哀れなるものたち | アレレの映画メモランダム/休日は映画の気分

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ジャンルや新旧問わずに週末に映画館に通っています。映画の感想から、映画がらみで小説やコミックなんかのことも書ければ。個人の備忘録的なブログです。


哀れなるものたち


2023年作品/イギリス/142分

監督 ヨルゴス・ランティモス

出演 エマ・ストーン、マーク・ラファロ


2024年1月27日(土)、TOHOシネマズ府中のスクリーン4で、14時45分の回を観賞しました。


天才外科医によって蘇った若き女性ベラは、未知なる世界を知るため、大陸横断の冒険に出る。時代の偏見から解き放たれ、平等と解放を知ったベラは驚くべき成長を遂げる(以上、公式サイトからの引用)、という物語です。


「聖なる鹿殺し(17)」「女王陛下のお気に入り(18)」のヨルゴス・ランティモス監督の新作。予告編を観た時からずっと楽しみに待っていた作品でした。アカデミー賞でも11部門にノミネートされている話題作で、主演女優賞にノミネートされたエマ・ストーンが製作に名前を連ねているという力の入りようです。彼女のためにある作品と言っても過言ではないかと!



《感想です》


  • 常識にとらわれず常に無垢であることが何ごとに対しても強いということ
  • 〝めでたし〟だけど、本当は危険なオチで、際どくて怖いお伽話のよう
  • エマ・ストーンの演技が圧巻で彼女のための映画と言っても過言ではなく


不思議で可笑しくて、刺激に溢れた作品でした。価値観がグラングランと揺さぶられます。まるっきり壊れてしまっているかのように見えてたものが、実はいちばんマトモであることが分かってくるという。こちらPG18なんですね。だから観客が入らないということなのか、多くのTOHOシネマズで2月1日上映終了の表示が。いや、できたらもう一回くらい観たい気持ちです。


これは一人の女性の成長の物語なんですね。ベラの外見に騙されてしまいますが、本能のままに生きている赤ん坊が知識や知恵を獲得して発達していく。そしてやがて大人になり、常識という非常識、社会の偏見や差別に対して純粋な気持ちから向き合っていくことになるという。でも本作はそんなことをこれっぽっちも主張したりはしないのです。そこがいいんですよね。


彼女の言動は作り上げられた社会からすれば常識はずれだけども、内容は本質をついているし、大人にとっては実は触れられたくない部分だったりするのでイタイところなんです。彼女が冒険の旅を通して出会う人たちとの、そこのギャップの生じかたがある場面では笑いになり、ある場面では緊張感となっていきます。そのドラマが章立てになっていて、お伽話風でいい味わい。


無垢であることが素晴らしく、何者に対しても強いということですね。これはラモンティス版の「ヤング・フランケンシュタイン」そして「ピノキオ」。彼の過去三作の中ではとても分かりやすくもあります。本当はラストの落とし方は危険で、際どく怖い話なのですが、味付けはコメディです。私が観た回はちょっと反応に困ってた感じでしたが。劇場ではぜひ笑って楽しみましょう、笑。


エマ・ストーン、マーク・ラファロ、ウィレム・デフォーの演技、独特の色味を生かしたシュールな映像、不協和音が奏でる耳障りの悪い音楽、肩のところが特徴的な衣装に気味の悪いメーキャップ、不真面目でブラックなお話の中で真実の瞬間が光を放つ秀逸な脚本など、アカデミー賞11部門ノミネートも納得です。できるだけ白紙の状態でご覧になられることをお勧めします。


レーティングはR18は厳しすぎる気がします。配信のときはどうするんだろうと考えたり。なら映画館に行くしかないです!





トシのオススメ度: 5

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4 オススメです!
3 良かったです
2 アレレ? もう一つです
1 私はお薦めしません


哀れなるものたち、の詳細はこちら: 公式サイト


この項、終わり。