患者と家族のために専門医・指導医が語るリウマチの話

患者と家族のために専門医・指導医が語るリウマチの話

リウマチ・膠原病で困っている患者様とそのご家族に、リウマチ専門医の吉田智彦が正確な情報を提供するブログです。

リウマチ・膠原病の診療をしている専門医です。困っている患者さんとその家族に正しい情報を届けたいという思いから、当院のリウマチ専門医、リウマチケア看護師、理学療法士などのメンバーと共にブログを書いています。
東京都世田谷区と長野県埴科郡坂城町の2施設でリウマチ膠原病の診療をしています。

 

東信会『絆』通信

 

アレルギー性鼻炎

 

医療法人社団東信会

世田谷リウマチ膠原病クリニック新宿本院 

国分寺リウマチ膠原病クリニック

東信よしだ内科・リウマチ科 

新宿スカイビル健診テラス 

吉田智彦

 

 

 

  アレルギー

•「花粉症」ってなに?
抗原(アレルゲン)の再侵入による抗原抗体反応の結果として惹起される、生体にとって好ましくない病的反応をアレルギーといい、花粉にたいしてのアレルギー反応を花粉症という。
 

•要因
遺伝要因:アトピー性皮膚炎、喘息
環境要因:ダニ、花粉(スギ、ヒノキ、イネ科、キク科など)、
食物、真菌(カビ)、ペット、その他(ラテックス、大気汚染など)

 

  花粉症の疫学

•1964年に日光地方で花粉症第一号21症例が報告された


•1960年ごろからスギ植林の手入れが疎かになった。花粉生産能力の高い樹齢30歳頃、1990年代になって花粉飛散率が大幅に上昇した。
 

•有病率:
10%(1986年)→19%(1996年)→28%(2006年)
→46%(2016年)

 

 

  検査・診断

•アレルギー性か否か
問診(掻痒感があるか)
鼻腔内所見(粘膜が腫脹、水様性分泌増加)、血液検査(好酸球)、血性総IgE抗体定量
 

•抗原同定試験
皮膚テスト、血性特異的IgE検査、鼻誘発試験(くしゃみ、掻痒感、粘膜の腫脹蒼白、水様性分泌)

 

 

  治療

自然治癒は少ない(スギ花粉の自然治癒率は10%)
•抗原除去、回避:花粉は防ぎきれない
•薬物療法
•アレルゲン免疫療法:唯一、治癒、長期寛解を期待できる
•手術療法

 

 

  薬物療法

•マスト細胞安定薬
クロモグリク酸、リザベン®、ソルファ®


•抗ヒスタミン薬:第一世代、第二世代


•抗ロイコトリエン拮抗薬
プランルカスト(オノン®)、モンテルカスト(シングレア®)


•ステロイド
鼻噴霧ナゾネックス®、アラミスト®など。全身性副作用少なく常に使用を考慮していい
経口セレスタミン®

 

•生物学的製剤:抗IgE抗体(ゾレア®):最重症に適応
 

•治療は、まず第二世代抗ヒスタミン薬(市販薬)→鼻噴霧ステロイド
→抗ロイコトリエン薬など
 

〈受診推奨目安〉
•市販薬を一週間ほど服用しても症状が改善しない

•症状が改善しても2週間以上服用する場合

 

 

  薬物治療

●アレロック(一日一回)、ザジテン(一日2回):
病院処方。効き目が強く、鼻閉に効果的
 

●ザイザル:一日1回。効果はしっかり、眠気は少なめ。バランスがいい
 

●ビラノア:病院処方。眠気が少ない。空腹時に内服
する。一日1回
 

●アレグラ:眠気が少ない。車の運転にもおすすめ
 

●シングレア:眠気が一番少ない。電車の運転手やパイロットも服用できる

参考:ラククル

 

  アレルゲン免疫療法

アレルゲン注射
週に1度の注射(通院)を4~6ヵ月。以降は1~2ヵ月に1度。


舌下免疫療法
薬を毎日服用。最初の1ヵ月以降は、月に1度の通院(処方)
持続性あり(15か月中止しても次の2~3シーズンは持ちこたえる)
治療した人の 80%が症状の軽減、または寛解
治療には2~5年の期間を要する。
どちらも花粉が飛散している時期は、治療を開始することができない
アナフィラキシー(重症アレルギー反応。最悪の場合死亡)のリスク

