2016春の王滝SDA100kmレースレポート | 自転車乗るなら土の上

自転車乗るなら土の上

BMCサポートライダー 國井敏夫
2012シーズンから本格的にレース活動を開始
MTB→FS01 29とTE01 29
CX→CX-01とGF-02Disc
ROAD→SLR01

春の王滝SDA100km
2016.5.22開催
天候:快晴
カテゴリ:100km
リザルト:総合第4位
タイム:4h59m20s

例年、MTBシーズンの開幕から間もないため、疲れもなく調子の良さを感じながら挑むレース。コースレイアウトも自分にフィットし、得意な意識がある。
昨年は念願の初優勝を果たし、ディフェンディングチャンピオンとして迎えたこのレース。しかし、なかなか自分の思ったようにはならないのもやっぱりレース。

前日は恒例のファンツーリングのアテンド。もうすっかり恒例となってしまって、自分にとってはコースの下見とアップを兼ねたトレーニングである以上に、一般のMTBerのみなさんと交流できる貴重な機会となった。自分にとっては当たり前と思っているようなことが、実は当たり前ではなかったということに気付いたり、ちょっとしたアドバイスでみるみる上達する方がいたり、始めたばかりの方に登りで煽られたり。毎回新鮮な気持ちになることができる。レースのリザルトも大事だけど、我々のようなサポートライダーにとっては、実はこういう活動のほうが重要なのかもしれない。レース前の予行練習とMTBの楽しさと王滝の大自然の素晴らしさを欲張って一辺に味わってもらう。少しでも多くの方に、MTBを、そして王滝を気に入ってもらう。また王滝に行きたいな、今度はレースにチャレンジしてみたいな。参加してくれた方がそんな思いを抱いてくれたら、我々のアテンドは意味のあるものになる。

前夜祭に向けてテンションが上がって行く会場を早々に後にして、宿でくつろぐ。毎回お世話になっている藤屋さんで、美味しい料理をたっぷりいただき、セルフマッサージをしていつもより少し早めに床についた。
しっかり熟睡して、目覚めもすっきり。時間に余裕があると、睡眠もより質の良いものになる。用意してくれたおむすびとバナナ、フルーツジュースを平らげ、準備は万全。いつもより少しだけ早く出発して、部長のコーヒーを美味しくいただく。例年より気温が低く感じられ、軽くアップ。身体の調子は決して悪くない。

ディフェンディングチャンピオンとして、初めての祈祷。まさに身の引き締まる思いとともに、全員の無事を願って、御嶽山に祈りを捧げた。

6時の号砲とともに100kmに及ぶレースがスタート。巨大な集団の先頭に立って、これから繰り広げられる闘いを思い描く。自分はディフェンディングチャンピオンでありながら、現実的には挑戦者だ。ベテラン勢だけでなく、若者の台頭、ロード選手の参戦。みんなそれぞれ厳しいトレーニングを乗り越えてきている。でも、自分だってこの日に向けてできる限りの準備をしてきた。負けたくない。

いつになく会話の少ないパレード走行から、猛ダッシュのリアルスタート。宮津選手の飛び出しに、怯むことなくついて行く。平地から最初の登りに入ると一気に集団がバラけ、いつものメンバーに絞られていく。ここからしばらくが我慢するところ。思ったほどペースは上がっていないし、問題なくついていけるだろう。始めはそう思っていた。が、心拍が全く反応しない。身体が動かない。なぜ?少しずつ、先頭パックが離れていく。ちょっとずつ、でも確実に。こんなはずじゃない。これくらいのペースならついていけるはずだ。いくらそう思っても、身体がいうことをきかない。チームメイトの山中選手も、時を同じくして、遅れている。でもまだ先頭は視界の中。いつか必ず身体が動き出す。そこまでは我慢だ。山中選手に声をかけ、二人で諦めずに前を追う。

最初の登りの中盤で先頭パックにいた二人がトラブルで遅れた。これで前にいるのは3人。そしてようやく山中選手は身体が動き出したようだ。ペースが上がり、自分をパスしていく。こちらは一向に心拍が上がらず、全く追い込めない。疲れているのか?調整を失敗したのか?そしてパンクで一旦は遅れた岡本選手も自分をパスしていく。登りでは遅れるも、下りで再び岡本選手に追いつき、前を追う。が、登坂力に差がありすぎる。全くついて行くことができない。

