ボクたちはみんな大人になれなかった(Netflix) | アレレの映画メモランダム/休日は映画の気分

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ジャンルや新旧問わずに週末に映画館に通っています。映画の感想から、映画がらみで小説やコミックなんかのことも書ければ。個人の備忘録的なブログです。

ボクたちはみんな大人になれなかった(Netflix)


2021年作品/日本/124分

監督 森義仁

出演 森山未來、伊藤沙莉、東出昌大


2021年11月13日(土)の夜、自宅で鑑賞しました。


1995年、ボクは彼女と出会い、生まれて初めて頑張りたいと思った。彼女の言葉に支えられ、がむしゃらに働くボクだったが、1999年、彼女はさよならも言わずに去ってしまう。ボクは志していた小説家にはなれず、ズルズルとテレビ業界の片隅で働き続ける。2020年、社会と折り合いをつけながら生きてきた46歳のボクは、いくつかの再会をきっかけに“あの頃”を思い出す(以上、映画.comからの引用)、という物語です。


「まともじゃないのは君も一緒」の高田亮さんが脚本を担当しているということで、こちら現在劇場でも公開されているところの作品をNetflixで鑑賞しました。監督の森義仁さんはミュージックビデオやコマーシャル中心でこられた方で、映画はこれが初監督作品のようです。この作品の主人公は自分より少し後の世代ですが、なんか気持ち分かるんですよねー。良い作品でした。



《感想です》


映画は、テレビの美術制作会社で働く46歳の主人公・佐藤が、これまでの自分の人生体験を遡っていく形になっています。冒頭、深夜の渋谷で男が二人、酔っ払ってゴミ集積場所に倒れこんでしまうところから始まります。二人は誰なのか、こんな時間にこの場所で何をしていたのか。いっさい説明がないのですが、映画を見終わった時には全てが分かるようになっています。


時代は2020年から2015年へ。佐藤は若い頃に付き合っていた女性・かおりから突然Facebookで友達申請を受け取ります。そこには結婚して二人の子供をもうけた幸せそうなかおりの姿が。しかし佐藤とかおりの物語はここでは明らかにされません。そして今同棲している恵との会話や様子から、彼はかおりとの恋愛感情を未だにずっと引きずって生きていることが分かります。


そして時代は2015年から2011年、2000年、1997年、1995年へと移っていきます。その過程で彼とかおりの出会いや、テレビの美術制作会社へ就職した理由などが描かれていくのです。現在から振り返ってみると、今の佐藤があるのは、20年以上前からの偶然の出来事の積み重ねであり、彼自身による小さな意思決定の結果なのですが、その時はそんなこと想像できないですよね。


今ではその一つ一つがとてつもなく愛おしい記憶になっているのですが、でも過去ばかりに捕らわれていては人は前には進めない。佐藤はFacebookを通じてかおりがとっくに前に進んでいることを知るわけですが、周りがどんどん変わっていくなかで、未だに何ものでもない自分と向き合い一歩を踏み出すために、かおりとのかつての思い出の場所を巡礼して歩くのですね。


当時の街やファッション、音楽(小沢健二さんの〝犬は吠えるがキャラバンは進む〟がキーになっています)、そして通信手段の変遷など懐かしいです。関わってきた人たちを含め、20年間の記憶がフラッシュバックするところは、私の年齢になると胸が熱くなります。ただ全体としては趣向は面白いもものの纏まりに欠け、ノスタルジーを超えるものが無かったような感じ。


大人になるっていうのはどういうことなんでしょうね。過去とどう向き合うかということなのかな。20代から46歳までを演じた佐藤役の森山未來さんがさすがという安定感の演技をされ、かおりを演じた伊藤沙莉さんも素晴らしい存在感。





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1 私はお薦めしません


ボクたちはみんな大人になれなかった、の詳細はこちら:映画.com


この項、終わり。