 

〈2025年春の花粉シーズン(関東)概況〉
2025年春は、前年夏の猛暑や前年春の花粉量の影響もあり、関東甲信を含む広範囲で例年より多い花粉飛散が予測されています
関東・甲信地方のスギ花粉飛散ピークは3月上旬~下旬にかけて続き、その後スギに代わってヒノキ花粉が3月下旬後半~4月上旬にピークを迎えると予測されています

 

2025年春の花粉飛散傾向

【日本気象協会】2025年 スギ・ヒノキ花粉のピーク予測(2025年2月19日発表)

 

  予防

屋外での対策:花粉が非常に多い日は不要不急の外出を控えるのが望ましく、外出時はマスクや花粉防止メガネを着用し、できるだけ皮膚や粘膜への付着を防ぎます。


•花粉症用のマスクは高性能フィルターのものを使用すると効果的で、帽子やスカーフで髪や衣服への付着も軽減できます。

 

 

  予防

帰宅時の対策:家に入る前に衣服や髪を払い、花粉を落としてから入室します。帰宅後はまずうがい・手洗いを行い、可能であれば洗顔やシャワーで顔や髪に付着した花粉を洗い流すと効果的です。
 

室内での対策:室内への花粉侵入を防ぐため、換気は窓を全開にせず10cm程度だけ開けるなど工夫します。レースのカーテンを閉めておくことで、全開換気時と比べて侵入花粉量を約1/4に減らせるとの実験結果もあります。空気清浄機を活用し室内の花粉濃度を下げることも有効です。また、床や家具に落ちた花粉はこまめに掃除機で除去しましょう。

 

 

  マスクは大事

マスクをして99%花粉をカット!

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インナーマスクをすると、市販のどんなタイプのマスクでも99%以上の花粉除去率を示した。

 

〈インナーマスクの作成方法〉 

 

材料:市販のガーゼと化粧用のコットン 

 

① ガーゼを縦横10cm程度に切り、2枚用意 

 

② 化粧用のコットンを丸めて、1枚のガーゼでくるむ(インナーマスク) 

 

③ 市販の不織布のマスクにもう1枚のガーゼを4つ折りにしてあてる 

 

④ 鼻の下にガーゼでくるんだコットン(インナーマスク)を置く 

 

⑤ ③のガーゼをあてたマスクを装着する ⑥ 息が苦しい場合にはコットンの厚さを半分にする

マスクやインナーマスクは毎日交換することが推奨されています。

インナーマスク作成方法.jpg

 

 

 


 

 

 

東信会『絆』通信

 

 

冬の睡眠対策

 

医療法人社団東信会

世田谷リウマチ膠原病クリニック新宿本院 

世田谷リウマチ膠原病クリニック 祖師谷

国分寺リウマチ膠原病クリニック

東信よしだ内科・リウマチ科 

新宿スカイビル健診テラス 

吉田智彦

 

 

  冬は夏より睡眠時間が長くなる

•冬はなかなか起きられない…


•日本人の平均睡眠時間は、夏場は7時間35分、冬場は7時間50分
→冬場の方が約15分長い(2008年国立精神・神経医療研究センター)


•日照時間が影響
→冬はメラトニンが分泌される時間が長い

今日からできて効果抜群!睡眠の質を高めるチェックシート-快眠タイムズ公式ブログ

 

  快適な環境を整える

•寝室内の温湿度:16~19℃、50~60%


•布団内の温湿度:33℃前後、50%前後


•深部体温が下がりだすと睡眠は深くなる


•早朝に深部体温は最も低くなる
→起床時に寝室の温湿度が外気に合わせて低くなっていると、体温を上げづらくなる

冬になると睡眠時間が長くなる?冬の眠りによくあるQ&A-快眠タイムズ公式ブログ

 

  寝る前の準備

•日中(特に午前中)積極的に光を浴びてセロトニンを増やす
2,500lx以上の光を目が感じればいい


•デジタル機器使用の回避
寝そべりながらデジタル機器を使うと、ディスプレイの視聴距離 が近くブルーライトを浴びやすくなる


•寝る1,2時間前に38~40度のお風呂に入る
入浴で深部体温を一旦上昇させて、落差を作り出すと眠りにつきやすくなる


•靴下は履かない
深部体温が下がっていくときは手足から熱を放散しているので、放熱を妨げるものは避ける

 