CP1で1h50m。去年より1m遅い。先頭からはかなり離されてしまったと思っていたが、この時点では3分。まだまだ諦める状況ではない。後半に身体が動き出すことを信じて、しっかりエネルギーを補給する。やがて前方に山中選手。どうも腰が痛くて踏めないらしい。こちらのペースが上がってきたわけではないから、もう踏めていないのだろう。間もなくダム周回の平地だったこともあり、しばらくは背後に気配を感じていたが、登りが始まると遅れてしまったようだ。

去年はここからの登りで大幅にペースアップすることができた。今回も前半に反応が悪かった分、ここからのペースアップに賭けていた。でもいざ登りが始まると、思ったほどの反応は得られず、むしろ太腿に攣りの兆候がみられるようになる。こんなはずじゃない。もっと動けるはずだ。

CP2までは大幅にペースを落とすことなく進めてきた。でも、ここからのガレ場の激坂で様相が一変した。全く踏めない。そして猛烈に腰が張っている。今回はCamelbakに1literのドリンクを入れてきたが、全くと言っていいほど喉が渇かず、減っていなかった。その重みが腰への負担となり、痛みとなって表れた。インナーギヤに落として、クルクルと脚を回す。それしかできない。ペースを上げたい。でも身体が動かない。

やがて42kmの選手たちと並走することになるが、例年のように元気いっぱいで声をかけることもできない。それでも、チームメイトの松永さんや清水さんを追い越す時には、精一杯の応援をしてもらって、力を振り絞った。一般の選手の方も名前を呼んで応援してくださり、みっともない走りはできない!と気合いが入る。最後の激坂を乗り越え、先頭は15分以上先。もうゴールしているかな。。。

ここまでペースダウンしてしまうと、後方から追い上げられてしまっているかもしれない。得意の下りで抜かれるわけにはいかない。でも、下りでさえもペースを上げることができない。ちくしょう。何も良いところないじゃないか。ゴールまであと2kmほど。背後から聞き慣れた声がする。山中選手だった。優勝争いならまだしも、この位置でチームメイトどうしで競り合ったところで何も生み出さない。お互いに反省点ばかりだったレース。最後は待ってくれているであろう、チームメイトのみんなへの感謝を込めて、並んでゴールしよう。

正直なところ、4月から職場が変わって、自転車に乗る時間を確保することも困難な状況になってしまった。でも、出るからにはみなさんに最高の走りをお見せしたい。そんな思いでなんとか時間をやりくりしてこの日を迎えることができた。連覇を達成することはできなかったけれど、今できる精一杯をぶつけることはできたかな。いつも私の活動をサポートしてくださっているみなさま、ありがとうございます。特に、直前までバイクに手を入れて、最高のコンディションで送り出してくれたアッキーさん、いつも本当にありがとうございます。

次戦は今週末のCJ1富士見。今できる全力でぶつかっていきます。

使用機材
・バイク BMC TE01 29(Sサイズ)
・MTT ミディアム
・Fフォーク FOX F32(空気圧67psi)
・メインコンポ SHIMANO XTR
・ホイール MAVIC CROSSMAX SL29
・タイヤ IRC MIBRO MARATHON TUBELESS READY(空気圧1.6Bar)
・ハンドルバー FSA K-FORCE FLAT(685mm)
・ボトルケージ オージーケーカブト RC-12R
・グリップ Lizard Skins DSP Grip
・バイクメンテナンス MilePost Pro Cycling Shop
・ヘルメット オージーケーカブト WG-1
・グローブ オージーケーカブト PRG-3
・サングラス bolle 6thSense
・シューズ Giro エンパイアVR90
・インソール LEGNA カスタムインソール(シダス ウィンタープラス)
・携帯ポンプ TOPEAK HybridRocket MT
・携帯ツール TOPEAK Mini 20 Pro

※タイヤやサスペンションの空気圧は、早朝の冷間時のものではなく、日中の温間時のものと捉えてください。私の場合、王滝では、気温の日較差や標高差が大きいため、自分の狙った標高や気温を想定して、冷間時に調整しておきます。


MilePost BMC Racing 國井敏夫