サンプル問題にみるコーチングのクライアント像(その5) | 人材育成・組織マネジメントの引き出し

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サンプル問題にみるコーチングのクライアント像(その5)

 

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コーチングのクライアント像

コーチングを受けるクライアント像とは?

コーチングクラスの受講者からよく

「目標やなりたい自分が見つからない人」

はコーチングのクライアント像にならないのですか?

というご質問を受けます。

 

そのようなクライアントにもコーチングをすることはできますが、

本来のコーチングのクライアント像とは異なります。

 

本来のコーチングのクライアント像とは、以下のように解説しています。

 

「目標を達成したい!」という強い意欲はあるが、

① これをやれば成功するという確信が持てず、行動に踏み切れない

② いつまでたっても行動できない

③ 行動したが思うような成果が上がらない

④ 新しい発想やアイディアが浮かばない

⑤ 気持ちが落ち込み、新たな発想や行動への意欲が高まらない

 

このクライアント像をもう少し具体的に説明するために、

国際コーチング連盟の認定資格試験のサンプル問題を転載して解説していきます。

 

それではさっそく問題です。

 

サンプル問題5

あるコーチは最近、クライアントの退職後の計画を支援するために協力し始めました。

依頼者は、地元の小学校で30年間教鞭をとっている評判の良い教師です。

クライアントは常にコーチング セッションに向けて十分な準備と体制を整えて到着し、

セッション間の進捗状況を定期的に報告し、コーチングの会話中に焦点を当てるべき特定のトピックを特定します。

顧客は退職を楽しみにしていると話していますが、退職後の計画については非常に淡々と話し合っています。

 

今回のセッション中に、クライアントは退職が始まるまであと 2 週間であることを共有しました。

彼らは、策定する必要がある残りのいくつかの計画に集中したいと考えています。

しかし突然、クライアントは泣き始め、

「私は人生の半分をこの学校で過ごしてきました!」と言いました。

「私は生徒たちを愛していますし、同僚は私の親友です。

 毎朝学校の正門を通らなくなったら、私の人生がどうなるか想像もできません。」

コーチは何をすべきでしょうか?

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コツコツと地道に退職後のセカンドキャリアについて計画を立ててきたクライアント。

セカンドキャリアに関して相応の思いや夢はあるものの、

本音は「退職したくない、今の仕事を続けたい」。

 

本音を封じ込みたいという思いもあり、コーチングを受けてこられたのでしょう。

しかし、退職まで残り2週間となって、

押さえつけていたご自身の感情が一気に解き放たれてしまし、

その瞬間にコーチは立ち会うことになるのでした。

 

クライアントのタイプとしては、

「(セカンドキャリアにおける)目標を達成したい!」という強い意欲はあるが、

⑥気持ちが落ち込み、新たな発想や行動への意欲が高まらない

という状態だったのではないでしょうか。

 

コーチングの効果

コーチングがクライアントにもたらす6つの効果の視点からみると、

① 目標とその達成イメージが明確になる

② 毎回、自分が得た成果をコーチと話すことにより、目標達成へ向けての意識の集中を継続することができる

③ ヤリタイことを実現するために何をすべきかが毎回具体的になるため、行動が促される

④ 気になっていることや心のわだかまりをコーチに話すことで、心身のストレスが減る

⑤ コーチと約束をすることにより、怠け心を克服することができる

⑥ 感情が最大限に尊重されるので、心から受け入れられている安心感を得られる

 

このクライアントの場合は、

② 毎回、自分が得た成果をコーチと話すことにより、目標達成へ向けての意識の集中を継続することができる

 

セカンドキャリアに向けた意識の集中という効果を求めて、

コーチングを依頼してきたのではないでしょうか。

 

一方で、内心では

⑥ 感情が最大限に尊重されるので、心から受け入れられている安心感を得られる

 

現在の仕事への思いを理解してくれる人が欲しい、

共有できる人がいることで安心感を得たいという効果を求めて

コーチングを依頼してきたのかもしれません。

 

プロコーチの能力水準と接し方

認定資格試験で問われるコーチの接し方として、以下4つの選択肢が与えられています。

 

A)   少し休憩してから、今日集中したい残りの計画を特定するようクライアントに依頼します。

B)   クライアントに本当に退職したいかどうかを尋ねます。

C)   退職は人生の重要な転換点であり、感情的な反応は正常であることを認識してください。

D)   少し立ち止まって、移行がクライアントに与えていると思われる感情的な影響を認め、

      その感情と向き合う時間を過ごしたいかどうか尋ねます。

 

コーチとしての最善の行動はD)です。

国際コーチング連盟の行動規範(コア・コンピテンシー)では、

 

5-4.コーチングの過程において、クライアントの強い感情と向き合うことへの自信を示している

 

と定めています。

新たな目標を設定し達成したいと思っていても、

感情によって左右されてしまうことは少なくありません。

クライアントの怒りや哀しみに接したときでも、

動揺することなく、クライアントをサポートし続ける精神力がコーチには求められます。

だからこそ、クライアントはコーチに本音をぶつけられるのですよね。

 

ちなみに、

コーチとしての最悪の行動はA)です。

少し休憩を取ることは良いのですが、

杓子定規にクライアントの目標設定と自発的行動に進めては、

ICFが求めるクライアントとコーチの真のパートナー関係に至りません。

 

対話を重ね、クライアントの感情の変化を見つめながら、成長を促しましょう。