東信会『絆』通信 | 患者と家族のために専門医・指導医が語るリウマチの話

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東信会『絆』通信

 

アレルギー性鼻炎

 

医療法人社団東信会

世田谷リウマチ膠原病クリニック新宿本院 

新宿スカイビル健診テラス 

東信よしだ内科・リウマチ科 

世田谷リウマチ膠原病クリニック 祖師谷

吉田智彦

 

 

  アレルギー

「花粉症」ってなに?

アレルギーとは

抗原(アレルゲン)の再侵入による抗原抗体反応の結果として惹起 される、生体にとって好ましくない病的反応

要因

遺伝性要因:アトピー性皮膚炎、喘息

環境要因:ダニ、花粉(スギ、ヒノキ、イネ科、キク科など)、食 物、真菌(カビ)、ペット、その他(ラテックス、大気汚染など)

 

  アレルギー反応は4つ

I型 

アレルゲン(原因物質)と接触→IgE抗体(タンパク質)が過剰に作られる→IgE抗体はマスト細胞(白血球の種類)と結合してマスト細胞からヒスタミン(かゆみのもと)が放出される

II型 

アレルゲンが抗体に結合して、自己細胞がアレルゲンとなって細胞を傷つける

 • III型 

抗体が複合体を形成して、補体(タンパク質)を活性化。組織が傷害される
IV型

リンパ球(白血球の一種)がサイトカイン(炎症物質)を放出して組織が傷害される。 抗原接触から24~72時間後に発症する遅発型

 

  アレルギー性鼻炎

• I型アレルギー
• くしゃみ、水様性鼻漏、鼻閉
• 通年性と季節性
• 花粉症: 季節性アレルギー性鼻炎の一種。アレルギー性結膜炎を伴う。

 

  花粉症の疫学

• 1964年に日光地方で花粉症第一号21症例が報告された
• 1960年ごろからスギ植林の手入れが疎かになった。花粉生産能力の高い樹齢30歳頃、1990年代になって花粉飛散率が大幅に上昇した。

 • 有病率:

10%(1986年)→19%(1996年)→28%(2006年)→46%(2016 年)

 

  検査・診断

• アレルギー性か否か

問診(掻痒感があるか)

鼻腔内所見(粘膜が腫脹、水様性分泌増加)、血液検査(好酸 球)、血性総IgE抗体定量

• 抗原同定試験

皮膚テスト、血性特異的IgE検査、鼻誘発試験(くしゃみ、掻痒感、 粘膜の腫脹蒼白、水様性分泌)

 

  治療

自然治癒は少ない(スギ花粉の自然治癒率は10%)
• 抗原除去、回避:花粉は防ぎきれない
• 薬物療法
• アレルゲン免疫療法:唯一、治癒、長期寛解を期待できる

• 手術療法

 

  薬物療法

• マスト細胞安定薬
クロモグリク酸、リザベン®、ソルファ®
• 抗ヒスタミン薬:第一世代、第二世代
• 抗ロイコトリエン拮抗薬 プランルカスト(オノン®)、モンテルカスト(シングレア®)
• ステロイド 鼻噴霧ナゾネックス®、アラミスト®など。全身性副作用少なく常に使用を考慮していい 経口セレスタミン®
• 生物学的製剤:抗IgE抗体(ゾレア®):最重症に適応

• 治療は、まず第二世代抗ヒスタミン薬(市販薬)→鼻噴霧ステロイド→抗ロイコトリエン薬など

受診推奨目安
• 市販薬を一週間ほど服用しても症状が改善しない • 症状が改善しても2週間以上服用する場合

 

  抗ヒスタミン薬って?

第一世代:効果が強く、即効性が高い。 副作用眠気も強い

第二世代:市販薬。眠気が出にくい。 即効性には欠け、シーズンの2週間ほど 前から服用する必要がある

参考:ラククル

 

  代表的な薬の特徴

アレロック(一日一回)、ザジテン(一日2回):病院処方。効き目が強く、鼻閉に効果的

ザイザル:一日1回。効果はしっかり、眠気は少なめ。バランスが いい

ビラノア:病院処方。眠気が少ない。空腹時に内服する。一日1回 

アレグラ:眠気が一番少ない。車の運転にもおすすめ

 

  アレルゲン免疫療法

・ アレルゲン注射 週に1度の注射(通院)を4~6ヵ月。以降は1~2ヵ月に1度。 

・ 舌下免疫療法 薬を毎日服用。最初の1ヵ月以降は、月に1度の通院(処方)

持続性あり(15か月中止しても次の2~3シーズンは持ちこたえる) 治療した人の 80%が症状の軽減、または寛解

治療には2~5年の期間を要する。 どちらも花粉が飛散している時期は、治療を開始することができない アナフィラキシー(重症アレルギー反応。最悪の場合死亡)のリスク

 

  予防

<メガネやマスクの効果>

• 通常のマスクでも花粉をおよそ70%削減し、花粉症用のマスクではおよそ84%の花粉を減少させる

• メガネを 使用しない場合に比べて眼に入る花粉量は通常の眼鏡 でおよそ40%減少し、防御カバーのついた花粉症用のメガネではおよそ65%も減少

• 花粉の飛散している季節にコンタクトレンズを使用すると、コ ンタクトレンズによる刺激が 花粉によるアレルギー性結膜炎の 症状を悪化させる可能性があるため、メガネに替えた方がよい

 

  マスクは大事

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インナーマスクの作成方法 

 

材料:市販のガーゼと化粧用のコットン 

 

① ガーゼを縦横10cm程度に切り、2枚用意 

 

② 化粧用のコットンを丸めて、1枚のガーゼでくるむ(インナーマスク) 

 

③ 市販の不織布のマスクにもう1枚のガーゼを4つ折りにしてあてる 

 

④ 鼻の下にガーゼでくるんだコットン(インナーマスク)を置く 

 

⑤ ③のガーゼをあてたマスクを装着する ⑥ 息が苦しい場合にはコットンの厚さを半分にする

 

インナーマスク作成方法.jpg

参考:環境省「花粉症環境保健マニュアル2014」

 

 

 

医療法人社団東信会

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