王滝を安全に走るために | 自転車乗るなら土の上

自転車乗るなら土の上

BMCサポートライダー 國井敏夫
2012シーズンから本格的にレース活動を開始
MTB→FS01 29とTE01 29
CX→CX-01とGF-02Disc
ROAD→SLR01

今週末に迫った春の王滝SDA。パンクしたい人なんていないだろうし、クラッシュしたい人ももちろんいないだろう。でも現実には手持ちのチューブを使い果たしてバイクを押して帰ってくる人もいるし、派手にクラッシュして血だらけで帰ってくる人もいる。今年の王滝ではそんな人が少しでも減ってくれれば、そんな思いが常につきまとう。今さら新しいパーツの紹介しても間に合うわけじゃないし、セッティングや走り方のポイントを書き出してみる。


・タイヤのセッティング
空気圧は低過ぎればリム打ちのリスクが増えるけど、高いからといってサイドカットに対してはそれほど有効だとは思わない。高圧にしたところでパンクする時はしてしまう。走行性能と耐パンク性能を総合すると、体重にもよるけどチューブレスであればメーカー推奨値の下限あたりを基準に調整してみると良いんじゃないかな。リム打ちを回避するテクニックがあれば、思い切った低圧にしてみると、タイヤが持つ本来のパフォーマンスを発揮できるはず。回転方向は、登りでしっかりトラクションを掛けられるテクニックとブレーキングでロックさせないテクニックがあるのであれば、前後輪とも順目が良い。長丁場で登りが厳しいから、少しでも漕ぎを軽く。テクニックに不安があるなら、リヤタイヤを逆目にして前後方向のグリップ重視にしたほうが、トータルではラクになると思う。

・サスのセッティング
登りだからとロックしてしまうと、漕ぎが軽くなったように錯覚するけど、実はスリップが増えてバイクが進んでいないことが多い。舗装路でない限り、フルサスでもハードテイルでも勾配の緩急を問わずロックアウトすることはほとんどない。タイヤの空気圧とも相関してくるけど、タイヤの空気圧が高いのであればなおさらサスを動かしたほうがバイクが進む。後半の疲れてきた局面であればより一層。せっかく備わっているサスを有効に使いたい。下りでロックアウトを解除するのを忘れてサスを壊すこともないしね。

・パンクしにくい走り方
基本的に前輪はラインを選ぶことでパンクのリスクを下げることができる。でも後輪がたどる軌跡までコントロールできるほどテクニックのあるライダーは少ない。トレッド面のパンクっていうのは実はそれほど怖くなくて、鋭利な石が見えていれば避けやすいし、万一パンクしても修理材などで補修しやすい。一方でサイドカットは避けるのが非常に難しく、補修も困難、というか直せないので、タイヤブートとチューブを入れるしかなくなる。だから性能的にも時間的にも本当の意味で避けたいのはサイドカット。パンクしやすそうな鋭利な石が多いラインを通らないっていうのが一番なんだけど、ワンウェイの王滝ではどうしても避けられない局面が出てくる。そんな時はバイクを傾けずに真っ直ぐに立てて走る。そうすればもし切れてもトレッド面だから補修の余地がある。運が良ければシーラントが塞いでくれるかもしれない。

・ブレーキング
直線的にブレーキングする。コーナーリングしながら、バイクを倒しながらのハードブレーキングはパンクのリスクを高める。コーナーに進入する前の直線区間で十分に減速するのが鉄則。スピードに乗ってくるとブレーキングドリフトとかしたくなるけど、パンクを誘発するだけなので、勝負どころ以外では我慢する。タイヤをロックさせるほどの強いブレーキングは、ブロックのちぎれやタイヤの異常な磨耗にもつながる。効かせ方のコツは、ブレーキング初期でしっかり減速させておき、後半は握力を抜きつつ、コーナーにスピードを合わせていく。

・ペダリング
緩急の大きい踏み込むようなペダリングではなく、回すペダリングを心がける。長いレースではできるだけ一定の負荷を保つほうが、身体への負担が少ない。また、パンクを避ける意味でも鋭利な石の上では強く踏み込むペダリングは回避する。特に山からの湧水でタイヤが濡れた状況では、カットしやすくなるので注意が必要。オフロードではケイデンスは高過ぎればタイヤが空転してしまうし、低過ぎれば筋肉に負担がかかる。登りでは70rpm前後、平地では80rpm前後を目安に、スピードよりも回転を一定に保つことを心がけるとペースを維持しやすい。そのためにはちょっとした勾配の変化でもマメに変速する意識をする。

・コーナーリング
ブレーキングでも述べた通り、コーナーリングに入る前に十分に減速しておく。サイドカットを避けるためには深くバイクを傾けるのは避けたいが、どうしても倒さなければならない場合は路面状況の良い場所を選んで、そこで何度かに分けて少しずつ向きを変えるような、多角形コーナーリングができるとパンクのリスク軽減につながる。ほとんどの人がコースを知らない(覚えていない)と思うので、ブラインドコーナーで安全に走る為にもこれは有効。

・立ち上がり
コーナーリングからバイクを傾けた状態が長いと、立ち上がりが遅くなってしまう。狙った方向にバイクが向きを変えたラ、速やかにバイクを起こしていく。そうすることでサイドカットを避けつつ、素早い立ち上がりが可能になる。

・補給
エネルギー切れを起こしてしまうと、判断力が鈍り、バランス感覚も損なわれる。晴天が予想される今回は、水分も十分に補給していかないと、後半に痙攣や熱中症の危険性が出てくる。お腹が空く前、喉が乾く前に早めに補給していくことが重要。具体的には、30分〜40分に1回、最低でも1時間に1回は何かしらエネルギー系のものを食べておいたほうが良い。ドリンクは10分〜20分に1回はちょっとでも飲んでおいたほうが良い。

まとまりのない文章になってしまったけど、これらはことを頭の片隅にでも置いておいていただければ、安全なライドにつながるのではないかと思う。より詳細な、具体的なアドバイスが欲しい方は、会場で私を捕まえて質問してください。みなさんにお会いできるのを楽しみにしてます。