東信会『絆』通信 | 患者と家族のために専門医・指導医が語るリウマチの話

患者と家族のために専門医・指導医が語るリウマチの話

リウマチ・膠原病で困っている患者様とそのご家族に、リウマチ専門医の吉田智彦が正確な情報を提供するブログです。

東信会『絆』通信

職場のメンタルヘルス

医療法人社団東信会

世田谷リウマチ膠原病クリニック新宿本院 

新宿スカイビル健診テラス 

東信よしだ内科・リウマチ科 

世田谷リウマチ膠原病クリニック 祖師谷

吉田智彦

 

  メンタルヘルスに注意

• 新入社、転職、異動、転勤、昇進・・・ 

• 家庭でも子供の進学、家族の転勤・・・

• 環境の変化がめまぐるしくてついていけない・・・

• ラインケアは職場におけ る、一番最初の他者から の気づき

 

  ラインケアとは

• 労働者と日常的に接する管理監督者が、心の健康に関して職場 環境等の改善や労働者に対する相談対応を行うことをいいます。

• 管理監督者:部長、課長などの役職者 使用者である事業主から、労働者である従業員に対して、指揮・

命令を行うための権限が委譲されています。

この権限に基づい て、管理監督者は、部下に指揮命令をして業 務を遂行したり、部下の評価をしたりしています。

管理監督者には部下である従業員の健康を配慮する役割も求めら
れています。

 

  部下の様子がいつもと違う・・

 

あなたの部下には、こんな様子はありませんか?

勤怠に関して

1、遅刻、早退、欠勤が増える

2、残業、休日出勤が不釣り合いに増える

3、休みの連絡がない(無断欠勤がある)

仕事に関して

4、仕事の能率が悪くなる

5、業務の結果がなかなか出てこない

6、報告や相談、職場での会話が無くなる(あるいは多弁になる)

行動に関して

7、表情に活気が無く、動作にも元気がない

8、不自然な言動が目立つ

9、ミスや事故が目立つ

10、服装が乱れたり、衣服が不潔であったりする

・メンタルヘルスの不調について、 労働者本人が気づいていない場 合も多々あります。

・管理職を中心に周囲の人が早期 に変化に気づくことができれば、 メンタルヘルス不調に陥る前に 対処できます。

・管理監督者が部下の話を聞き、 産業医のところに行かせる、あ るいは管理監督者自身が産業医 のところに相談に行く仕組みを 職場内に作っておくことが望ま れます。

 

  まずは面談

 

1,相手を受け止める

相手に対して関心を持っていることを表情や態度で相手に伝える。

 

2,相手の立場に立つ

もしも自分が相手と同じような立場に置かれていたら、相手と同じようなことを言ったり、したりするんだろうなと考えながら、話を聞く。

下矢印

 

そうすることが、話の聞き方が批判的になることを防ぎ、相手に話を聞いてもらっているという気持ちを持たせる。

 

• 安心して話せる場をつくる
• 聞き届けられたという安堵感

• 気をつけたいのは、「わかります、辛いですね」のバーゲ ンセールは逆効果

→「そうやすやすとわかられてたまるか」反発のもと

★個人情報には気をつけて

 

  支持的傾聴

• 症状はその人が抱えられない部分が表出されたもの。なんとか環境に対応しようとした結果

→症状の裏には何かが隠れている。これまでのやり方では無理があったんではないか? 症状がある状態は悪いことではなく、今後を考える大切なきっかけ。

 

★話を聞くポイント

• 「何とかしてくれ」という訴えをいったん聞く側で保持する→支持的

「容器」をイメージする→支持的

例)×そういう性格がだめなんだ、もっとこうした方がいい!こうすべきだ!

・認証:「なるほどね、あなたの今の状況ならこういう症状があるのも無理はないのかもしれない」

・相手の言葉を繰り返して、わからないところをもっと詳しく質問してみる。なぞるような 気持ちで要点を繰り返す。

・話を聞く方の態度はコロコロ変わってはいけない→「話しても休まらない」不信感を招く

・焦点を「今」におく。例)×そんなやり方をしたからこういうことになったんだ 「今までのやり方も良かったけれども、今後のために、少しやり方を変えてみない?」

 

  そのほか面談のポイント

ゼロポジション
• 相手に対する先入観をなくす 

例)遅刻が多いらしいので、だらしない人だろう パワハラを疑われているから、威圧的な人だろう
• 「しかし、でも」は使わない。「それからどうなりましたか」 →否定しないで聞いてくれる安堵感

ペーシング
相手と同じ状態を意図的に作り出す。共感性が高まる。
声の調子やテンポ、雰囲気を合わせる。視線を合わせる。オウム返し

 

うなづきと相槌

 

  早めに産業医へ

• 憂鬱そう。休みや遅刻が続いている。服装が乱れている • 眠そう、食欲が落ちている

★元気だったころと比べて、日常生活や仕事が捗らなくなった状 況が2週間以上続く場合

 

  休職中のケア

• 極力仕事から離れて休養してもらう。面談のために会社に呼び 出す、電話するのはやめる

※休職者から自ら希望した場合には、事業所に来てもらって面談 するのは問題ない。ただし、往復の労災はおりない。

• 職場とのつながりが全くなくなると孤独感につながる。業務上 関係のないスタッフが月一回程度、連絡をとる。

 

  復帰後のケア

• 復職支援は事業所で様々な違いがある
• 試し出勤:休職中の身分のまま、事業所にきてもらって簡単な作業をする • 試し出勤が難しい場合もある

復職支援プログラムの一例
  • 午前中半日の時短勤務を2週間→ないところも多い

  • 残業禁止8時間労働を2か月(出張、外出、休日勤務、深夜業務は禁止)

  • 残業1日2時間まで、月計30時間までの残業制限を2か月(出張やシフト勤 務は本人と相談。海外出張や深夜業務は禁止)

    あらかじめ復職支援プログラムを設定しておくことが重要。慌てなくて済 む。フェアな対応ができる。

  •  体調も安定せず、ストレスにも過敏になっている。

  • 「職場では自分はどう思われてい るのだろうか」、「職場にう まく適応できる だろうか」、「病気がまた悪くなるのではない だろうか」など、様々な心配をしながら出社しています。

  • 本人とよく話して環境調整や業務調整をする。

  • 症状の再燃もありうる。勤怠の様子、業務態度をよくチェックして、復帰ステップを再考する。再休職もありうる。

★コミュニケーションがカギ
 

厚労省 メンタルヘルス対策のポイント

https://www.mhlw.go.jp/content/000615723.pdf

 

 

 

 

 

医療法人社団東信会

統括院長 吉田智彦著書🔻

🏆三省堂書店池袋本店売上ベストランキング1位獲得🏆