「花と小父さん」
作詞・作曲 浜口庫之助
歌 伊東きよ子
1967年 CBSコロムビア

ハマクラさんのリリカルさが一番出ている傑作です。
オリジナルシンガーは、植木等さん。LP「ハイ、およびです!」(67年)のための書き下ろしです。テレビ「植木等ショー」では、池田ミマコさん(木の実ナナさんの妹)と歌ったりと、無責任ソングとは対極にあるハートウォーミングな曲として、植木さんの愛唱歌の一つとなりました。シングルカットされませんでした。

というわけで、シングルとしては渡辺プロ女性歌手のひとり、伊東きよ子さんのヴァージョンとして大ヒットしました。クレージー映画ファンには『日本一の男の中の男』の♪パラランショーでおなじみです。さて、この「花と小父さん」は、「バラが咲いた」で日本中を席巻したハマクラさんの「花」をモチーフにしたセンチメンタルな曲です。

シングルはハマクラさんの編曲ですが、伊東きよ子さんとザ・ハプニングスフォー(チト&クニ河内兄弟の!)によるアルバム「花のマドンナ/伊藤きよ子とザ・ハプニングス・フォー」では、クニ河内さんのアレンジ版が楽しめます。

http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND3661/index.html

さまざまな方がカヴァーしておりますが、僕の世代ではやっぱり、アイドルだった藍美代子さんです!

1990年1月放送のドラマ「男と女のミステリー 花と小父さん」(CX)で主演の畠田理恵さんが主題歌として歌ったり、桑田佳祐が「昭和の名曲」として歌ったり、さまざまなヴァージョンが、さまざまな世代に愛されてきました。
植木さんは1991年のアルバム「スーダラ伝説」のなかでセルフカヴァーしており、MBSの「植木等デラックス」でも歌ってました。

さらに、植木さんの実質的には最後のオリジナル・アルバムとなった1995年の「植木等的音楽」では、再々カヴァー、裕木奈江さんとデュエットをしております。


これもまた「スタンダードナンバー~オトナの歌謡曲~」で歌われる予定です。

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日本のポップスを確立した3人の作曲家、
中村八大・いずみたく・浜口庫之助の
名曲を歌い継ぐコンサート。

2009年11月24日(火)新宿文化センター大ホール
開場18:00 開演:18:30

出演:由紀さおり/遊佐未森/今野英明/バンバンバザール/土岐麻子/羊毛とおはな/中山うり/藤澤ノリマサ/中村中/阿部芙蓉美
演奏:鈴木総一朗
総合司会:柿木央久
「いい湯だな」
作詞 永六輔 作曲 いずみたく
歌 デュークエイセス



「8時だョ全員集合」のエンディング曲として、ザ・ドリフターズのノヴェルティソングとして、僕らが子供の頃から親しんで来た「いい湯だな」。もともとは、永六輔さんといずみたくさんによる、昭和40年代の「新民謡運動」ともいえる「にほんのうた」シリーズの「群馬県」篇として、昭和41(1966)年にデューク・エイセスがリリースしたもの。

「にほんのうた」シリーズは、昭和41(1966)年から昭和44(1969)年にかけて、4集がリリースされた、ご当地ソング集。永六輔さんと、いずみたくさんが、二人で日本各地を旅して、新しい民謡ともいうべき、ご当地歌謡曲を連作。それをデュークエイセスが歌って、さまざまなヒット曲が誕生した。

たとえば、「♪京都 大原 三千院」の「女ひとり」(京都府)、宮崎を舞台にした「フェニックス・ハネムーン」、小学校の音楽の時間でもおなじみの「つくば山麓合唱団」(茨城県)、「紺がすり」(秋田県)、「別れた人と」(兵庫県神戸市)などなど。

ドリフ版は、昭和43(1968)年のデビューシングル「ズッコケちゃん」のカップリングとして「ビバノン・ロック」のサブタイトルがつく。



ドリフ版のイントロの尺八は、今でも旅番組の温泉の導入シーンなどでよく使われてますね。

デューク版 http://listen.jp/store/artword_1106943_30298.htm
ドリフ版  http://www.kashizo.com/data/020to/032_the_drifters/001.html

デュークは群馬県の名湯めぐり(草津、伊香保、万座、水上)、ドリフは全国名湯めぐり(登別、草津、南紀白浜、別府)と温泉地が違うわけです。

ドリフ版といえば、松竹のドリフ映画第三作『いい湯だな全員集合』(1969年松竹・渡辺祐介)というゲバルト喜劇の傑作があります。北海道の洞爺湖温泉を舞台に、”ハードボイルドに生きる!”と決意したドリフが温泉旅館の女将・木暮実千代さんに、用心棒として雇われます。ところが、温泉旅館の娘・生田悦子さんにゾッコンとなったドリフが、女将を亡きものにして、まんまと温泉旅館を手に入れようと、あの手この手の作戦を練るという、過激な展開の重喜劇。脚本は我らが森崎東監督。このドリフ映画は、テレビのお茶の間のドリフとは全く違う、過激でパワフルな世界が展開されます。未DVD化なのが惜しい!

