急性腰痛、ギックリ腰
重い物を持った拍子やくしゃみなどで突然腰に激痛が走り動けなくなってしまうぎっくり腰。正式には急性腰痛と言います。読んで字の如く急激に発症した腰痛を指し、欧米ではその激しい痛みから「魔女の一撃」とも呼ばれます。多くは1週間~2週間程度で自然に回復していきます。(時間経過によって改善が見られない場合は他の疾患が隠れている可能性があるので注意が必要です。)ぎっくり腰は、なぜ起こるのでしょうか?重い物を持ち上げた時、くしゃみをしただけ、少しお辞儀をしただけ、ただ立ち上がろうとしただけ。など、 ぎっくり腰が起こる状況は様々です。しかし、ぎっくり腰になった時に身体の中では何が起こっているのか、はっきりとしたことは未だ分かっていません。原因がはっきりしておらず、様々な状況で発症するため、完璧な予防法はありません。したがって、ぎっくり腰を予防するためには日頃から動き方や姿勢に気を付けたり、十分な筋力や柔軟性を保つことが重要です。床の物を持ち上げる際、腰を曲げるのではなく○膝や股関節を曲げて腰を落として拾う○持ち挙げた重い物に負けないように腰回りの筋肉(特にインナーマッスル)を鍛える○股関節を柔らかくし、腰の負担を分散させるなどが予防法と言えると思います。イギリスの医学誌に掲載されたぎっくり腰についての研究では、ベッドで安静にしていたグループよりも、できる限り通常の日常生活を過ごすよう心掛けたグループの方が早く回復したという研究報告があります。動けないほどの激痛である場合を除き、安静にしていることは逆に症状を長引かせることが多いようです。早期回復には普段通りの生活を心掛ける必要があります。ぎっくり腰になった際、コルセットをつけると楽に動けるという方は多いですが「コルセットをつけていると筋肉が落ちてしまうのでは」と心配する方がいます。寝たきりにでもなっていない限り、コルセットの装着が大きな筋力低下につながることは考え難いです。ただし長い目で見ると、身体の使い方が下手になったり、筋肉を上手く使うことができなくなったりすることで、二次的に筋力の低下を招いてしまう事は考えられます。しかし、筋力低下を気にしてコルセットをつけず我慢することで痛みが長引いたり、活動性が下がったりすることのマイナス面の方が大きいと思います。コルセットで楽になり、普段通りの生活が行えるのであれば、コルセットは有効だと思われます。痛みと相談しながら徐々に外していくのが良いでしょう。温めたり冷やしたりは、より楽になる方を選んでいただければ良いと思います。(炎症の関係で、初期は冷やし、三日後くらいから温めると楽いう方が多いです)ぎっくり腰の治療は、鍼灸院、整骨院での手技や電気治療、鍼が効果的。 手技や電気治療では、筋肉内の血流を改善して、ストレスを受け続けた腰をゆっくりとほぐしていくことができます。 鍼は、スポーツ選手が試合中に処置されるほど高い炎症緩和効果があり、痛みを軽減する効果が期待できます。痛みが落ち着いたら、筋力強化や姿勢・動作の改善などのリハビリをしっかり行い再発予防に取り組みましょう。大半の方は仰向けで脚を伸ばして寝るのが困難です。これは筋肉や骨の構造上、仰向けになり脚を伸ばすと腰に力が集中してしまうためです。寝る際は、痛い方を上にして横向きになり、抱き枕などを抱いて寝るのがオススメです。大半は数日~数週間で症状が落ち着いてきますが、発症直後の脂汗をかくような痛みは耐え難いものです。もしぎっくり腰になってしまった時はむやみに動かず、まずは最も楽な姿勢でゆっくりと深呼吸を繰り返しましょう。個人差はありますが、しばらく繰り返していると、過度に緊張した筋肉が緩み、楽になることがあります。ただし、この方法が有効なのは骨や神経などに異常がない場合のみです。もし足のしびれやつま先が動かないなどの症状が出現した場合は、椎間板ヘルニアや圧迫骨折などの病気が潜んでいる可能性が疑われます。医療機関を受診することをお勧めします。