今日からできて効果抜群!睡眠の質を高めるチェックシート-快眠タイムズ公式ブログ

 

  寝るときの準備

①布団内を温める
羽毛布団やボア生地のパッド、オンタイマー機能付きの電気毛布を起床時にセットする
・寝床が蒸れて暑くならないようにすることも大事
綿(コットン)、麻(リネン)、テンセル®︎などの吸水性・吸湿性のある素材
×ポリエステルの羽毛布団、アクリルボアの敷きパッド、化繊ジャージのパジャマ
 

②室内を温める
・エアコンは空気を乾燥させやすい
・オイルヒーターだと付けっ放しにしておいても乾燥しない

オイルヒーターの正しい使い方!メリットやデメリットから注意点まで – シュフーズ

 

  マイクロスリープ

•昼間うとうとしてしまう、仕事中や運転中に眠くなる


•眠気が強いときにほんの数秒間だけ続く瞬間的な睡眠


•脳の強制終了。目は開いていて、起きているようにも見えるが脳波をみれば明らか


•寝たという自覚はほとんどない


•いつ起こるか予想がつかない、突然意識が途切れるため非常に危険


•睡眠不足を解消することが第一。就労世代は7~9時間の睡眠を。


•週末の寝だめは社会的時差ぼけの誘因。せめて土曜日だけにとどめる。


•睡眠不足の有無にかかわらず、昼下がりは眠くなりやすい。昼食の影響を除外しても
眠くなりやすい。(Stahl M.L.et al.Sleep1983)
→パワーナップ(15~30分の昼寝)を。

 

 

  良い睡眠とは

•熟眠感、休養感は大事
心血管疾患(心筋梗塞、狭心症、心不全など) 、糖尿病、脂質異常症、肥満、高血圧、
うつ病にも関連

健康づくりのための睡眠ガイド2023(案) | 日本メディメンタル研究所

•長時間労働の是正等の労働時間の管理を行い、睡眠時間を確保する
働き方改革により、休息時間を十分に確保するための試みとして、退勤から次の出勤までの間に一定時間以上の休息時間を確保する「勤務間インターバル」 制度の導入が企業の
努力義務となった

 

 

 

 

 

MTX治療を考える会 in 札幌 が開催されました

 

2024年11月09日(土)にさっぽろ内科リウマチ膠原病クリニックの院長 近祐次郎先生に座長をしていただき世田谷リウマチ膠原病クリニック 統括院長 吉田智彦先生が『関節リウマチ診療ガイドライン2024のメトジェクトのポジショニング』について講演しました。
 
メトジェクト皮下注射は,メトトレキサート内服よりも優れた有効性と同等以上の安全性が期待されるが,コスト面からMTX未投与患者ではまず内服を優先する。

主催:エーザイ株式会社

 

さっぽろ内科・リウマチ膠原病クリニックの看護師の小林光江先生からメトジェクトの投与の実際を講演いただきました。

東信会『絆』通信

 

健診項目について①
肥満と高血圧

 

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世田谷リウマチ膠原病クリニック 祖師谷

吉田智彦

 

 

  健診で気になる項目は・・

〈身体測定〉
・身長・体重・BMI・腹囲・血圧・視力および聴力

〈血液検査〉
・血液中の脂質(コレステロール、中性脂肪など)
・血液中の糖(血糖値など)
・肝機能検査(AST、ALT、γ-GTPなど)
・腎機能検査(クレアチニン、尿酸など)
・貧血関連検査(赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリットなど)

〈尿検査〉
・尿中の糖、蛋白質、潜血など
 

〈心電図検査〉
・不整脈や心筋梗塞のリスク
 

〈胸部X線検査〉
・肺や心臓の状態

 

 

  肥満

•脂肪組織に過剰に脂肪が蓄積された状態


•BMI(体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m))
22が標準>25で肥満(>35で高度肥満)


•肥満に起因・関連し、減量を要する健康障害
耐糖能障害脂質異常症高血圧高尿酸血症冠動脈疾患
脳梗塞非アルコール性脂肪肝月経異常・不妊
閉塞性睡眠時無呼吸症候群運動器疾患(変形性関節症・脊椎症)
肥満関連腎臓病
悪性疾患(大腸がん、食道がん、子宮体がん、すい臓がん、腎臓がん、乳がん、肝臓がん)
良性疾患(胆石症、静脈血栓症、気管支喘息、皮膚疾患、精神疾患)

