アメリカ中間選挙 今後は「オバマ後」の議論を注視 | Making Our Democracy Work! 石井登志郎オフィシャルブログ Powered by Ameba

アメリカ中間選挙 今後は「オバマ後」の議論を注視

6年前の「Change!」を振り返る
オバマが華々しく「Yes, we can」「Change」を訴え、大統領選挙に勝利したのは今から6年前の2008年11月です。時の日本は、福田康夫総理が「あなたとは違うんです」と記者会見で言い放ち、9月に麻生内閣が成立、解散すると思いきや、リーマンショックなどもあり一年間の政権を維持し、その後にアメリカのChange!の流れも影響してか、日本も翌09年に政権交代が起きます。オバマはもともと、ダークホース的な候補で、圧倒的な本命はヒラリー・クリントンでした。それが、オバマの演説力とメッセージによって、一躍、大統領にまで上り詰めます。私もビラに「Yes, we can!」などと書いたことを思い出します。

オバマの「Change」は誤りだったか
今回の中間選挙で、米国民主党はさらに議席を減らす勢いです。それもこれも、オバマ大統領の支持率が40%前後にとどまり、目玉の医療保険や移民政策も期待外れ、地球温暖化対策も空振り、経済も劇的によくなったわけでもなく、アフガニスタンから米軍撤退は実現しましたが、中東の平和問題などに成果を出せずにいます。最近では、エボラ熱を水際で防ぎ損ねたことで、リーダーシップに疑念を持たれています。拡げた風呂敷は大きかったのに、その通り実現できず国民の支持を失っているという姿は、まるで我が国の民主党のようです。自分が所属していた政権のように見えてしまいます。ただ私は、必ずしもオバマの「Change」が何から何まで誤っていたとは思いません。オバマの指導者としての力量を論ずる立場にありませんが、オバマが訴えた「核兵器廃絶」の理想は評価されるべきものですし、「自由」を過度に重んじず「公平」を志向したオバマの方向性は、今なお受け入れられていると思います。だからこそ、2年前にはオバマ自身は再選されているわけです。

まるで日本の政治を先取りしているようだ
今回の中間選挙は、日本にも大いに示唆を与えるものと思います。このはっきりしない、盛り上がりもしない選挙は、いわゆる政治不信につながっていくでしょう。大きな世界的争点がない以上、身近な、生活に直結する雇用や経済に目が言ったでしょうし、華々しいイメージのあったオバマに対する厳しい評価、つまり理想と現実が落胆と言う形で投票行動(ないし投票しない行動)につながったと考えられます。ただそれは、米国民主党が志向する「公平」や「格差解消」が否定されたものでもなく、派手であったオバマの登場に対する反動が、今回の結果につながっていると考えられます。これを見ると、まるで日本の政治を先取りしているようです。今のままで行けば、日本も政治への関心が薄まる懸念があります。今回の中間選挙を分析し、政治離れの糸口を探っていかねばなりません。

引き続き膨張するアメリカ 論点は「オバマ後」に移る
アメリカは、今後も人口増加を続けます。09年に3億1千万人である人口は、2050年には4億人を超えると見込まれます(約30%増)。これは、出生率が約2.1と高いことと共に、毎年70万人もの移民を受け入れていることがコンスタントな人口増加が見込まれる要因となっています。ちなみに我が国は1億2千万人が9700万人になるとされています(20%減)。この先、BRICS諸国は台頭し、日本の相対的立場の低下が懸念されますが、中国の台頭と相まって、日本の地理的重要性が高まっていくことになるでしょう。政治的に似たような流れをしているアメリカと日本ですが、人口面で膨張するアメリカと日本、これまでのように単なる対米追従を続けていれば、アメリカや世界にとって日本の重要性は益々低下してゆきます。だからこそ、わが国には戦略的外交が重要となります。アメリカの政治日程は、この中間選挙を終えた結果、「オバマ後」に焦点が移っていくことになります。その議論を注視し、日本の戦略も練っていく時期にあると思います。