最近(でもないか)、快作『クレヨンしんちゃん 爆発!温泉わくわく大作戦』(1999年)で、登場人物全員がエンディングに歌ったヴァージョンも、楽しかったです。

また、由紀さおりさんが昭和46(1971)年にリリースしたアルバム「にほんのうた」のヴァージョンも、パワフルな演奏がパンチが利いていて、なかなか楽しいです。

というわけで、日本人なら誰しも知っている「いい湯だな」も「オトナの歌謡曲」として、今度の「スタンダードナンバー~オトナの歌謡曲~」で歌われる予定です。

「スタンダードナンバー~オトナの歌謡曲~」
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「黄昏のビギン」
作詞 永六輔 作曲 中村八大 1959年 東芝
歌 水原弘

ちあきなおみさんが1991年にカヴァーしたものが、今から十年前の1999年「ネスカフェプレジデント」のCMで流れて、ちあきなおみさんの再評価のきっかけとなったのは、記憶に新しいです。1959年に水原弘さんが「黒い花びら/青春を賭けろ」(7月)に続くデビュー第二弾としてリリースした「黒い落葉」のカップリング曲が「黄昏のビギン」でした。

http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND6616/index.html

水原弘さんといえば、同じ、永六輔さんと中村八大さんのコンビによる「黒い花びら」で、第一回レコード大賞に輝きます。いわゆるドーナツ盤と呼ばれるシングルレコード全盛時代に突入したのが、1960年代ですから、そのきっかけとなったのが”オミズ”こと水原弘さんでした。で、「黒い花びら」に続く、第二弾として「黒い落葉」がリリースされるわけですが、当然、”オミズ”ブームを映画界が見逃す筈はありません。

東宝がレコード大賞受賞曲『黒い花びら』(60年1月27日)を瑞穂春海監督で映画化するわけですが、それより一ヶ月前、日活では、舛田利雄監督が「黒い落葉」をフィーチャーした中編『黒い落葉より 青春を吹き鳴らせ』(59年12月17日)を製作。「黒い花びら」が東宝映画化が決定していたので、当然、空前のヒット曲を水原弘さんが、日活映画では歌うわけにいかず、この『青春を吹き鳴らせ』で、水原弘さんが劇中に甘い声で歌うのが「黄昏のビギン」でした。

映画は、デビュー間もない和田浩治さんと稲垣美穂子さんによる「青春ジャズ映画」なのですが、当然、水原弘さんは自身の役で登場し、歌うわけです。この「黄昏のビギン」は絶品です。メインの「黒い落葉」よりも、強烈な印象です。この映画では、ペギー葉山さんが自身の代表曲となった「爪」(作詞・作曲 平岡精二)を歌う場面もあり、歴史的にも重要な歌謡映画です。

さて「黄昏のビギン」ですが、「黒い花びら」が三連譜のロッカバラードという試みであったように、こちらは「ビギン」のリズムです。「ビギン」とは、カリブ海のベネズエラとプエルトリコの間にあるフランス領西インド諸島のダンスのリズムが、1930年代に欧米に紹介され、コールポーターの「ビギン・ザ・ビギン」などになっていくわけです。中村八大さんは、ジャズのナンバーとして「ビギン」に触れた世代です。

さて、邦楽と洋楽のミクスチャーとしては、この頃、「マンボ」のリズムを取り入れたアキラ節が席巻するわけですが、それはあくまでも「民謡とマンボ」の組み合わせでした。ところが中村八大さんは、和製スタンダードとしての「ビギン」曲を目指して、”まるで洋楽のような”邦楽を、実現させているのです。

だから、1999年「ネスカフェプレジデント」のCMで、ちあきなおみさんの「黄昏のビギン」が流れたとき、誰もが「大人のスタンダード」として、この曲を「発見」することができたのです。曲のクオリティは、ちあきさんの歌声や、アレンジの「現代性」だけでなく、1959年に作られたときから、ハイレベルなものだったのです。

それが、中村八大さんの楽曲の素晴らしさなのです。始めからスタンダードになる要素があるのです。だから「黄昏のビギン」を、水原弘さんの「黒い落葉」のカップリングで、1959年の作品と知ると、皆さん、意外に思う訳です。「そんな昔の歌とは知らなかった」と。

それがスタンダードの良さです。

ちあきなおみさん、石川さゆりさん、夏川りみさん、さまざまなシンガーが歌い継いできたことで「オトナの歌謡曲」となった「黄昏のビギン」ですが、11月24日(火)新宿文化センター大ホールでの「スタンダードナンバー~オトナの歌謡曲~」では、誰が歌ってくれるのでしょうか? 出演メンバーのなかで、この方の「黄昏のビギン」を聴いてみたいなぁ、と個人的思うのは、やっぱり中村中さんですなのですが・・・

「スタンダードナンバー~オトナの歌謡曲~」
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