 

 

  メタボリックシンドローム

•心血管疾患の発生を予防するための概念

図. メタボリックシンドロームの診断基準

厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

 

3~6か月で現在の体重から3%の減量を目標

 

  血圧

脳卒中、心筋梗塞、大血管疾患、慢性腎臓病など生活習慣病の罹患率、死亡率を高める


測定法


•カフを心臓の高さに保ち、安静座位で測定


•1~2分間の間隔をあけて複数回測定


•安定した値(差が5㎜Hg未満)を示した2回の平均値を血圧値とする


•高血圧の診断は少なくとも2回以上の異なる機会における血圧値で行う。
140/90mmHg以上(家庭血圧だと135/85mmHg)

 

 

  判定区分と生活指導

•A(<129/84):異常なし
120/80(至適血圧)より高いと、将来高血圧に移行する可能性が高い。
生活習慣の見直し(減量、禁煙、減酒、減塩、野菜の摂取)
継続した健診受診の励行


•B (130-139/85-89) :軽度異常
至適血圧と比較して1.5~2倍、心血管疾患の発症率が高い。
生活習慣の見直し、特定保健指導の対象者にはその受診を励行
 

•C (140-159/90-99):要観察・生活改善Ⅰ度高血圧
至適血圧と比較して3倍心血管疾患の発症率が高い。
糖尿病、慢性腎臓病、心血管病を合併している場合、他のリスク(65歳以上、喫煙、脂質異常症、肥満、
メタボリックシンドローム、50歳未満発症の心血管疾患の家族歴)を3つ以上持っていれば
至急かかりつけ受診。
 

•D(>160/100):要医療Ⅱ度以上の高血圧
至適血圧に対して5倍心血管の発症率が高い。至急かかりつけ受診。

 

  降圧目標値

 

 

  健診事後指導

•発見されたリスク保有状態を受診者自身が正しく理解し、生活習慣を改善できるための働きかけを行うことが重要


•健診結果の理解することは、自分の体の中の変化を理解することにつながるが、
医療情報は一般の人が理解するのは難しい


•対象者の立場にたって、健康上の不安について相談し、健診で発見されたリスクを低減する
行動を引き出す指導が必要

 

 

  行動変容のプロセス

 

①健診結果説明

家族に説明をする看護師さんのイラスト

 

②あ、そうか(納得)、やらないとまずいな(危機感)
何から始めようかな(行動目標設定)

 

③保健指導

 

④できた!(自信・達成感)体調がいいな(感覚)→継続支援、評価、励まし
目標を達成した人のイラスト(女性)

 

⑤習慣形成

 

 

【行動変容ステージ】関心期のアクションプランについて解説 - kanの運動習慣化塾

 

  食事・栄養指導

•腹八分目


•食品の種類はできるだけ多く


•塩分、脂肪は少なめ
塩味の薄い食事になれる・麺類の汁は残す
醤油やソースはかけずに、小皿に出してつけて食べる・加工食品や練り製品は少量に
外食では定食を・漬物は避ける・インスタント食品を避ける


•食物繊維をとる


•3食を規則正しく


•ゆっくり噛んで


•エネルギー摂取量の適正化

 

 

 

 

 

東信会『絆』通信

 

アルコール多飲

 

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世田谷リウマチ膠原病クリニック新宿本院 

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東信よしだ内科・リウマチ科 

世田谷リウマチ膠原病クリニック 祖師谷

吉田智彦

 

 

  たくさんお酒を飲む人に出会ったら

 

お酒を飲む機会が増える時期、自分や周りの人のお酒の飲み方をチェックしてみましょう!

・推奨される飲酒量
男性一日平均2ドリンク以下
※1ドリンク=純アルコール10g
ビール250ml 日本酒0.5合ワイン100ml(ほぼグラス1杯)
 

女性一日平均1ドリンク以下


65歳以上、飲酒後に顔が赤くなる人はさらに少なく!
危険な飲酒をしていないか?まずはスクリーニングから

 

  スクリーニングツールAUDITーC

 

Q1.あなたはアルコール含有飲料をどのくらいの頻度で飲みますか?


0. 飲まない

1. 1ヶ月に1度以下

2. 1ヶ月に2~4度

3. 1週に2~3度4. 1週に4度以上

 

Q2.飲酒するときには通常どのくらいの量を飲みますか?


