アクティブ)サブシステム

筋腱、筋膜などであり、安定性に加え、感覚入力や運動生成に大きな役割を果たす。

制御系(ニューラル)サブシステム

筋紡錘、ゴルジ腱器官、および脊髄の靭帯からのフィードバックに基づき、筋出力を絶え間なく監視および調整する複雑なタスクを担う、姿勢の調整や身体の外部荷重に基づいて、十分な安定性を保証しながら目的とした関節運動を可能にする。

 

これらの3つのサブシステムが相互に作用して、コアスタビリティを確保して安全で効率的な運動を実現している訳です。

 

《急性腰痛後リハビリには体幹深層筋の特異的安定化エクササイズが必須》

 

この脊柱安定化システムの要となるのは「インナーユニット」と呼ばれる、横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群からなる体幹深層筋群です。

特に注目すべきなのは「フィードフォワード制御」という、四肢が動く前にインナーユニットが事前収縮して腰椎~骨盤の下部体幹の安定を保つ機能です。

 

これがコアスタビリティの肝でもあります、安全で効率的なモーターコントロールの肝でもあります。

で、この体幹深層筋制御理論が腰痛リハビリのスタンダードになった理由の一つは、腰部捻挫などの急性腰痛を罹患した患者の多くに、腹横筋、多裂筋といったインナーユニットに「活動遅延」「不活動」などが見られ、それが原因となり運動時の局所的なストレスを高めて「慢性腰痛」に移行している事が分かったからです。

よく「ギックリ腰」つまり、腰部捻挫を経験した人は繰り返すと言われていますが、経験的に言われていた事が一部理論的に説明出来るようになってきたわけです。

 

私がこの事を始めて知ったのは、確か所属しているトレーナー団体NSCAの機関紙に「血圧測定のカフ」を腰の下に敷いてリハビリしている写真を見た時です。(下の写真はペルビックアプローチからの引用です)

ご存じの方もいらっしゃると思いますが、当初はインナーユニットの特異的な収縮エクササイズ…つまり、腹横筋だけを収縮させるような腰痛リハビリエクササイズが流行ったのですが、腹横筋を使えているか?クライアントにフィードバックするために腰の下に血圧計のカフを敷いて、血圧計の数値がどれくらいなら収縮出来ていると言ったようなチェック方法を採用していたようです。

 

私は初めてその写真を見た時に「なんか科学的で格好良い!絶対習いたい」と思って、その勢いで日本コアコンディショニング協会に入会したのですが、セミナーに始めた出た時に講師の方に「カフを使ったエクササイズはいつ習えますか?」と聞くと既にカフを使う方法は廃止されていて、結局は習わず仕舞いだったのをよく覚えています。

 

少し脱線しましたが、体幹深層筋制御理論がスタンダードになったのは恐らくですがインナーユニット事前収縮の不活動、または収縮遅延からの慢性腰痛化への予防に効果的だったからだと思います。

 

「Hides らは、腰痛患者に対する多裂筋の特異的安定化運動療法の効果を評価するため、特異的安定化運動療法施行群と非施行群とで、腰部多裂筋の横断 面積、疼痛,機能障害、可動域を観察した。

その結果、施行群では機能障害と 多裂筋萎縮がともに改善したが、非施行群では疼痛は改善したものの萎縮には 回復が認められず、多裂筋萎縮に関しては特異的安定化運動療法の重要性が示 唆された」

非特異的腰痛の運動療法 荒木著 引用

 

上記の通りHidesらの研究によると腰痛患者の多裂筋の機能障害や委縮は自然治癒では改善しない様です。

どうやら、体幹深層筋群の特異的安定化エクササイズが今のところは必須になりそうです。

 

実際に当院でも繰り返すギックリ腰を持っているお客様は多裂筋の特異的安定化エクササイズで非常に良好な結果を示しています。

で、最初は特異的にインナーユニットを収縮させるのが中心だったのですが、ウエイトリフティング、コンタクトスポーツのような高強度のスポーツを行う人はそれでは不十分だと言う事が分かってきました。

 

そして、表層筋を収縮させ、それらの筋膜連結によるテーピング効果で関節を安定させる「姿勢制御アウターユニット」もインナーユニットと一緒に収縮させて、より強いスタビリティを発生させる今のスタビライゼーショントレーニングが登場しました。

 

それが「スタビライゼーショントレー二ング」であり、いわゆる体幹トレーニングになります。

たまぁ~に「体幹トレーニング(スタビライゼーション)は要らない」「体幹トレーニング(スタビライゼーション)をすると動きが固くなる」というトレーナーがいますが

 

それは当たり前と言うか、そもそも論で言ってしまうと腰痛リハビリから生まれている訳で、実施する目的が違いますので当然だと思います。

 

言ってしまえば、スタビライゼーショントレーニングを一般の健常者が実施してパフォーマンスが上がる理由は、体幹の「剛性」が増す事が主原因だと思われます。

 

コンタクトスポーツや高強度の体幹負荷が掛かるスポーツは当然の事に剛性が高い方が有利です。

それに体幹の剛性は近年では「瞬発力」と関連が高いと言われていますので、切り返し動作が多いスポーツなど効果的になります。

また、最近は一般的にデスクワークが主な仕事になりますので、体幹の筋力は弱りがちですから多くの人にスタビライゼーションは実施の恩恵があるでしょう。

 

実施も静止するだけですから簡単なので、流行る理由も分かります。

ブームになるとどうしても表面的なイメージが先行するので誤解も増えますよね。

 

本来の意味での体幹トレーニングはもっと広い意味であり、前回お話しました「コアスタビリティ」の概念がベースにあるものですから、動き作りも要素に入ります。

しかし、スタビライゼーションはそもそもが腰痛のリハビリとして誕生しています。

 

この辺の言葉の定義が曖昧なのが一つの問題だと思いますが、直感的に結論を出す前に少し深堀して、色々と文献を調べてみると新たな発見があって良いのではないか?とも思ってしまいます。

 

参考文献

 

 

 

コラム作成者プロフィール

奥川洋二

新宿 おくがわ整体院院長

 

トータルコンディショニング研究会代表

NSCA(全米ナショナルストレングス&コンディショニング協会)認定パーソナルトレーナー
日本関節コンディショニング協会関節マニュアルアプローチマスタートレーナー
日本コアコンディショニング協会 マスタートレーナー
など