マスター・アンド・コマンダー(2点) | 日米映画批評 from Hollywood

マスター・アンド・コマンダー(2点)

採点:★★☆☆☆☆☆☆☆☆
2004年3月6日(映画館)
主演:ラッセル・クロウ
監督:ピーター・ウィアー


 世界的ベストセラー小説を「トゥルーマン・ショー 」のピーター・ウィアー監督が映画化したということで、そこそこ楽しみにしていた作品。

【一口コメント】
 全体を通して見応えというのがなく、また何を訴えたいのかも不明瞭な作品。


【ストーリー】

 1805年。航海中にフランス軍の武装船アケロン号の襲撃を受けた英国海軍サプライズ号。襲撃の際に、多くの死傷者を出し、まだ幼い少年も片腕を失った。
 敗北によって闘志を燃やす艦長オーブリーは、激しい嵐に見舞われ、仲間を失いながらも船を進める。その中で水兵達からある将校に対し、不満の声があがり、その将校は自殺してしまう。
 また、艦長の親友でもある船医とはいざこざばかりで、口論の絶えない日々が続く。
 それでも周囲の反対を押し切り、アケロン号を追うという軍命に従い、無謀とも言える追跡を始める。

【感想】

 ひどい!
 これが見終わった後、いや、見ている最中から感じていたこの作品に対する印象。独りよがりの艦長のために、多くの人が犠牲になり、艦長の間違った指示を後から美化しようとするその魂胆が見え見えで、感動も何もあったもんじゃない。
 例えば、船医との約束を破り、軍命に従い、アケロン号を追う決断をするシーンがあるが、最初はそれは仕方ないなと思っていたが、再度同じような決断を迫られるシーンがある。しかしその時は船医が負傷していることもあってか、船医との約束を優先させる。
 2度目の決断も軍命に従い、アケロン号を追うなら、「何だ!この男は!?」という憎まれ役という意味で、良い作品となったのかも知れないが、2度目の決断で下手に優しさというか友情の大切さ的なものを見せようとしたため、一気に冷めた。
 それなら最初の決断のシーンで約束を選べよ、そうすれば、船医が怪我をすることもなかったし、同じような状況で相反する決断を下すという集団の上に立つべき者としてはありえない矛盾を生むこともなかったのに・・・、と思わずにはいられませんでした。

 作品中で一番の見せ場と言えるのが、アケロン号とサプライズ号の戦闘シーンだが、これは昨年夏の「
パイレーツ・オブ・カリビアン 」で見たのと同じような映像で、何の面白みもなかった。そういう意味では「パイレーツ・オブ・カリビアン 」を見ていない人には新鮮な映像かもしれないが、既に見たことのある人にはなんとも退屈な作品である。

 また作品中で何度か艦長と船医の音楽の演奏シーンがある。艦長がバイオリン、船医がチェロ。この2つの楽器を2人だけで演奏するシーンだが、意味があるとすれば2人の友情を表すためのシーンだと思うが、それなら他にいくらでも方法があっただろうに・・・と思わずにはいられない、「
タイタニック 」を意識したとしか思えない、無意味なシーンだった。

 そして最後の終わり方も何なんだ?ここで終わり?というわけのわからない終わり方にある意味度肝を抜かれた!!この終わり方は「
ターミネーター3 」以上にひどいかもしれない。

 それでもこの作品に2つ★をつけたのは嵐の航海シーンを描いたCGの素晴らしさ、そして、今後が楽しみな新しい若手俳優(マックス・パーキス)を生み出したという2つの理由からである。