0. 1~2ドリンク

1. 3~4ドリンク

2. 5~6ドリンク

3. 7~9ドリンク

4. 10ドリンク以上

 

Q3.1度に6ドリンク以上飲酒することがどのくらいの頻度でありますか?

0. ない
1. 1ヶ月に1度未満
2. 1ヶ月に1度
3. 1週に1度
4. 毎日あるいはほとんど毎日

男性6点、女性4点でアルコール使用障害の可能性

 

 

  アルコール使用障害とは

お酒をコントロールして飲むことができなくなる状態

 

渇望
体を壊しても、生活や仕事に支障がでてもやめられない。ダメだとわかっていてもやめられない。


否認の病気
「まさか自分がアル中なわけない」量の過少申告、年齢の虚偽申告
「自分は病気じゃない、やめようと思えばいつでもやめられるんだ!」→実際は無理


強い習慣性、依存性は一生続く
→一回断酒しても再び飲み始めてしまうと(スリップ)やめられなくなる


連続飲酒
一日中、お酒が手放せなくなる


離脱症状
断酒や減酒により、手の震え、発汗、けいれん発作、幻視など
お酒をコントロールして飲むことができなくなる状態

 

 

  アルコール使用障害になってしまったら

ハームリダクション

 

・物質使用や特定の行動を「ただちにやめる」ことを求めないこと


・それらの物質や行動が引き起こす健康上、社会的なリスクを低減させる取り組み

・断酒至上主義から節酒・減酒主義へ
原則として断酒が良いのは変わらないが、断酒ができず治療からドロップアウトするよりは、飲酒量低減により問題をできるだけ少なくするのが目標


※以下の方は断酒を選択すべき

・生活が立ち行かない、離脱症状がでている、生命に危機が及んでいるなど、入院が必要な方
・断酒を希望する方

 

  SBIRTで対応しよう

反省、叱責、罰では解決しません

 

• S:スクリーニング


• BI:Brief Intervention
共感的態度でまずは話を聞く
使用障害までいかないレベルならば飲酒量低減に向けてアドバイス


• RT:Reference to Treatment
専門医への紹介、地域の保健所の精神保健福祉センターを通じても良い

 

  BriefIntervention

「飲酒日記」
久里浜医療センター

 

  家族が使用障害だと思った場合

•まずは精神保健福祉センターへご相談を


•自助グループへの参加
アラノン、断酒会


•国立病院機構久里浜医療センター
国内有数のアルコール使用障害治療機関

 

 

  接し方

CRAFT:Community Reinforcement And Family Training

 

• 治療を受け入れやすい環境を作り、自発的な治療へつなげる


• コミュニケーションの仕方を変える
「わたし」を主語にする
簡潔で具体的、肯定的な言い方をする
支援を申し出る
 

例)「こんな遅くに帰ってきて自分勝手な人ね!」

→「帰りが遅いと私は心配なの」
 

「今日は飲まないでよ!」

→「今日は飲まないでいてくれると嬉しいわ」
 

「またお酒飲んで寝てるだけ。私はいろいろやらなきゃいけないのに!」

→「後片付け、お皿洗いを手伝ってくれると嬉しいわ」
 

「一体何考えてるの、なんとかしようと思わないの?」

→「今度一度病院に行ってみない?」

 

  アルコール使用障害は治療可能です

家族、身の回りの方の気づきが重要

 

• 推定109万人の患者さんのうち、専門治療を受けているのはわずか4~5万人
 

• イネイブリングをしていないか世話を焼いたり、尻拭いをしたり、知らず知らずのうちに本人の飲酒を助長している可能性がある
 

• 自分の幸せを追求し、家族の回復を見守る自己犠牲はイネイブリングにつながる。本人と家族は別の人格を持っています

 

  あなたの健康を守る12の飲酒ルール

•飲酒は一日平均2ドリンク以下
•女性、高齢者は少なめに
•赤型体質も少なめに
•たまに飲んでも大酒しない
•食事と一緒にゆっくりと
•寝酒はやめましょう

•週に2日は休肝日
•薬の治療中は飲まない
•入浴、運動、仕事前は飲まない
•妊娠、授乳中は飲まない
•依存症者は生涯断酒
•定期的に健診を受けましょう